【51Base】です.
【オニプレートトカゲの飼育・飼育環境】
ニホントカゲをゴツゴツさせたような見た目と思った以上に大きくなる…というよりそもそもベビーをほとんど見ることが少ないオニプレートトカゲ.
以前はタンザニアからの大量に輸入され非常に粗雑な扱いを受けてきた本種.展示即売会・イベントなどでは衣装ケースに詰め込まれて非常に安価で取引されていました.
ですが,数年前からタンザニアの輸出が禁止となり,本国へは全く入荷がなくなってしまい一時は本当に姿を見なくなりました.
ですが最近はトーゴ産のものが輸入されているようで再びよく見るトカゲになってきたかなといった印象です.
本種は安価であるためか,積極的に繁殖が行われてはおらず基本的にはWC個体が大量に入ってきます.
ですが非常に飼いやすく人慣れもし,更にはなんでも食べる.
まさに誰しもにおすすめしやすいトカゲの一種なのかもしれません.
今回はそんなオニプレートトカゲについてまとめていきます.
目次
1.オニプレートトカゲとは
■分類
爬虫網有鱗黙カタトカゲ科プレートトカゲ属
学名:Broadleysaurus major
英名:Sudan plated lizard
出典:Wikipedia
サウルスなんて完全に恐竜の様でカッコいいですね.
見た目もゴツゴツした鱗といい,ヨロイトカゲの様で非常にカッコいいんですが,顔を見ると意外にも大きな目をしており可愛らしい一面も.
亜種については現在2亜種ほど確認されているようで
・ニシオニプレートトカゲ
・ヒガシオニプレートトカゲ
見た目にはニシオニプレートトカゲの方が色彩が美しいものが多く好みが分かれるところかと思われます.
■生息地
アフリカ中部から南部にかけての広い範囲に分布しており,以前はタンザニアから非常に多く輸出されていましたが,野生動物保護による法律で輸出が禁止となったため,現在は主にトーゴ産のものが流通しています.
以前より流通量は減ったため,価格は高騰しておりますがそれでも8000~15000円でWCのアダルト個体が市場に出回っています.
タンザニア・トーゴ・南アフリカ共和国・ジンバブエ・エチオピア・カメルーンなど
■大きさ
全長:38~45㎝
最大全長:約50㎝
Gerrhosauridaeにて最大サイズではありませんが,日本のトカゲなどと比較しても非常に大きくなります.
また,見た目的にもニホントカゲによく似ていますので,初めて見る人はとてもビックリされます…
Gerrhosauridaeは7属37種と報告されていますが,日本でも何種かは市場に出回っています.その中でも本種は比較的ポピュラーな一種ではあります.
2.飼育環境
■飼育ケージ
基本的に本種は乾燥した岩山や草原地帯に生息しており,岩の隙間や穴などで天敵から身を守っています.
そのため,ある程度の立体活動はしますが,樹上棲のトカゲの様なレイアウトではなく,ヨロイトカゲの様な地表性トカゲのレイアウトが理想的かと思われます.
■ヨロイトカゲの飼育について
とにかく地表性のトカゲについては床面積をいかに確保するかにつきます.
また,小さなとトカゲに対しては非常に凝ったレイアウトも良いのですが,本種の様に比較的大型となる種はレイアウトを簡単に破壊されてしまうので注意が必要です.
(モルタルなどで作り上げる場合は別)
シンプルなレイアウトがメンテナンスもしやすいので良いかとは個人的には考えています.
飼育ケージとしてはグラステラリウムが第一選択でしょうが,基本的に高さはなくても大丈夫です.
また,本種はWC個体での流通が主ですので,育ったサイズの入荷しかありません.ですので初めから90㎝サイズを準備していても大丈夫ですし,終生飼育も可能です.
もしも多頭飼育など検討している場合は120㎝ケージは必要です.必ず隠れ家となるシェルターを複数用意してください.
深さのある衣装ケースでの飼育も可能ですし,自作ケージを作製してもより良いかと思います.
■自作ケージについてはこちら
■温度・湿度
本種が生息するアフリカ中部~南部はサバナ気候に属し乾燥した草原や岩山が連なっています.
高温かつ乾燥した気候で,昼夜の寒暖差が大きいところも一つの特徴です.
ですので本種を飼育するうえでのポイントは
□非常に高温のホットスポット
□冷えた夜間温度
ホットスポット直下は50℃程まで気温を上げるようにし,岩やレンガなどを置き,ジリジリと照り付ける太陽によって熱された岩山を再現してください.
照り付ける日差しだけでなく,温められた岩でお腹からも体を温めるといったイメージです.
よく真夏のプールサイドやアスファルトの上に手を置いてジリジリ照り付けられるような感じと表現する方が多い印象です.(あくまで個人的に聞いてきた話…表現は人それぞれですので)
*ケージ内温度
温度 | |
ホットスポット | 50℃ |
ケージ内温度 | 28-30℃ |
夜間温度 | 25℃(乾季は20℃以下も可) |
本種が生息する地域は明確に雨季と乾季に分けられ,乾季は日本でいう冬にあたります.
乾季はよく動物番組などでもみられると思いますが,非常に大地が乾燥し水は枯渇し植物は枯れてしまいます.
もちろん水を求めて哺乳類は大移動をするわけなんですが,爬虫類の様に変温動物は大移動をするほどのエネルギーはありません.
ですが,変温動物であるがゆえに食物の飢餓に対しては非常に強い傾向があります.このあたりはサバンナモニターの飼育でも書いていますのでぜひご覧ください.
■サバンナモニターの脂肪とエサについて
乾季は気温を15℃程度まで下げ,休眠を促すことも可能です.ですがこれは繁殖を視野に入れた飼育方法でかつ非常に飼育に精通したプロフェッショナルな飼育者が行っている方法です.
確かにレオパなども20年近く生きている生体の多くは…いやほとんどはクーリングとして乾季の休眠を取り入れています.私の知る限りではですが…
つまりサバナ気候に生息する生体の長寿のポイントは休眠と飢餓かと思われますが,この辺りは私自身も経験不足ですのでわかりません.
実際に上記を実践されている飼育者もいらっしゃるので参考にされてみてもいいかもしれません.
ですが,やはり飼育開始1-2年は年中加温し,飼育環境に慣れてもらう方が無難だとは考えています.むしろエサをいかに絞るかに焦点を当てた飼育が良いでしょう.
■爬虫類の温度管理と保温器具
■紫外線
アフリカに生息する昼行性のトカゲは非常に強い紫外線の下で暮らしています.
ビタミンD3の生成に紫外線のUVBは必須ですので,”可能であれば”用意するようにしましょう.
ここで可能であればと記載したのは,あくまで紫外線を必要とするのは自然界ではビタミンD3を経口で摂取することが困難だからです.
飼育下ではサプリメントなどで補うことも可能ですので,紫外線を使用するかどうかについては各飼育者の判断によりますが,最近はバスキングスポットと紫外線照射と2つの役割を果たすセルフバラスト水銀灯も多く販売されていますので,そちらを用いても良いのではないかとも思います.
■紫外線についてはこちら
紫外線灯には様々な種類がありますが,蛍光灯タイプで紫外線量が多いものはZOOMED社のものが最も歴史も古く信頼できるとは思っています.
ただし,紫外線量の多いものは光量としては不足しますのでケージ内を明るく保つためにも他の蛍光灯やLEDなど併用するようにしましょう.
UVBも大切ですが,活性を上げるためにはUVAもとても重要な役割を果たしますので,この辺りの設備投資はしっかりと行いましょう.
■水容器
乾燥した草原や岩山に生息している本種は水容器は必要なく,エサから水分を摂取するといった話もよく聞きますが,こと本種に関してはあった方がいいかな?といった印象です.
実際に飼育してみると,もちろん個体差はあるのでしょうが割とよく水容器内に入っている所を見かけます.
もちろんトゲオアガマなどの様に砂漠に近い環境下のものはわずかな水分を食事の中から摂取しているわけですが,本種は割と水もよく飲みます.
また,飼育環境としては非常に熱いホットスポットと冷えた環境というところがポイントとなりますので,熱くなりすぎた体を冷す水容器はあっても良いのではないかとは考えています.
特に爬虫類飼育の経験が少ない方や初めて飼育する方などは入れておいた方が無難でしょう.
3.エサ
■幼体時
幼体時についてはほとんど出回らないのではっきりとは言い難いところもありますが,本種は基本的には雑食性のトカゲで,物怖じせず餌付けも容易です.
コオロギやデュビアなどの無脊椎動物を中心に小松菜や青梗菜,食用の菊やタンポポなどはとても好んで食べます.
また果実を小さく切っておやつ程度に与えますが,バナナに対しては非常に食いつきが良いです.
(もちろん個体差はあるでしょうが)
そして本種が初心者向けとよく言われる理由の一つが人工飼料に餌付きやすいところでしょうか.
雑食性のトカゲに向けた人工飼料はとてもよく食べますし,例えばグラブパイなどは非常によく食べます.
成体での流通が主な本種ですが,WCの生体でさえ人工飼料に容易に餌付くことから幼体時からも餌付きやすいものと推察しますが,幼体の情報が非常に少ないことと,私自身の経験がないのであくまで考察の域を出ません.
*わずかですが繁殖例も聞かれますので,そういった方からの情報は非常に貴重です.
■爬虫類の餌代
■成体時
日本で流通している本種の多くはWCのアダルト個体です.
そして多くの生体で飼育開始後,特に苦労することなく餌付くかと思われます.
「なんでもよく食べる」
といった話をよく聞くほど本種は餌食いが良く,大人しく,そして丈夫です.
幼体時からの骨形成によるそこまでサプリメントは必要ないといった話も聞きますが,骨は強度を保つために常に再生している組織なので必ずサプリメントは使うようにしてください.
紫外線の項でもお話したようにもし保温球だけでの飼育をお考えの方がいらっしゃればビタミンD3のサプリメントは必須と考えてもいいでしょう.
また,人工飼料はそれだけで栄養価は非常に高く,それだけでの飼育ももちろん可能ですが,飽きてしまい餌食いが悪くなるものもいますので,時折活き餌や果実なども取り入れてやるといいと思います.
4.慣れる?ハンドリング
本種は初心者向けの爬虫類でも名前が挙がるほど人馴れしやすいものが多い印象です.
ですが,もちろん個体差はありますので慣れないものもいるでしょう.
個人的に見てきた中ではほとんどの生体が人馴れというよりは環境適応能力が高いといった印象を受けます.
ある程度の大きさになるトカゲは基本的に頭が良く,飼い主の事をよく見ています.
これはモニター・オオトカゲについても同様の事が言えると考えます.
■オオトカゲ・モニターの慣らし方
爬虫類は犬や猫のように触れ合って喜ぶような生き物ではありません.
ハンドリングも必要最低限でいいのではないかとは思っていますが,やはりメンテナンスの際などどうしても必要な場面が出てきます.
本種ついては掴むまでが大変な種もおりますが,基本的にはハンドリングも容易に可能です.
ハンドリングをする際はどの生体でも同じですが,基本的には下からすくい上げるように持ちます.
上から掴みかかると天敵の猛禽類を連想させますのでひどく怯えますし,攻撃もしてくるかもしれないのでいくら慣れた生体といえども注意を怠らないようにしましょう.
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
【オニプレートトカゲの飼育・飼育環境】
安価に取引される本種ですが,意外と情報は少なく特に繁殖例はほとんど聞かれません.
*安い生体はCB化されにくい傾向にあります.
現在はトーゴからの輸入がありますが,野生動物保護の観点からいつ輸入が禁止になるかわかりませんので,飼育される際はぜひ繁殖まで視野に入れて飼育してみてはいかがでしょうか.
特にこの時期からは爬虫類のイベントが多く開催されますし飼育もしやすい気温にもなってきますので.
*ベビーはかなり貴重です.
【新着】
— GROWING (@GROWING0429OPEN) March 27, 2019
オニプレートトカゲベビー!このサイズを見たのは初めてです⤴️ベビーから飼育をしたい方にオススメの個体❗ボールパイソンFHベビーが数匹入荷致しました。今ならお好きな個体選べます❗状態確認後販売を開始致しますので宜しくお願い致します。 pic.twitter.com/CitY0o7mbG
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう