【51Base】です.
【オリーブパイソン】
ー飼育・飼育環境ー
私は子供の頃から爬虫類が大好きで様々な爬虫類を飼育してきました。
その中でもオリーブパイソンとベーレンパイソン・パプアンパイソンはまさに許可なしで飼育できるニシキヘビの中ではまさに至高の存在だと思っています。 (特定は飼育経験がありません)
■ベーレンパイソンの飼育
■パプアンパイソンの飼育
今回はそんなオリーブパイソンの飼育・飼育環境についてまとめました.
目次
1.オリーブパイソンとは
■分類
爬虫網有隣目ニシキヘビ科リアシス属
学名:Liasis Olivaceous Olivaceous
英名:Olive python
和名:オリーブパイソン オリーブニシキヘビ
このリアシス(Liasis)という属はいわゆるオセアニアニシキヘビ属で,主としてオーストラリアに生息するニシキヘビを言います.(あくまで主として)
オリーブパイソンはオーストラリアでは2番目に大きなヘビでもあります. (1番はScrub Python=特定指定)
Liasis属には
・オリーブパイソン(オーストラリア北東部にのみ生息する)
・ウォーターパイソン(オーストラリアとニューギニアに分布する中型)
・マクロットパイソン(小スンダ列島に分布するものが種)
・サヴパイソン
の4種類しかおらず,総じて頭部が細くスリムな体型をしています.
最近ではサヴパイソンのモルフなども登場してきましたね.
新入荷大量到着!
— REPTILES TOKYO名古屋店 (@reptilestokyo_n) July 13, 2019
今回も思わずニヤけてしまうラインナップとクオリティです。
写真は日本初入荷?のサヴパイソンのシルバーペッパーとあまり見る機会のない極上のストライプセントラル!そしてダイヤも前回に引き続き正真正銘のピュアが来ています。毎回入荷即ソールドのゼブラやブラニジも来てます! pic.twitter.com/njkxD7z4fx
■生息
オーストラリアの北西部の森林地帯や川辺に生息しています.
主にはクイーンズアイランド・ノーザンテリトリーで基亜種が生息しています.
そのうち西オーストラリア州に生息している種はピルバラオリーブパイソン(Liasis Olivaceus Barroni)と呼ばれ別亜種とされています.
このピルバラオリーブパイソンは基亜種のオリーブパイソンよりも大型化することがわかっており最大で6mに達します.
現在CB化が進んでいるものとしては基本的には基亜種のLiasis Olivaceus Olivaceusですので,ここまで大型化はせず,飼育下では3mほどでしょうか.
個人的には6mにもなるピルバラオリーブパイソンは完全に特定扱いとなってもおかしくありませんので日本への入荷はなくても良いかと思います。(あくまで個人的には…です)
*見た目には非常に亜種との区別がつきにくいため,ピルバラオリーブパイソンという亜種だけ特定指定されるとは考えにくく,恐らくオリーブパイソンというひとくくりにされてしまう恐れがあります.
オーストラリアはその大陸形態から固有種が数多く生息し,世界的にも珍しい有袋類の楽園でもあります.
そのため生き物の輸出は厳しく取り締まりがされており,日本へ入荷する個体はほとんどがアメリカやドイツなどで繁殖された個体です。
■オリーブパイソンの大きさ
平均全長:3メートル
最大全長:4メートル以上
ですが,頭部を含めて全体的にスリムな体型をしているため,特定指定のアミメニシキヘビなどの同サイズと比較してもかなり小さく見えるかもしれません。(大きいため危険であることに変わりありません
■オリーブパイソンの性格
一般的に、オリーブパイソンはおとなしい性格を持つことが多いとされています。他の大型ヘビと比べて攻撃性が低い個体が多いですが、これは個体差や飼育環境に影響されます。
幼体の段階では少し神経質なことがありますが、徐々に慣れさせることで、成長とともに落ち着いた性格になる傾向があります。
毎日触ることで人に慣れる個体が多く、ハンドリングを通じて信頼関係を築くことができるでしょう。
■オリーブパイソンの価格
オリーブパイソンの市場価格は、個体のサイズや年齢、品質、流通状況などによって大きく変動しますが、一般的には、幼体(ベビー)の価格は約15万円前後とされています。成体(アダルト)になると、さらに高額になる傾向があります。
オーストラリア原産であり、輸入規制や流通量の影響で価格が高めになることが多いです。
2.オリーブパイソンの飼育環境
■飼育ケージ
最終的なサイズは野生下や飼育下でも大きいものは4m以上,通常でも3m程度には容易に達します。
そのため比較的大きなケージが必要となりますが,とぐろを巻いた状態で4匹程度が入れる大きさのケージを基本として考えられればいいかと思います。
■爬虫類ケージの選び方
オリーブパイソンに限らずヘビの飼育に関して最も大切なことは脱走させないことです.
脱走されたヘビは大げさかもしれませんが,見つけるのにかなり苦労します. (よほどの大型個体は除く)
飼育ケージはまずは既製品のものから使用することをおすすめ致します.
基本的に高さはそこまで必要ないので,グラステラリウムなどは重宝します.
どちらかと言えば幅と奥行きが大切です.
ヘビが飛んできて(噛みついてくる)ケージにぶつかったとしてもよほどガラスが薄くない限りは,割れることはまずないでしょう.
ですが,とぐろを巻いた状態でいっぱいいっぱいのケージであれば,空気を吸って膨らんだ圧力だけで恐らく枠ごと外れます.
*幼体時などはこういったスネークラックでの飼育も可能です
また以外に砂漠の乾燥系のパイソンと思われがちですが,彼らは泳ぎがとても得意で水中での狩りも行うと言われています.
海外では全身が入れる水容器は必須とされています.
ちなみに私は大きいものは入れていませんが…
*タフキュービックは鑑賞性にも機能性にも優れておりおすすめです.
■爬虫類の自作ケージについて
■簡単に製作可能な自作ケージ
■温度
オーストラリアは内陸部に行けば行くほど高温地帯で過酷な環境になります.
本種が生息するのはノーザンテリトリーの北部にあたり,北部は熱帯性気候の地域です. (南部は砂漠性気候)
平均気温
ダーウィン:25℃~32℃
雨季(11月~4月)
最高気温:32℃前後 最低気温:25℃前後
乾季(5月~10月)
最高気温:32℃前後 最低気温:20℃前後
*冬に当たる6.7.8月は20℃を下回り10℃近くまで下がることも.
夏場は12時間程度のバスキングスポットを用意し,冬場は8時間程度に時間を短縮して夜間は少し温度を下げる程度で構わないと思います.
海外のBreedingにおいても大切なことは「寒さ」であるとされています.
ですがそれは風邪や肺炎をもたらすもろ刃の剣ともされていますので,繁殖を考えていない場合は,20℃を下回ることは避けた方が良いのではないかと思います.
■爬虫類の温度管理と保温器具
■湿度
ダーウィン
雨季:80%前後
乾季:60%前後
ノーザンテリトリーの北部に位置するダーウィンは雨季と乾季の気候がはっきりと分かれており,乾季に当たる時期は湿度は日本は夏なので,湿度管理はそこまで気にする必要はないでしょう. (暖房器具などでケージ内は多少湿度が落ちる.)
問題は日本での冬です。
この時期においては湿度管理は厳密にし,しっかりと加湿してあげる必要がありそうです。
ただ,WC個体の入荷はなく,全てCB個体ですのでどこまで再現するかということになりますが,繁殖を狙わずともある程度は生息環境は再現した方がいいでしょう.
ただし,乾季の低温は除く…
■爬虫類の湿度対策
■紫外線
日本ではほとんど情報がありません.
ですがオリーブパイソンはアメリカでは割とポピュラーな人気種で繁殖も積極的に行われています.
やはりUVに対するエビデンスは乏しいようで,必要ないからといって生体に害を与えることはないといった意見が多数であることは確かです. (ダイヤモンドパイソンは必要といった意見が多い)
日中は太陽光のもとでバスキングを行いその体温を保つためにシェルターなどに籠る傾向にあるとされているため,個人的には紫外線は必要なものではないかと考えています. (実際には紫外線を使用せずに繁殖させているブリーダーが多くいますが)
このあたりは設備投資やケージなどから考慮してください.
私は使用していませんが…
■爬虫類の紫外線について
3.オリーブパイソンのエサ
現地ではげっ歯類だけでなく,ワラビーやコウモリ,モニターやワニなどなんでも捕食しています.
また先ほども書きましたが泳ぎが得意で水中から獲物を待ち伏せることもあるとのことです.
■幼体時~ヤング
基本的にはマウスかラットで構わないでしょう.
幼体時には2~3日でヤングサイズでは5日に1回程度で良いと思います.
頭部が小さいわりにかなり大きなサイズを食べることができるので,可能であれば最初からラットでもいいと思います.
のみこみはやーい#オリーブパイソン pic.twitter.com/SqL8le98px
— Aoi (@Aoi_rep) July 8, 2023
亜成体~成体
2メートルを超えてくると肥満に注意する必要があります.
2週間にサイズに応じたラットを与える程度にし,肥満を防ぎます.
最終的にはラットでなく冷凍モルモットなども必要になるかもしれません.
日本でも海外でも捕食に関して非常に積極的であるという見解は同じようで,どうしても大量に上げてしまいがちですが,飼育下での肥満は早死にしますので注意が必要です.
4.オリーブパイソンを飼う…
■良いところ
・最高峰のヘビの一種である
・頭部が細く精悍な顔つき
・エサをよく食べ拒食がない(少ない)
・総じて大人しい(幼体時は別)
■大変なところ
・大型種である
・エサの確保
・飼育スペースを取る
・情報が少ない
まず良いところに関しては,やはりニシキヘビの中でも最高峰の一種ではないでしょうか?
特定を除けば許可なしで飼育できる最大種の一角ですし,ベーレンパイソンに勝るとも劣らない手触りなどもへびの概念を変えてしまうかもしれません.
■カーペットパイソンの飼育はこちら↓↓↓
また本種は幼体時は比較的臆病?な性格ですが,成体になるにつれ温和で物怖しないようになります.
逆にデメリットとしてはやはり大型となりますので,飼育スペースの問題,保温の問題,エサの問題など出てくると思いますので,ここはよく検討するべきかと思います. (海外では1800*900*1200のケージで飼育されることが多いようです)
また情報が少ないです.
繁殖については共通の見解が出ているようで,この辺りは自分自身もチャレンジしたいですね.
5.オリーブパイソンのまとめ
いかがでしたでしょうか.
【オリーブパイソンの飼育・飼育環境】
日本ではまだまだ知名度の低いオリーブパイソンですが,その精悍な顔つきと大人しい性格,そして何より大きくなる.
とても魅力的なペットスネークだと私は思っています.
最近では国内CB化も成功しており,今後さらに知名度と飼育者が増えてくるのではないかと期待しています.
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう