【51Base】です.
【カミンギーモニター 】
飼育・飼育環境
また,本種はミズオオトカゲの中でも比較的小型な亜種であるため,一般的な家庭でもギリギリ飼育が可能なサイズだと考えています.
1.カミンギーモニターとは
■分類
爬虫網有鱗目オオトカゲ科ミズオオトカゲ亜種
学名:Varanus cumingi
英名:Cumingi Water Monitor
和名:ミンダナオオオトカゲ・カミンギーモニター・カミングスウォーターモニター
主にミンダナオ島に生息するミズオオトカゲの亜種で,その美しい黒と黄色のバンド模様は一度見たものを虜にしてしまいます.
特に美しいと言われる個体群がレイテ島のレイテバンデットと呼ばれるもので,頭部は黄色に抜け,背中のバンドも非常にメリハリのある色彩となります.
画像の個体は,以前飼育していたレイテバンデットの♀個体です.
現在はVaranus cumingiとして独立種としての扱いです.
また本種の亜種にサマレンシスタイガーと呼ばれる亜種もおり,日本での流通は非常に稀(というか私は現物を見たことがない)で,ごく一部の熱狂的なマニアが飼育しています.
■生息地
フィリピン:ミンダナオ島とその周辺の島々
亜種とされるサマレンシスはサマール諸島に生息するものを指すと言われています.
■大きさ・価格
最大全長:200㎝
平均全長:120㎝~150㎝
概ね飼育下では150㎝程で大型の生体と言って良いかと思われます.
メスであれば120㎝程度で成長は止まることが多く,やはりサルバトールモニターの中ではスペックルモニターと同様に比較的小型の亜種と考えられます.
この辺りのインボイスはまだはっきりしないことも多いのですが,例えばコマイニーなども比較的小型のものが多く,いわゆる島モノサルバと呼ばれる多くの個体群は基亜種(スリランカ)やタイ産のものと比較すると大型化しない傾向にあると思われます.
ですので,以前も記事に書きました,スンバワ産のサルバトールモニター,Varanus salvator bivittatusも比較的小型であるかと考えてはいます.
bivittatusはジャワ島なども含まれますのでこの辺りの亜種分けについても今後はっきりしてくるかとは思っています.
カミンギーモニターは価格についても2020年では上昇傾向にあります.
私の記憶が正しければ2018~2019年では最安で98000円のレイテ島のベビーがいたと思いますが,現在は輸入も減っており15~20万円以上の価格で取引されているようです.
ですが10年ほど前も本種は20万円以上する高額なモニターでしたので,価格は上がったというより「戻った」といった表現の方が正しいかもしれません.
生体 |
価格 |
ベビー~ヤング | 150000円~ |
アダルト | 200000円~ |
フィリピンCB | 200000円~ |
国内CB | ??? |
国内CBで有名なブリーダーさんと言えば「CARNIVORE」さん,「かかし」さんですので,ぜひSNSをチェックされてみてください.
2.飼育環境
■飼育ケージ
幼体時は既製品のケージで全く問題ありませんし,60㎝程度のものから始めることをおすすめ致します.
いきなり90㎝以上の大型ケージで飼育すると,バタバタと逃げ回った際にガラスに鼻をぶつけてしまったりケガのリスクが高いのである程度小さいケージでしっかりと環境と飼育者に慣れてもらう様にしましょう.
最終的には120㎝クラスのケージが必要になりますが,オスであればまず間違いなく終生飼育は不可能ですので,150-180㎝クラスの自作ケージかオーダーケージが必要になります.
■爬虫類の自作ケージについて
自作ケージは作り方自体は非常に簡単ですので,慣れてしまえば1日で出来ててしまいます.
■温度・湿度
本種の生息するミンダナオ島周辺は赤道直下の熱帯性気候ですので,高温でかつ多湿な環境を用意する必要があります.
例えば部屋全体を28-30℃,湿度70-80%程度で維持できているのであれば,水容器で概ね事足りますので無理に霧吹き等は必要ないのですが,ケージごとに管理する場合はそれなりの対策は必要になります.
■爬虫類の湿度管理について
私は部屋自体を28℃・湿度70-80%で年中管理していますので,現在飼育しているサルバトールモニター類に特別個別に湿度対策はしていない状態です.
また,冬場の保温となると大型のケージであればあるほど管理は非常に大変で電気代も右肩上がりです.
ある程度生体数がいる,もしくは大型の生体がいるなどあればエアコン管理にした方がむしろ電気代は安いこともありますので,ぜひ一度検討されてみてください.
■爬虫類の電気代について
■爬虫類のエアコン管理について
スポット |
温度・湿度 |
バスキングスポット | 40℃~ |
ケージ内温度 | 30℃ |
ケージ内最低温度 | 28℃ |
夜間温度 | 26-27℃ |
湿度 | 70%以上 |
■水容器
必須で必ず全身が浸かれる余裕のある水容器を準備してください.
本種はミズオオトカゲと呼ばれるくらいですので非常に水に依存しています.
また,水容器内がシェルターの役割も担ってくれますので,特に飼育開始直後などは必ず設けるようにしてください.
本種の多くは画像のように水容器内で排泄をすることが多いので,ある程度臭いも抑えることが出来ます.
最終的にはかなり大型の水容器が必要になりますのでその際はポンプで排水するようになります.
持ち運びは腰を痛めます(←経験済み)
■爬虫類の臭い対策
3.エサ
■幼体時
幼体時からピンクマウスや肉片,ブリハツ,そしてコオロギやデュビアなどなんでも食べるものが多いです.
幼体のうちは肥満の心配はないのでしっかりと食べさせて成長させましょう.
(画像はサルバトールモニター)
昆虫をメインであれば毎日,ときおりピンクマウスなどを与えるようにします.
飼育開始時にピンセット給餌が可能であるものから,置き餌でないと食べないものまで非常に個体差が大きいと思いますが,本種はどちらかと言えば神経質なものが多い印象です.
もしピンセットから食べなくともしばらくは置き餌で様子を見るようにしましょう.
■成体時
成体時はとにかく肥満に注意し,エサに関しては少し絞るようにします.
飼育下のモニターの死因は恐らく肥満によるものが最も多いと推察しています.
特にげっ歯類は非常に栄養価が豊富ですので,運動量が限られてしまうケージで飼育しているモニターは非常に肥満体質となりやすいです.
運動で補えないならやはりエサで調整するしかありませんので,過栄養とならないようメニューとしましょう.
具体的には
・鶏のササミ,ハツ,時折肝や砂肝など
・鶏ガラや手羽端,鶏頭
・ワカサギなどの雑魚
・デュビアの成虫
私は上記のメニューを入れ替えながら与えています.
そして時折マウスやラット,ヒヨコや親ウズラなどを与えます.
動画でサルファモニターですが,給餌の様子をお伝えしています.
4.慣れる?ハンドリング
本種を飼育するうえで必ず疑問に思われる事かと思います.
これはどの種にも言える事かと思いますが
「個体差」
飼育開始時よりピンセットから食べるものやハンドリングができるものもいれば,飼育して1年以上置き餌,持てば噛みつくといった粗暴なものまで様々です.
ですが,これは個人的な経験則で申し訳ないのですが,概ね1年もあればどんな生体でも慣れます.
ただ,この「慣れる」というのは環境に慣れるのであって人に「馴れる」というわけではありません.
もちろん日々同じ部屋で過ごしていたり,放し飼いをされている生体などは「馴れた」ものは確かにいます.
ですがそれはごく一部の生体で,その「馴れた」状態に至るまで,飼育者の方々は皆さんとても苦労しているはずですので
「馴れてくれればラッキー」
くらいの心持の方が気は楽だと思います.
ただし,環境には必ず「慣れます」ので時間を掛けて生体との距離を縮めていってください.
■モニターの慣らし方
5.カミンギーモニターのまとめ
いかがでしたでしょうか?
【カミンギーモニターの飼育・飼育環境】
非常に美しく人気種である本種ですが,昨今はCB化の成功と同時に輸入される生体は減ってきています.
ですが,国内CBに成功した数少ないオオトカゲでもありますので,今後も高額ながらもその流通は保たれるものと予想しています.
飼育には覚悟が必要なオオトカゲですが,その魅力にはまってしまう飼育者が続出中です.
このブログと動画を通じてオオトカゲの魅力が伝われば幸いです.
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう