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【インディゴスネークの飼育・飼育環境】
・トウブインディゴスネーク
・テキサスインディゴスネーク
・イエローテールクリボー
・ブラックテールクリボー
・ユニカラークリボー etc
いわゆるDrymarchonと呼ばれる種で,南北アメリカ大陸にて最大のナミヘビです.
本種はインディゴ,藍色をしたものを
インディゴスネーク
それ以外を
クリボー
と呼称するようですが,独立種やブラックテールを基亜種として亜種を分類するなど様々な考え方があるようです.
飼育方法は概ね同感覚で良いので今回は「インディゴスネーク」として考えていきたいと思います.
【目次】
1.インディゴスネークとは
■トウブインディゴスネーク
■テキサスインディゴスネーク
■イエローテールクリボー
■ブラックテールクリボー
■ユニカラークリボー
2.飼育・飼育環境
■飼育ケージ
■温度・湿度
■シェルター
■紫外線
3.エサ
■パイソンとの違い
■給餌間隔
4.性格
5.まとめ
目次
1.インディゴスネークとは
学名:Drymarchon couperi
Species and subspecies
D.caudomaculatus
D.corais
D.couperi
D.melanurus
インディゴスネークとはナミヘビ科では最大種となるヘビの一種で最大3mまで成長します.
大きな鱗と亜種によって光沢のある藍色や茶褐色のバリエーションを持ちます.
初めて本種の成体を見た多くの方が「コブラ」をイメージされると思いますが,無毒でCB個体は比較的おとなしい性格をしています.
ただ,パイソンと比較するとビックリするくらい移動速度が速いところにまず多くの方はびっくりすると思います.
基本的に昼行性と言われており非常に活発に活動する種として知られています.
Drymarchon属は主に6つの亜種からなると言われています
■トウブインディゴスネーク
アメリカ東部に生息する大型のナミヘビで固有種です.
IUCNではThreatenedで現地では厳重に保護されており,日本へはヨーロッパで増やされたCB個体が時折流通する程度で,ほとんど目にすることはないナミヘビです.
(一部では非常に人気でかなり高価にも関わらず,すぐに売れる印象)
全体的に藍色をした姿で,喉元に赤~オレンジ色の一部発色が見られます.
全長は約2m前後で大きいものでは2.6m程度に達します.
生息地が激減しているためにジョージア州とフロリダ州では特に厳重に保護の対象となっており,飼育に許可が必要な州もあるようです.
2022年3月にアラバマ州で野生のトウブインディゴスネークが見つかったというニュースが入ってきました。野生のものが見つかったのは60年で2度目だそうです。
日本でのCB個体はいるのかは不明ですが,もしかするとキープされている飼育者さんはいらっしゃるのかもしれませんね.
■テキサスインディゴスネーク
Drymarchon melanurus erebennus
その名の通りテキサス州近辺に生息している種で,主に南部とメキシコ北部でも生息が確認されています.
体色は藍色というよりは黒に近く,顎から喉元にかけてピンク色に発色する個体も見られます.
全長はトウブインディゴスネークよりは少し小型で最大で2.4m程度と言われています.
本種はテキサス州ではThreatened(絶滅の恐れがある種)とされ,厳重に保護されています.
ですので日本での流通は非常に稀であり,時折EUCBもしくは国内CBが少数見られますが,かなり高価にもかかわらずすぐに売れてしまうほどの人気があります.
■イエローテールクリボー
Drymarchon corais
独立種として扱われることが多くなってきた本種ですが,おそらくDrymarchon属の中では最も有名?な種ではないでしょうか?
日本でも稀に流通しますが,インディゴスネークと比較するとその流通量は多いイメージがあります.
https://twitter.com/peponi_minato/status/1087680774269067264本種の全長は2.5m程度まで成長しますが,大型のものでは3mを超え,Drymarchonでは最大種と言われています.
非常にアグレッシブでそれでいて素早い.扱いには難渋しますが,CB個体は大人しい個体が多いとか?(詳細不明)
いわゆるクリボーは中南米に生息しておりアメリカ原産というわけではないようです.
コロンビア・ベネズエラ・ガイアナ・ブラジル・エクアドル・アルゼンチン・パラグアイなど比較的幅広い生息地の様ですが,日本への入荷は非常に少なく高価です.
■ブラックテールクリボー
イエローテールクリボーより一回り程小さく,尻尾が黒色をしており,体色も黄色~茶褐色をしています.
メキシコ南部から中米の多くの地域,ベネズエラ,ペルーなど幅広く分布しています.
本種たちは絶滅の恐れのあるトウブインディゴスネークよりは生息地が広く,現在のところ安定しているとされます.
ですが,開発が進んでいる現地では今後Threatenedへのリストが懸念されています.
アメリカでは概ね600~800$程度で販売されており,Drymarchon属の中では比較的安価な種です.
ただし日本ではほとんど見かけることがなく,イエローテールクリボーよりも見る機会が少ないです.
そういった理由もあるのか,イエローテールクリボーよりも高価な価格で取引されることも多いようです. (最近はアザンの個体も日本に入荷しているようです)
■ユニカラークリボー
見た目はほぼブラックテールクリボーと変わりないのですが,成体になるにつれて尻尾の黒色が胴体と同色の黄色~茶褐色に変化します.
インディゴスネークと同種として考えられていましたが,最近では単独亜種として考えられているようです.
本種もイエローテールクリボーなどと同様に非常に流通は少なく高価です.
2.飼育・飼育環境
Drymarchon属は通常のナミヘビよりも大型化しますし,運動量・スピード・パワー,どれをとっても規格外です.
そして消化スピードも非常に早く糞・尿の回数も多いです(そして結構臭い)
ですので通常のナミヘビと同様な考え方,またパイソンと同様な給餌方法は本種には適用されないと思います.
■飼育ケージ
Drymarchon属は昼行性の傾向が強く,運動量も多いです.
そしてよく言われるのが体はあまり柔らかくないです.
これは幼体時よりは成体時によりその傾向が表れやすいと思います.
ですので最終的には120~180cm程度のケージは必要になってくると考えておいた方がいいかもしれません.
本種たちを飼育,もしくはブリーダーの多いアメリカでは少なくとも120cm最低でも用意するべきと多くの飼育者・ブリーダーは考えているようです.
幼体は50cm程度ですので,60cmほどのケージで飼育は十分可能ですし,立ち上げの際はもう少し小さなケージから開始した方が安心かもしれませんね.
*プラケースでも爬虫類に適した専用のものも販売されています.
少し成長してくると90cmもしくは120cmのケージに変更しましょう.
(少しでも長く同ケージで飼育したいのであれば120cmをおすすめします)
*グラステラリウムは非常に観賞性も高く前面扉も大きく開放するためメンテナンスもしやすくオススメです.
本種は環境に慣れてくると非常に活発に活動します.
そしてよく食べよく出すので,ケージの清掃はパイソンよりもかなり高頻度だということは頭に入れていた方がいいかと思います.
■温度・湿度
北米~南米にかけてひろく分布しているDrymarchon属はその生息域によって微妙に温度差はありますが,概ね最低気温は23~25℃を下回らないようにします.
ですがどちらかと言えば最高気温に注意した方がいいと思います.
特にケージ内の最低気温部分は28℃を超えないようにした方が良いといった話はよく聞きますので,注意してください.
温度(雨季) | |
ホットスポット | 32℃ |
ケージ内温度 | 26-28℃ |
夜間温度 | 23℃ |
温度(乾季) | |
ホットスポット | 32℃ |
ケージ内温度 | 23-26℃ |
夜間温度 | 20℃前後 |
温度調節をするためか,本種はよく水容器内にいる事やウェットシェルター内にいることもよく見かけます.
ですので湿度調節や温度調節はケージ内でしっかり勾配を設けるようにしましょう.
■シェルター
幼体時は環境に慣れるまでは必ずシェルターなどを用意し,落ち着ける場所を設けてあげましょう.
シェルターとウェットシェルターの2つ用意するべきといった意見も散見されるので,可能であれば2つ用意しましょう.
■紫外線
紫外線についてはパイソン同様に必須という根拠は乏しいようです.
日中に活動し,バスキングをしている姿も現地では見られるようなのでUVは必要だろうといったことが定説です.
ですが,ブリーダーなど全くUVを使用せず室内や窓の明かりのみで昼夜を再現し,繁殖に成功している方が大多数であるため,必ずしも用意する必要はないのかもしれません.
私は個人的に昼夜の再現と見た目的にも良いのUVではなくLED灯ですが,つける様にはしています.
雨季:12時間
乾季:10時間
季節と温度に応じて照明時間は変化させています.
3.エサ
■パイソンとの違い
Drymarchon属は非常に旺盛な食欲と早い消化が特徴です.
2~3日に1回程度は糞をすることが多いです.
またパイソンほど大きなエサを呑むことは苦手です.どちらかというと小型の獲物をなるべく多くといった具合でしょうか.
パイソンは獲物に噛みつき体で締め上げ絶命させたのちに呑みます.
ですが本種は獲物に噛みつき胴体の前1/3で押し付け圧倒します.ですので大きな獲物を捕らえるのは苦手なのかと思われます.
下手すると生きたままでも呑んでいきます.
ですので小さなエサを2匹や給餌間隔を短くするなどの工夫は必要です.
■給餌間隔
パイソンなどの場合は幼体時で3~4日に1回.ヤングでで1~2週に1回,成体では1ヵ月に1回程度で十分です.
ですのでその分糞の頻度も少なく管理は非常に楽です.
ですが本種については成体時でも週に2回程度の給餌は必要だと言われています.
アダルトラットを呑むことは困難な場合が多いので,成体時でも主にはアダルトマウスを2.3匹与えるようにします.アダルトラットのSサイズが呑めればそれでも可.
幼体時は環境に慣れているかどうかも大切な事ですが,慣れてエサを探すようになれば2日に1回は挙げてもよいかと思います.
幼体時は環境に慣れていない生体は吐き戻す生体が多い印象もありますので,まずはしっかりと環境に慣れさせてあげましょう.
(よく水を飲むのでかならず新鮮な水は多めに用意する)
4.性格
CB個体は概ね温和な性格が多いです.
ですが,野生採集個体のイエローテールクリボーは特に粗暴な印象です.
最近はEUCBのイエローテールクリボーなどは割とハンドリングもできて大人しい印象ですが,一昔前は素早い・噛むで非常に取り扱いの難しい代表種でした.
https://twitter.com/55Syusuke/status/1091252178193244160トウブ・テキサスインディゴスネーク,ブラックテール・ユニカラークリボーについては幼体時は臆病ですが,比較的おとなしい性格のものが多いです.
ただし,いずれもとても素早いのでハンドリングには苦労するかもしれません.
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
マニア垂涎のDrymarchon,インディゴスネークについてまとめました.
爬虫類飼育者の中で比較的に人気なパイソン達と比較して,いい意味でヘビらしく,またメンテナンスの頻度や関わる頻度としてはパイソンよりも多くなるため,ペットとしても最適な一種ではないかと思います.
ですが,やはり亜種によっては絶滅のリスクもあるので,その辺りは十分考慮したうえで飼育するようにしてください.
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう