【51Base】です.
【爬虫類のダニについて:対策と予防】
やってしまいました.
人生2回目ですが,他のケージに侵略されたのは初めてです.
「ダニが出た!!!」
今まで頑なにダニだけは徹底して駆除してきた経緯があったのですが,今回ばかりはやってしまいました.
個人的に飼育環境は特に気を付け,不衛生な環境など常に清掃と除菌は徹底してはいましたが,持ち込みのダニは水際で防がないとどうしようもありません.
■爬虫類飼育におすすめの除菌剤
■ダニとフロントラインの使用について
一度発生してしまうと殲滅まで非常に時間のかかるダニとの闘い.
理想としてはダニを発生させないという事が大切なのですが,この記事を読まれている方はすでに発生させてしまった方が多いかと思います.
ですので,今回は私が日頃行っているダニ対策とその予防,今回発生したダニの経緯と行った駆除についてまとめていきます.
目次
1.ダニとは?
■種類と問題点
ダニとは節足動物クモ網ダニ目に属する小型の動物で,大きいものが私たちが日ごろよく聞くことのある「マダニ」と呼ばれるものです.
その種類は4万種以上と言われており細分化されていないといった現状もあるようです.
ただ,寄生して吸血するものはごく一部で,主に「マダニ類」「イエダニ類」とに分けられます.
ダニについてはハダニやコナダニ,ニキビダニと私たちの生活に関わってくるダニは数多くおり,挙げればきりがないですし,私自身が専門家ではないのでここでは割愛させていただきます.
ちなみに私は「集合体恐怖症」なので大量のダニに寄生されたものなど見ると…
ヘビやトカゲなどを国内で飼育している場合に寄生される吸血性のダニは他の生体の病原体を保有している可能性があるので,飼育環境下で一気に感染が拡大してしまう可能性があるので要注意です.
特に個人的に怖いと常に感じているのが
「ズーノーシス」 *人畜共通感染症
□ 狂犬病
□ エキノコックス症
□ アニサキス症
□ 鳥インフルエンザ など
恐らくダニによるスーノーシスで一番に頭に浮かぶものは
「SFTS」 *重症熱性血小板減少症候群
ではないでしょうか.猫からヒトへの感染での死亡例も既に確認されていますしね…
いずれにしても爬虫類を飼育するうえでダニというものは、生体にとってもヒトにとっても注意が必要で,予防・駆除が重要だと思います.
2.今回の経緯
■ヘビの購入と検疫
今回の自身のダニ騒動の発端は,店舗で飼い込まれた生体の購入から始まります.
**ここから少々長文です↓↓
私は基本的に幼少期から自身の飼育環境に慣れてもらうため,万が一生体に何か問題が起きたとしても,その病歴やストーリーを把握していた方が長期飼育には有利と個人的に考えているため,ベビーかもしくはヤング個体より飼育を開始することが多く,あまりアダルト生体には手を付けないことが多かったのは事実です.
ですが今回は縁あってサブアダルトの生体を買取,約半年程店舗で飼い込まれた生体を購入しました.
いつもは購入後数日ほど小さなケージで様子を見て,ダニの有無を目視と水浸けで確認するのですが,3日ほど続けてダニを認めなかったため,購入3日目には用意していたケージでの飼育を開始していました.
WC個体には特に駆虫は念入りに行う必要がありますが,飼い込み個体であったため気が緩んでしまったのだと猛省しています.
飼育後1週間ほどはペットシーツ上もその下も全くダニらしきものは目につかなかったのですが,2週目に入り購入したものの上で飼育している生体が水容器内に入ったままになっていたのでどうもおかしいなと思い水容器内をよく見てみると…ダニが5匹程沈んでいるのを確認し,このときはじめてダニが出たことに気づきました.
購入した生体がカーペットパイソンのサブアダルトで鱗が大きく,空気が貯留しやすいため
ダニが水中で溺死することがなかったためかと愚考しています.
また,そもそもダニの数もそこまでではなく,生き残った少数の生体が2週かけて徐々に繁殖していったものかとも思われます.
あくまで考察の域を出ませんが鱗の大きいアダルト個体は特に注意が必要だと再認識しました.
(だったらアダルトにはフロントラインスプレーを使えよって話ですが…)
■スネークタワー
私は現在飼育している生体は全て自作ケージでの飼育にしています.
理由はいろいろあるのですが,個人的には流木の配置など自由度が高い点が気に入っています.
■爬虫類の自作ケージについて
ただ,この自作ケージで注意する点は隙間はコーキングで埋めていますが,後方の通気口から簡単に侵入されますし(ガラスケージでも上部のメッシュから侵入されそうだが),側面などもし塗装面でなければ隙間などに入り込まれ繁殖を容易にさせてしまうこともあります.
このタイプのケージは製作が簡単なので重宝していますが,ガラスケージよりもより清潔保つ必要があるかと思っています.
幸いなことに現在までにダニの存在が確認できたケージは上図のスネークタワーで,その他のケージへの侵入は認められませんでした.
2.今回使用したもの
■スネークレスキュー
ダニが出たからといって慌てる必要はなく,適切な駆除とその後の予防さえしっかりやっておけば概ね問題なく収束する場合が多いと感じています.
(Newsなどで見る数十~数百匹単位のマダニに吸血され衰弱しているものは除く)
よく使用されるものとして
・スネークレスキュー
・ジクラ
・フロントライン
・バポナ
などが挙げられ,私自身が使用したことのあるものとしてはジクラとフロントラインでした.
そこで今回は自身が使用したことがなく,副作用などの報告もないスネークレスキューで対応することとしました.
ただし,本商品は現在廃盤となっておりますので,今後入手は困難ですので,あくまで一つの方法として頭に留める程度にしておいてください.
■フロントラインの使用については下記の記事より
・スネークレスキューとは
モンスターズキーパー製の非医薬品.
フロントラインスプレーなどと違い非医薬品であり,生体への影響はなく安全に使用できると謳われていますので,飼育者としてはより安心して使用ができるのではないかと考えています.
販売先は多くはありませんが,モンスターズキーパーか,ワイルドモンスターから購入は可能です.(現在は廃盤となっており,ヤフオクやメルカリにて入手するしか方法がない)
・使用方法
使用方法は至ってシンプルで,付属のキャップにスネークレスキューを入れて散布するだけ.
60cmケージでキャップ半分.
90cmケージでキャップ1杯分で約1カ月は効果が持続するとのことです.
また,ダニが付着しているヘビに直接散布しても効果があるようですので別の小さいケージに移動して,ヘビに散布しても良いかと思います.
今回使用するにあたり,まず原因となった種に関しては別ケージに移動し,スネークレスキューをしっかりと散布.
使用していたケージも徹底的に殺菌・除菌し,スネークレスキューを散布.
上部に入居していたヘビ達にも同様に散布しました.
隣に配置していたスネークタワーについては今のところシェルターやペットシーツ下,生体への寄生は認められませんでしたが,同様に散布としました.
向かい側のモニターケージ,Drymarchonにも同様に確認するも認めませんでしたがこちらも同様に散布としました.
使用直後に数匹ですが上部ケージのヘビの身体から這い出てきましたが,数分後には絶命していました.
原因となった種の衣装ケース内でも10匹程度のダニが死んでいるのをすぐに確認できたので,効果は抜群だと実感しました.
ただ散布するだけで効果があるのか?と懐疑的でしたが,すぐに効果を確認でき,更にはフロントラインの様にあまり気を使う必要がないところが良いかな?と,個人的には感じました
4.よく使用されているもの
■ジクラ ヘビ用防ダニ消臭剤
「有限会社ジクラ」より発売されているヘビ用防ダニ消臭剤.
有名な商品では「万能消臭剤」がありますが,本製品はダニや雑菌の発生を抑制するものです.
基本的にダニを殺すのではなく,防止する効果が期待できるので,日常のメンテナンスの際にケージ内で使用するようにしましょう.
120種類の天然植物成分に除虫菊・レモン抽出エキスを加えたヘビ・トカゲ専用の防ダニ・消臭剤です。
飼育床やケージ内に漂う臭いをスプレーするだけで消臭効果はもちろん、ダニや雑菌などの発生を抑えます。ヘビやトカゲに有害なアルコールは一切使用していません。
サイトより引用:https://www.zicra.com/products/agito/01.php
有害なアルコールを使用しているわけではありませんが,やはり生体に直接噴射することは可能な限り控えた方が無難だと思います.
あくまでケージ内でのダニ発生の予防と思って使用するようにしましょう.
■フロントライン
フロントラインとは主に犬・猫用のノミ・マダニ駆除剤で,使用後24時間以内にほぼ100%のノミ・ダニを駆除することが可能と謳われています.
また,効果が約1カ月持続するため,再寄生された場合も即座に効果を発揮してくれます.
動物病院でも処方されており,フロントラインスプレーは使用も簡単で個人的には重宝していました.
ただしアルコールを含む為,顔周囲には使用できないことと,弱っている生体やベビーへの使用は控えた方が無難化と考えます.あくまで自己責任にてご使用ください.
*幼体のカーペットパイソンに使用し,その生体を亡くしてしまった友人がいましたのであくまで飼育者の自己判断,自己責任の上で使用してください.
スネークレスキュー以上に即効性はあるかと思いますが,使用後は非常に強烈なアルコール臭がしますので,ケージ内を清掃したのちしっかりと換気してから戻すようにしましょう.
■実際の使用に関してはこちら
■バポナ
こちらもいわゆるダニに対する対処としてよく名前が出る三種の神器のひとつかと思います.
以前は劇薬指定でしたが,2012.5~ジクロルボス樹脂蒸散剤の劇薬指定が解除されております.
個人的には使用したことはないのですが,使用方法も非常に簡単ですので一考の余地はあるかと思います.
ただし,バポナは医薬品で水にも溶けやすく効果が非常に強いので他の生体への影響も十分考慮してから使用する必要があります.
基本的には吊るしておくだけで効果を認めますが,餌用のコオロギやデュビア,奇虫に至るまで同室であればまず間違いなく全滅します.
隣室であっても死んでしまったといった報告を聞いたことがあるので,餌用の無脊椎動物を繁殖させている方などは特に注意してください.
概ね爬虫類部屋に吊るしておけば翌日にはダニの死骸がゴロゴロとペットシーツ上にあるかと思います.
(居室と爬虫類ケージが同室の場合は使用を控えた方が良いです)
また水に溶けやすいので水容器に殺虫成分が溶け込みますので使用中は水容器は取り除く必要もあります.
効果が持続する期間は3カ月でその水容器の水を飲んで死んでしまったといった話は聞いたことがないのですが,念のため使用中は気を付けた方が良いかと思います.
ですが,間違っても3カ月間も水容器を取り除くわけにはいきませんので,短期間での駆虫に留めた方が良いでしょう.
使用が非常に簡単で部屋全体に効果があるので「最強のダニ駆除」かと思いますが,生体だけでなく私たちへの影響も加味すると少し使用には躊躇してしまいます.
ただ,ベテラン飼育者の方などは
・バポナ
・フロントライン
の二刀流でばっちりダニを駆除していますので,駆除率は信頼できるものと思います.
*何度もダニを発生させていると抗体を持つ子が生まれてくる可能性もあります.短期間でしっかりと駆除し,その後はダニの発生を予防することに注力しましょう.
ただし,第Ⅰ類医薬品ですので使用法は必ず守りましょう.
■水
個人的には安価かつ最強兵器だと思っています.
購入後の生体はよほど状態が悪くない限り,私はとりあえず水攻めにてダニの有無を確認しています.
ただし,効果は抜群というわけではなく,鱗が大きい種などでは鱗の隙間に空気が入り込みダニが溺死せずに生き残ってしまう場合もあります.
(今回のダニ事件の原因は多分これ)
ですのであくまで検疫として行う様にしてください.
小さなプラケースや衣装ケースなどにぬるま湯を入れ,下からパネルヒーターで保温してください.
小さいプラケースなどでしたらこれで十分保温ができます.
翌日くらいにプラケース内の水中に黒い点々が見られればそれがダニです.
ダニを発見した場合は上記に挙げた方法で駆除しますが,その時点では他のケージへは移動していないと考えられるのでその生体を隔離するプラケースか衣装ケースに入れて1-3週かけてダニを駆除します.
ダニの死骸が見られなくなれば飼育ケージに移動するといった感じです.
ヘビの場合はほぼすべての生体でこの作業を行い,あとは目視で鱗の間を確認したりしますが,特に首元や目の周囲などは念入りに見ています.
(ダニの幼体や卵は目視では確認できないのであくまで寄生されているかを確認する程度)
あとは吸血し終わったものが,シェルターの天井などにもよく付きます.
また,よほど大型の個体でない限りは全身が浸かれる水容器を常設していると思いますので脱皮前でもないのに水容器に長時間浸かっている場合なども注意して水容器内をチェックしてみてください.
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
【爬虫類のダニについて:対策と予防】
私たちの生活にも関係しているダニ.一概にすべてが開くというわけではありませんが,感染症を媒介したり,人間ではアレルギー症状を呈したりと可能な限り増殖は予防したいところ.
今回は私自身の不注意と過信により生体にはつらい思いをさせてしまい猛省しています.
日頃から清潔な環境でこまめに掃除をしていれば増殖させることもなく,生体にとっても飼育者にとっても快適な爬虫類ライフが送れることかと思います.
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう