【51Base】です.
【飼育が簡単?!な爬虫類】
ほんの10年もしくは数年前まではどちらかと言えばマニアな趣味であった爬虫類飼育ですが,ここ数年でヒョウモントカゲモドキやカメレオン,フトアゴヒゲトカゲなどのメジャー種を中心に爬虫類人気は右肩上がりの様です.
最近もニシアフリカトカゲモドキのモルフがどんどん作出され,人気を博しているようですので,まだまだ爬虫類人気は上昇していきそうです.
■ニシアフリカトカゲモドキの飼育
そんな中,時折耳にする
「簡単に飼える爬虫類はどれ?」
愛好家の方々の怒りのバロメーターが一気に振り切れてしまいそうですが,確かに爬虫類の飼育は,例えば犬や猫などの愛玩動物と比較すれば飼育自体は簡単かもしれません.
ですので本当に簡単に飼育が可能か?…というところにのみ着目して5種をピックアップしてみました.
ここでいう簡単に飼育というのは私が個人的に思う,生体を健康に育てることができ,かつその飼育環境は誰にでも構築が可能な種を中心に述べています.
*個人的な見解を中心にまとめていますので,あくまで参考程度に留めていただければと思います.
*必ず最後まで御笑覧ください.
【内容】
飼育が簡単な爬虫類
■グリーンイグアナ
■ミズオオトカゲ
■オリーブパイソン
■ヨロイトカゲ
■インディゴスネーク
何をもって飼育が簡単といえるのか?
まとめ
目次
・飼育が簡単な爬虫類
■グリーンイグアナ
参照:Wikipedia
まずは爬虫類を語るうえで最も一般的にポピュラーなグリーンイグアナです.
本種の飼育を始める事は非常に簡単です.
生体代金 | 価格 |
ノーマル |
¥3000~¥5000 |
レッド・ブルー |
¥10000~¥20000 |
アルビノ |
¥200000~ |
スノー |
¥1000000~ |
必要な器具 | 価格 |
大型ケージ(最終的には4帖程) |
自作:¥20000~¥30000 市販:¥40000以上 |
バスキングランプ100~150w |
¥2000~¥5000 成体は2つ以上必要 |
紫外線灯 |
¥1500~¥5000 メタハラ:¥30000~¥40000 |
保温器具(暖突L以上) |
¥8000~¥20000 |
その他サプリメント |
¥800~¥1200 |
生体,器具代金を合わせても最初は約¥50000出せば十分な飼育設備を整えて飼育する事が可能です.
最終的にはより大型の飼育ケージが必要となりますが,居室を1部屋明け渡せば良いので飼育ケージに悩む必要はないかもしれません.
さらに本種はアルビノやスノーといった非常に美しい品種も市場に出回っていますので選ぶ楽しみもあります.価格は飼育難易度には関係ありませんので気にしてはいけません.
飼育は基本的に完全草食性ですので,昆虫が苦手な方も大丈夫.
小松菜・青梗菜などのシュウ酸の少ない葉物や,豆類・人参・カボチャ・豆苗・イグアナフードなどにサプリメントを添付した食事を毎日用意すればいいだけです.
間違っても日々の野菜の残りを与えるというわけではありません.
与えることに適さないものもありますが,いずれもスーパーに売っているものばかりですので入手に苦労はしないでしょう.
少量ずつ1日2回に分けて与えます.
さらに時折,果実も食べますので生体と一緒に食べる楽しみもありますね.
■グリーンイグアナの飼育
本種は平均でも1.5m以上に成長しますので部屋での放し飼いもできますので,小さいうちから毎日ハンドリングや給餌でしっかり慣らしておけばまさに最高の抱きトカゲです.
それでも発情期は噛まれたり,引っ掻かれたり,飛び付かれたりとスキンシップも取り放題です.
生傷が絶えませんが生体が健康に成長している証拠ですので,飼育するうえでは気にしてはいけません.
また,本種は石垣島に帰化してしまうほどの適応能力がありますので飼育環境にも慣れやすかと思いますが,石垣島と本州・四国・九州は気温が違いますので,加温は絶対必要です.
大型のトカゲですのでその分保温器具は必要になりますし,個人的にはエアコンを24時間365日管理した方が楽ですのでおすすめです.
電気代・飼育スペースなど気にしてはいけません.
■爬虫類の電気代について
■ミズオオトカゲ
次に比較的ポピュラーになりつつありますが,飼育には相当な覚悟が必要なミズオオトカゲ(サルバトールモニター)です…が入手と飼育設備を整えることは簡単です.
生体 | 価格 |
スマトラ・ジャワ産 |
¥20000~¥30000 |
その他島モノ |
¥70000~¥350000 |
アルビノ |
¥400000~¥1000000 |
メラニスティック |
¥300000~¥500000 |
必要な器具 | 価格 |
大型ケージ |
¥100000もしくは4-6帖の部屋 |
バスキングランプ250w×3 |
¥3000 |
紫外線灯(必須でない場合も) |
¥4000~¥5000(蛍光灯式) |
保温器具(暖突L以上) |
¥8000~¥20000 |
エアコン |
¥50000~ |
その他サプリメント |
¥800~¥1200 |
生体と器具代を合わせても¥200000あれば十分お釣りがきます.
ただし,ベビーから飼育する場合は¥20000程のケージでも構いませんので当初は費用を抑えられますが,いずれ1部屋明け渡すほどの大型ケージは必要になります.
が,一部屋を専用部屋とし,加温・加湿をガンガンにするだけですので飼育難易度に何ら関係はありません.
エサは肉食性で,昆虫から鶏のササミ・ハツや手羽元,卵や小魚などなんでも食べますし,非常に食欲が旺盛ですので与える楽しみもあります.
■サルバトールモニターの飼育
その分,大量に冷凍のストックが必要にもなりますが,ただ冷凍庫の一部スペースを占領するだけです.
ミズオオトカゲ専用の冷凍庫があってもいいですね.もちろん,エサの管理は飼育難易度とは何ら関係がありません.
大型のトカゲですので非常に大量の糞や尿を出し,臭いも凄いのですがよく食べ,しっかり消化している証拠ですので非常に喜ばしいことです.
糞の臭いは気にしてはいけません.
毎日の水容器の交換とケージの清掃はたったの1ケージであれば20分程度ですので片手間にサッとできてしまいますね.
■爬虫類の臭い対策
エサの準備も幼体時で2日に1回,成体時は5-7日に1回程度ですので毎日の給餌に追われることはありません.水容器は毎日交換します.
また本種は基亜種で2mほどに成長しますので,抱っこができます.
もちろんベビーから慣らしていればの話ですが.
慣れていない生体はむしろ無理に触る必要もないのでスキンシップを取らなくても良い分,より飼育にかける時間が省略できます.
ただし,総メンテナンスの時はモニターと飼育者との闘いです.
■爬虫類のメンテナンスに掛かる時間
もちろん,爪や歯も鋭いので流血しながらのスキンシップとなりますが触れ合いは飼育難易度にそこまで影響しないので気にしてはいけません.
第三者のハンドリングは避けてください.
成体サイズになると大人一人では抑えることができない場合もしばしばですが,飼育者が筋トレをするいいきっかけにもなります.
さらに本種は紫外線灯を使用しなくとも長期飼育が可能な場合もありますので,その分飼育器具を用意する必要がありませんが,W数の高いバスキングランプは必要です.
最終的には150wのものを2つか3つ用意し,夏は12時間点灯,冬は10時間点灯としてください.タイマーで簡単に管理できます.
バスキングスポットだけでなく飼育部屋,飼育ケージの保温も必要ですので,エアコンの24時間管理にした方が温度管理がより簡単ですのでいいと思います.
もしケージだけの保温をする場合は暖突の特大サイズを2つ,さらにケージ全体をスタイロフォームで覆う必要がありますが,それでも日本の冬は寒いと思います.
■爬虫類の冬対策
餌代と電気代,飼育スペースについては考えてはいけません.
■オリーブパイソン
どちらかと言えばマニアなオーストラリアのパイソンですが,個人的に一番好きなヘビです.
本種も飼育は簡単です.
生体 |
価格 |
ベビー |
¥100000~¥150000 |
アダルト |
¥180000~¥300000 |
器具 |
価格 |
大型ケージ(120㎝以上) |
¥30000~ |
保温器具(パネルヒーター+暖突L以上) |
¥10000~¥23000 |
エサ(ラット・ウサギ・子豚) |
¥500~¥2000 |
生体代金が少し高いですが
「生体代金=飼育難易度」
ではありませんので気にしてはいけません.
グリーンイグアナやサルバトールモニターと比べれば器具代は抑えられています.
エサが上記2種とは違い,成体サイズですと10日もしくは2週に1回で良いので給餌回数は更に少なくなりますね.
大型になればラットを何匹も与えていると非常に餌代がかかりますので,餌用の冷凍ラビットやピッグを使用することが多いですが,飼育難易度とはなんら関係がありません.
■爬虫類の餌代について
よく食べますので,ベビーで購入しても1年後には1.5mくらいには成長し,ラットをバクバク食べていますので,比較的丈夫で非常に飼育しやすいです.
成体まで成長すると人間と同等の大きさの糞を出しますが,2週間に1回程度の処理ですので全く問題になりません.ちゃっちゃと片付けましょう.
飼育ケージは飼育開始数カ月は45cm程度のケージでも大丈夫ですが,1年を経過するころには90cmケージ,2年で120~150cmケージは必要で,そのケージを冬期はしっかりと保温してください.
最高温度30℃以上は年中必要で,最低温度は25℃を下回ってはいけませんが,エアコン管理もしくはサーモスタットを使用すれば温度管理は問題ありませんので飼育難易度に大きな影響はありません.
■オリーブパイソンの飼育
150cm以上のケージとなると暖突は特大サイズが2つ程必要にはなりますが,保温器具の購入も高額となるため,いっそのこと一部屋エアコンを24時間稼働した方が管理はしやすいと思います.
飼育スペースと電気代は気にしてはいけません.
■ヨロイトカゲ
ヨロイトカゲはアフリカに生息する小型のトカゲで,分類上多くの種が認められていますが,現在日本で飼育できる生体には限りがあります.
生体 |
価格 |
ヒナタ・ジョーンズヨロイトカゲ |
¥30000~¥50000 |
アルマジロトカゲ |
¥500000以上 |
デプレッサワーレン |
¥500000以上 |
オオヨロイトカゲ |
¥1000000以上 |
器具 |
価格 |
飼育ケージ(60~90cm) |
¥15000~¥20000 |
バスキングランプ(80~100w) |
¥3000 |
紫外線灯(水銀灯含む) |
¥4500~¥10000 |
その他サプリメント |
¥800~¥1200 |
もともとヨロイトカゲは過酷な環境下に生息しているため,飼育下でも非常に丈夫な種であると言われています.
もともと乾燥した環境に生息しているので湿度は苦手ですが,しっかりとバスキングランプでケージ内及びホットスポットを温めれやればケージ内は乾燥した環境を再現できます.
比較的小型種が多いので飼育ケージへの設備投資は最小限で済みそうです.
エサは肉食性なため,昆虫が中心となりますが強健な種であるためエサが何であろうと飼いやすさに変わりはないはずです.
基本的に小さなコオロギやデュビア(ゴキブリを)毎日少量ずつ与えますが,与えすぎると肥満となり短命になってしまうので必ず少量ずつこまめに与えてください.
■ヨロイトカゲの飼育について
また,本種はオオヨロイトカゲ・アルマジロトカゲなど絶滅の危機にある生体もおりますので,基本的に現地の野生個体は絶対に流通しません.
ブリーダーなどが繁殖させた生体のみが市場に流通しますので非常に高価ですが,飼育難易度には関係ありません.
【8月31日 新入荷】
— 爬虫類専門店 アクアスペース (@aqua_space) August 31, 2019
・アルマジロトカゲ (トリオ)
・トロピクスヨロイトカゲ(トリオ)
・オバケトカゲモドキ(ケルマンシャー)トリオ
・オバケトカゲモドキ(イーラム)♂
・ボールパイソン(アダルト)多数入荷 pic.twitter.com/3nWjWEEY6f
また本種は思っている以上に臆病で,多くの場合は私たちを見つけるだけでシェルターに隠れますので,カッコよくバスキングをしている姿をみることなど非常に稀です.
メンテナンスの時以外に本種を見かけることがないといった飼育者の話もよく聞きますが,飼育難易度には全く関係ありません.
また,簡単に飼育が可能な本種ですが,比較的絶滅の危機が少ないヒナタ・ジョーンズ・ネッタイなどは¥3-50000程ですが,日本中探してもほとんど見かけることはありません.
探す楽しみもありますが,飼育難易度には全く関係ありません.
生体代金などを気にしてはいけません.
■インディゴスネーク
本種もまた強健種として知られ,ナミヘビの王者とも言われています.
生体 |
価格 |
クリボー |
¥120000~¥150000 |
インディゴスネーク |
¥300000~¥500000 |
器具 |
価格 |
大型ケージ(120㎝以上) |
¥30000~ |
保温器具(パネルヒーター+暖突L以上) |
¥10000~¥23000 |
エサ(ラット・ウサギ・子豚) |
¥500~¥2000 |
こちらもまた非常にマニアックなヘビですが,基本的にマウス・ラットからウズラやヒヨコ,他のヘビなどなんでも食べます.
また,クリボーは低温には弱いですが,インディゴスネークは低温にも強いものもいますので,冬の管理面でのリスクは軽減できます.
それでも25℃は下回ってはいけません.
また,夏期は最低温度が28℃以上になると生体の健康にリスクがあると言われていますので注意が必要です.
夏期の室温は非常に上がりますので,室内を冷やすためにエアコン管理は必須ですが,サーモスタットやエアコンがあれば飼育環境の構築は可能ですので,飼育難易度に大きな影響はありません.
エサは主にマウス・ラットが中心で,パイソンと違って大きなエサは呑めませんので,胴体より少し大きいサイズのマウス・ラットをこまめに与えます.
さらに本種を含むナミヘビは糞の回数が多いので2-3日に1回は清掃が必要ですが,5分程度もあれば終わりますので片手間で可能です.
糞の臭いはアンモニア臭というか,不消化便の様で臭いもきついですが,糞をしない生き物はいないので特に気にする必要はないと思います.
■爬虫類の臭い対策
本種も2m程には成長しますが,パイソンほど小さくトグロを巻くことが出来ないことと,活動的な種ですので,150~180cmほどのケージが必要になりますが,自作ケージを作製するのも,高額なオーダーケージを注文するのも飼育難易度とは何ら関係がありません.
■爬虫類の自作ケージについて
生体代金,電気代,飼育スペースは気にしてはいけません.
何をもって飼育が簡単といえるのか?
飼育が簡単と思われるポイントを個人的に考えてみた結果…
□給餌の頻度が少ない
□糞・尿の処理が簡単
□飼育スペースを取らない
□お金が掛からない
以上の要素を全て満たす爬虫類は正直ほとんどいないのではないかと思います.
■ヒョウモントカゲモドキ
給餌は幼体時で基本は毎日で,成体時でも2-3日に1回.飼育スペースは取りませんが,パネルヒーターなど冬期の対策は必須.
プラケースなどであれば小型の温室が必要となります.
糞は思っている以上に臭いますし,頻度も多いです.
■レオパードゲッコーの飼育
人工餌もありますが,ある日急に食べなくなることも…
最も飼育が大変だと思うところはあまりの可愛らしさとそのモルフの多さから気が付けば2匹3匹と何匹も増えてしまうところでしょうか…
■ボールパイソン
給餌は幼体時で3-4日に1回程度で,成体時は10日に1回程度で給餌頻度は少ないのですが,本種は冬場に拒食をするので,その間に与えようと思って解凍したマウス・ラットなどを無駄にすることもしばしば…
■ボールパイソンがエサを食べない時に試したい事
あの手この手で与えようとしてむしろ逆効果で全く食べようとしない.
飼育者の方が折れて,食べないという理由で引き取りを希望…といった話もよく聞きますので,決して簡単ではないでしょう.
さらに本種は最終的にアダルトラットを給餌する必要がありますが,初めて見ると衝撃を受ける方もいらっしゃいます.
■ボールパイソンの飼育
■アオジタトカゲ
給餌は毎日~2日ごとに与える事が多いのですが,思っている以上に肥満しやすいので給餌には割と気を使います.
■アオジタトカゲの飼育
また,人工飼料から肉,マウス,昆虫などなんでも食べますが雑食性故に糞は非常に臭いますし,ベタッとして結構な量です.
もちろん,飼育するうえで糞の処理は重要な飼育者の義務ですが,割とこの臭いで飼育を諦められる方もいらっしゃいます.
■糞・臭いとの闘い
完全地表棲で床面積が非常に重要であり,最終的に飼育ケージは90cmは欲しいところですので,決して省スペースというわけではありません.
バスキングスポットも必要で,お腹を温めるパネルヒーターもとなるとやはり電気代はある程度覚悟が必要です.
まとめ
いかがでしたでしょうか.
【飼育が簡単?!な爬虫類】
比較的ポピュラーでおすすめしやすい爬虫類であってもやはり飼育が簡単かといわれると決して「簡単」とは言えないと思います.
そして,一歩足を踏み入れると苦労の尽きない生体ばかりです.
ですが,生き物を飼育するということはその命を預かる事ですので,苦労なく飼育することは不可能と考えています.
もちろん,飼育が難しくおすすめしにくい種がいることも確かです.
■初めての飼育におすすめしないヘビ
■初めての飼育におすすめしないトカゲ
ですが
「おすすめしやすい=飼育が簡単」
というわけではなく,どんな飼育者であっても必ず苦労話を聞きますので,日々試行錯誤しながら目の前の生体にとって最適な飼育環境を目指してください.
私自身も毎日が苦労の連続です…(笑)
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう