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【爬虫類の各生体における紫外線について】~トカゲ・ヘビ・カメ・ヤモリ~

飼育器具・用品
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【51Base】です.










【爬虫類の各生体における紫外線について】









爬虫類を飼育する上で避けては通れない「紫外線」について.

私たちは普段,何気なく日光から紫外線を浴びています.

紫外線は有害なイメージがついて回りますが,実は私たち人間にとってもとても重要なものです.

そして爬虫類にももちろん必要なのですが





■どの種類には必要なのか?

■必要量は?

■どのライトを購入すればいいのか?





など飼育していくうえで多くの人が迷われることと思います.

そこで今回は【爬虫類の各生体における紫外線について】と題して,生体に必要な紫外線についてや,現在市販されている紫外線ライトについてなどまとめていければと思います.

*検証はあくまで個人的に行ったものです.紫外線ライトの使用に際してはメーカーの取扱説明書をよく読み,飼育者の判断にて使用されてください.









 

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1.紫外線とは

■UVBとUVA



まずは紫外線についてです.

太陽光からの日射は,波長により赤外線,可視光線及び紫外線に分けられます.

可視光線よりも波長が短い不可視光線が紫外線(UV)となります.

紫外線の中でも波長が長い方から,UVA・UVB・UVCに分けられます.

赤外線が熱を帯びる様な熱作用があるのに対し,紫外線は化学作用が強く認められるもので,有用な作用として



・殺菌

・ビタミンDの合成

・血行,新陳代謝の促進

・皮膚抵抗力の昂進



波長ごとの作用は


UVA:315~380nm

・脱皮促進,活動性,食欲促進効果

UVB:280~315nm

・ビタミンD生成,カルシウム代謝

UVC:200~280nm

・通常地表には到達しない(オゾン層を透過しない),有害





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2.爬虫類への必要性



爬虫類に限らずなぜ多くの生物にとって紫外線が重要かというと


ビタミンDの合成


に寄与するからです.


このビタミンD3は私たち人間にも非常に重要な役割を持っており,カルシウムは小腸で吸収され,血中から骨へ吸収されるのですが,この時ビタミンD3が必要になります.

このビタミンD3は私たちも太陽光を浴びることによって皮膚から体に必要なビタミンD3を生成しています.

また昼行性のトカゲにおいて,この紫外線不足が慢性的に続くと脱皮不全やクル病といった病を患いますので,必ず紫外線の照射は行うようにしましょう.

そしてこのビタミンD3を生成するUVBは窓ガラスを透過することが出来ません

窓ガラスを透過する紫外線はUVAです.

UVAは脱皮の促進も促してくれるので脱皮不全の予防にも非常に重要です.

ですので窓辺で日光浴をさせても良いのですが,残念ながらUVBは照射されないので,これを安定的に供給するにはやはり人工的にUVBを作り出す必要があります.



1)トカゲ



基本的に昼行性のトカゲについて考えていきます.

まず,草食性のトカゲや昆虫を主食とするような小型のトカゲについては紫外線は必須です.

また,草食性のトカゲはエネルギー源が乏しいのとセルロースを分解する為に多大なエネルギーを必要とすることからも熱源も強いものが必要です.

そして重要な事が,野菜や果実にビタミンD3はほとんど含まれていません
(魚介に多く含まれる)

ですので自然界ではUVBからビタミンD3を生成しています.

もちろん飼育下ではサプリメントで補充することは可能ですが,自然界と同等の環境を提供することは必要なことかと思います.

これは昆虫を主食とする肉食性のトカゲにも同様の事が言えるのではないでしょうか.



 

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...

 




ですが,逆に大型の肉食性のトカゲ.いわゆるオオトカゲ・モニターなどは丸呑みで獲物を捕食する点から臓器から摂取することが可能と考えられます.

自然界にビタミンDを含有している食品は思っている以上に少ないのですが,モニターが摂取する食品の中でビタミンD3を含有しているものとすれば、肝,魚介,卵黄です.

モニターは卵も好んで食べるものが多いのはこのためとも思われますし,水中での活動にも適しており,魚を摂取していることも容易に想像がつきます.
(ナイルモニターなどは数匹でワニの卵を狩る事があるようです)



 

■ナイルモニターの飼育はこちら

【ナイルモニター】水棲傾向の強い大型モニターの飼い方について
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そのため,モニターに関しては飼育下では過度な紫外線は必要ないといった意見が主に海外のブリーダーなどで散見されるところだと思います.

ですが,これは給餌内容において大きく変化してきますので,そのあたりは慎重に判断するべきかと思います.

個人的にはパワーサンなどのセルフバラスト水銀灯などより開始し,脱皮不全などあるようならメタハラなどに変更していくといった形でも良いのではないかと思います.



 ■オオトカゲ・モニターの紫外線について

【オオトカゲ・モニターの紫外線について】
...




2)ヘビ



ヘビについては紫外線はほぼ必要ないと思っていただいて大丈夫です.

ダイヤモンドパイソン・ベーレンパイソン・オリーブパイソン・ブラックヘッドパイソンなどは日中にバスキングをし紫外線を浴びているため必要という話はよく聞きます.





しかし,主にバスキング姿が目撃されるのは乾季の気温が低下する時期です.

ベーレンパイソンにおいてはパプアニューギニアの高地に生息しているため,そもそも気温が低い傾向にあります.

そのため,少しでも体温を維持するために乾季は昼行性の傾向となり,バスキングを行うものと考えられます.

また,紫外線により生成されるビタミンD3においても丸呑みで獲物を摂取するため,本種たちは必要量は摂取量出来ているものと考えてもいいでしょう.

これは海外ブリーダーも同様に考えているようです.

ただ1点だけ注意するとすればBreedingを行う際に昼夜の気温差だけでなく明るさも影響するといった話も聞きますので,常に真っ暗な環境でなく,窓からでも室内に日中の明かりを取り入れるだけで生体が季節を感じることが出来るのではとも愚考します.

これはブリーダーによっても考え方が違うようですし,いずれの環境下でも繁殖実績はあるようです.

Drymarchonにはこの日照時間が繁殖行動に影響する事が示唆されています.




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3)カメ



カメはいわゆる水棲・半水棲・陸棲と主には3種類に分類されます.

基本的には全種に必要と考えていただいて良いのですが,特に甲羅が発達するリクガメ・半水棲のカメに関しては必須のものとなります.

(水棲のカメについても重要)



・甲羅の育成

・甲羅の乾燥による皮膚の保護

・体温の上昇



カメの骨格標本などご覧になられた方も少なくないかと思いますが,あの大きな骨の塊を維持・形成する為にはカルシウムとビタミンD3が非常に多くの役割を果たします.

四肢の骨形成不全と同様に,カメの場合は甲羅の形成不全が容易に生じてしまいます.

ですので昼行性のトカゲ以上に紫外線については敏感になった方が良いと思います.



 

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また,甲羅の乾燥による皮膚の保護という目的もあり,水中は陸上よりも危険なバクテリアや菌類が生息しているので,皮膚病の感染リスクは陸上生物より高いと言われています.

バスキングスポットには紫外線灯を必ず使用するようにしましょう.




4)ヤモリ



最後にヤモリです.

ヤモリには昼行性のものと,夜行性のものとに分かれていますが基本的にはほとんど紫外線は必要ないと思って大丈夫です.

基本的に夜行性のものが多く,野生下でも紫外線を浴びることはほぼないことが考えられます.

ですが驚くことに海外の飼育者にはUV灯を使用した方が良いといった意見も散見されます.

個人的には全く紫外線を使用しなくとも活性が下がるわけでも,繁殖行動に影響を及ぼすこともないため,やはり必要ないと個人的には考えています.

(もちろん自然のサイクルでは日中に紫外線を含んだ日光が降り注いでいるのであっても悪いことはないと思いますが…)

ただし,ビタミンD3とカルシウムのサプリメントは必須であることに変わりはありません.




また,飼育している方はご存知の方も多いでしょうが,ダスティングをせずにカルシウムパウダーを給餌皿に入れておくだけでそれを舐めたりしますので,自然界でもそういった行動をしているのかもしれませんね.

自然界の環境を完全に再現する為(昼夜),紫外線灯を用いることも良いかと思いますが,必須ではないのでそこは各飼育者の判断によるのかと思います.

恐らくは日本のブリーダーの方も使用はしていないのでは?

(私が知る限りでは聞いた事がありません)

ただ一点だけ,ヒルヤモリなどの昼行性のヤモリについては微弱でも紫外線及びホットスポットは必要です.

恐らく多くの方はケージ内に足場や隠れ家となるような観葉植物も一緒に入れていると思いますので,そういった意味でも紫外線ライトはあった方がよいです.



 ■飼育におすすめのヤモリ

【ペットにおすすめのヤモリ~5選~】レオパ以外でおすすめのヤモリは何でしょうか??
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3.おすすめの紫外線ライト

■蛍光灯



蛍光灯タイプの紫外線ライトは主に熱帯魚などのアクアリウムでよく使用されています.

爬虫類用の紫外線灯で蛍光灯タイプは意外にも少ないです.







どちらかというと最近は蛍光灯よりもランプタイプの方が主力といったイメージです.

ただし,蛍光灯は照射範囲が広いのでケージ全体の明るさをかなり保ってくれますので,使い勝手は良いですね.



■ランプ



現状ではランプタイプのものが最も多く販売されていると思います.

紫外線量についてもW数,熱帯・砂漠と使い分けが可能で,コンパクトトップという専門の取り付け器具もありますので,非常に取り回しや見た目にもスタイリッシュでケージ周りがすっきりします.







コンパクトトップはグラステラリウムとの併用が可能です.






ただし,紫外線量についてはかなり少ないといった報告が散見されます.

ですので,特に砂漠系のアガマやカナヘビなどには紫外線灯は水銀灯などもう少し強力なものが必要かと思います.

熱帯雨林に生息するものはランプタイプでも良いですが,脱皮不全など認める様であれば変更も検討してもいいかもしれません.
(多くの場合は湿度不足が原因なこともあります)

ですが,比較的安価でペットショップだけでなく,ホームセンターなどどこでも売っている本製品は入門器具としては最も適した飼育用品かと思います.



■水銀灯



水銀灯タイプのものは以前はZOOMED社のパワーサンUVだけでしたが,ここ数年でいくつかの商品も販売されて選べるような時代になりました.




一昔前のセルフ・バラスト水銀灯.(懐かしい…)

水銀灯タイプの最大の特徴はバスキングスポットと紫外灯を1つで賄えるところでしょうか.

ですが,かなり高温になる為,ある程度大きなケージでないと簡単にオーバーヒートしてしまうので注意してください.

(サーモへの接続も✕)



*最近の主力商品はこの3つでしょうか.点灯時の色合いについてはハイパーサンが個人的には好みです.







熱量はパワーサンが最も強いといった印象です.

実際に紫外線量を測定されているサイトで,とても参考になると思います.

404: ページが見つかりませんでした | HOBBYIST GARAGE
爬虫類(フトアゴヒゲトカゲ・リクガメ・レオパなど)や小動物のペットの飼育に適した木製ケージや、擬岩バックボード・擬岩シェルターをオーダーメイドで製作しています。



明るさ・熱量はパワーサンで色合い的に好みなものはハイパーサンかなといった印象です.ラプターは紫外線量は多いようですが,写真で撮影すると特徴的な色味になります.



上がラプターで下が蛍光灯下です.写真移りがなんとも言えない…。

ちなみにハイパーサンはこちらです(同生体)



あくまで個人的な好みです.



■紫外線量→ソーラーラプター

■熱量・明るさ→パワーサンUV

■コスパ→ハイパーサン



あくまで参考程度で.




■メタハラ



メタハラとは「メタルハライドランプ」のことで,略してメタハラとよく呼ばれます.

主に海水魚や熱帯魚の飼育の際に使用されることが多いのですが,爬虫類用のメタハラも発売されています.

紫外線量は非常に強く,また光量も素晴らしいものがあります.

個人的には脱皮不全に悩んでいたカミンギーがメタハラに変えた途端に非常に美しく脱皮し始めたので個人的にも信頼しています.

ただし,非常に高価でなかなか手が出せないところではあります.



今まで使っていたのが、現在廃版となったスドーのソラーレUV.

こちらは交換球は生産されていますが(2019.2現在),本体は製造中止となっており,時折ヤフオクやメルカリに出品されています.

(本製品が非常に好きなので,新古品をメルカリにて購入しています)


そして,ズーメッド社のパワーサンUVでしょうか.


 

 最近は水銀灯が主力となってきていますので,あまり使用されている方がいない印象ですが,その圧倒的な光量と紫外線量は一度試すか店頭でご覧になられても良いのではないでしょうか?

こちらのサイトは紫外線測定など非常に質の高い記事を掲載されています.ぜひ一読をおすすめ致します.

https://lizardcare.net/





■太陽光



これに勝るものはありません.

ただし,日本の冬はほとんどの爬虫類は生きていくことができませんので,夏季限定となります.

ですが,昨年もそうでしたが日本の夏は非常に暑いです.

日光浴をさせる時は必ず日陰や水容器を設置するようにしてください.

そして忘れがちですが,必ず飼育者がそばにいることで,万が一にも脱走がないよう細心の注意を払うようにしてください.




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4.紫外線の効果と副作用



紫外線の効果については記事の最初に記載した通りで


・ビタミンD3の生成

・活性

・乾燥と感染予防

・昼夜のリズム




などがあります.

では逆にデメリットはあるのでしょうか?

紫外線の一番のデメリットはUVCですが,基本的に紫外線ランプやメタハラなどの紫外線灯から照射されることはありません

メタハラに関していえば光量が強すぎるので,近距離で浴びせすぎると視力障害を呈すと言われています.
(白濁する)

また,サルバトールモニター系には恐らくメタハラの紫外線量は強すぎるのか,黒化することもあります.

事実私の飼育ししているサルファモニターはかなり黒化してしまいました.

(右側が黒化した個体)



照射距離は最低でも30㎝は離すようにし,メタハラとは別にバスキングランプやホットスポットを設けるようにしましょう.
(メーカーの取扱説明書をよく読み,正しく使用してください)




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5.まとめ



いかがでしたでしょうか.


「爬虫類の紫外線について」



どうしても生体の情報に目がいきますが,紫外線も彼らにとっては非常に重要な要素です.

また紫外線は目に見えるものでもないですし,すぐに効果を実感できるものでもありません.

ですが,生体の終生飼育を考えられるのであれば,紫外線灯についてもしっかりと設備投資していきたいものです.







 

**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう


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