【51Base】です.
【ヨロイトカゲの飼育・飼育環境】
レオパやフトアゴ,モニターなどの人気に影を潜めていますが,熱狂的なファンが多い個体群
ヨロイトカゲについてです.
爬虫類を飼育したことがない方や爬虫類を飼育飼育を始めて間もない方など,意外と知名度が低い印象の本種たち.
それもそのはず,ヒナタ・ジョーンズ・ネッタイなどを除けばどの個体も非常に高価.
特にオオヨロイトカゲなんて目ん玉飛び出るくらい高い.
主に市場に出回っている種としては
□ ヒナタヨロイトカゲ
□ ジョーンズヨロイトカゲ
□ アルマジロトカゲ
□ ディプレッサワーレンヨロイトカゲ
□ ジンバブエヨロイトカゲ
□ オオヨロイトカゲ
□ マサイヨロイトカゲ
といっても今ではほとんど見ることはありませんね.
ディプレッサやジンバブエなんて実物は10年以上見たことがないです…
概ねどの個体も飼育環境は乾燥した草原と思っていただいて構いません.
ですので今回はまとめてヨロイトカゲとして本種たちの生態や飼育環境についてみていきましょう.
1.ヨロイトカゲとは
■分類
爬虫網有隣目ヨロイトカゲ科ヨロイトカゲ属
→現在はこのヨロイトカゲ属を6属に細分化されています
□ Hemicordylus
□ Karusasaurus
□ Namazonurus
□ Ninurta
□ Ouroborus
□ Smaug
*ちなみに
ウロボロス=アルマジロトカゲ
スマウグ =オオヨロイトカゲ
ウロボロスはなんとなくモンスターハンターに出てきそうな名前ですね. (ディアボロス・ボルボロス)
オオヨロイトカゲのスマウグ属は,映画「ホビット」で登場した竜,スマウグがその由来だそうです.
■生息地
オオヨロイトカゲ・アルマジロトカゲ
:南アフリカ共和国 北東部~西海岸の乾燥した草原もしくは岩山の斜面 (生息域が限られている)
最大全長40㎝、傾斜のゆるやかな草原に生息、甲虫類やバッタ類などを食べる。
オオヨロイトカゲです
— カネゴン (@kanegon1289) December 11, 2022
この子はレオくん♡ pic.twitter.com/CcosIM0up6
ヒナタ・ジョーンズ
:ケニア・ジンバブエ・タンザニア・コンゴ民主共和国 (生息域が広い)のやや乾燥した森林域に生息。
ヒナタヨロイトカゲの亜種とされていて顔が短い。
これはどの種にも言えることですが,基本的に生息域が限られていたり島国の固有種などは非常に厳重に保護されていることがほとんどです.
バスキング☀️#ヒナタヨロイトカゲ#トロピクスヨロイトカゲ pic.twitter.com/DaBZJO9Oix
— mop (@mopmop123456) December 29, 2022
■大きさ
オオヨロイトカゲ:40㎝
アルマジロトカゲ:20㎝
ヒナタ・ジョーンズ:15㎝
マサイヨロイトカゲ:15㎝
大きさはオオヨロイトカゲが頭1つ抜き出ていますが本属種は総じて小さな種です.
ですが小さいながらもドラゴンの様な佇まいは非常に魅力的です.
2.飼育環境
■飼育ケージ
オオヨロイトカゲは割と大型のケージが必要となりますが,概ね60~90cmほどのケージで飼育可能です.
主に岩場をイメージした飼育環境を構築すると良いかと思います.
床材はクッションフロアを使用していますが,サンド系の床材やウッドチップなど乾燥したものなら何でも良いです.
また本種は思っている以上に立体活動をします.
樹上棲トカゲのように細い木をスルスルといった感じではなく,太い幹や岩を登るといった感じです.
ですので小さなケージでも少し高さを持たせてやればいろいろとレイアウトも可能です.
また本種は乾燥系のトカゲなのでホットスポットはかなり高温にします.
ですが,ケージが小さいとケージ全体の温度が上がりすぎてオーバーヒートする危険性もある為,ある程度の温度勾配を持たせるために広いケージの方が良いかもしれません.
また本種の様な乾燥地帯に生息しているものには高さのないケージを使用したほうが温度もしっかりと上がるので個人的にはおすすめ致します.
■温・湿度
本種たちは主にアフリカ大陸の乾燥した砂漠・草原地帯などに生息しています.
この環境の特徴としては昼は非常に熱くなるのに対して夜間はとても気温が下がります.
特に乾季ではこの傾向が強く,10℃程度まで低下することもあります.
*飼育者によってはアフリカ系のトカゲは冬でも夜間の保温はしないといった方もいらっしゃいます.
(*あくまで経験豊富なベテラン飼育者であり休眠目的に行います)
*雨季
ホットスポット直下 | 最高温度 | 最低温度 | |
日中 | 45-50℃ | 31-35℃ | 28℃ |
夜間 | 使用なし | 26-28℃ | 21-23℃ |
*乾季
ホットスポット直下 | 最高温度 | 最低温度 | |
日中 | 45-50℃ | 26-29℃ | 20℃前後 |
夜間 | 使用なし | 21-23℃ | 15℃前後 |
乾季は日中・夜間ともに非常に気温が下がります.
室内であれば夜間は無加温で飼育しても良いですが,飼育初期の頃は焦らず加温し続けた方が無難だと思います.
繁殖を考えるのであればこの乾季の休眠が非常に重要となってきます.考えないのであれば年中加温しても良いかもしれません.
(寿命に与える影響は不明)
可能であればホットスポット下は石や岩,レンガなどで腹部からも温まるようにしましょう.
手を置いてもジリジリと熱い感じがベストです.
夜間の温度は乾季で15℃前後までは大丈夫ですが,幼体時など生体が環境に慣れていない時期は20℃を下回らないように注意が必要です.
湿度に関して,本種たちは多湿の環境に生息はしていませんが,巣穴や岩陰などは野生下でも湿度は割とあります.
ウェットシェルターなどを設置し,シェルターを選べるようにしてあげるといいです.
*資金的余裕があればメタハラはぜひ導入したい↓↓↓
*最近はセルフバラスト水銀灯も充実してきておりますのでメタハラ導入を検討する際にはこちらも一考の価値はあると思います.
■シェルターと水容器
まず本種たちは概ね警戒心が強く臆病な個体が多いです.
とくにヒナタ・ジョーンズなどはそのほとんどがFHが現地採集個体などで警戒心は強い傾向にあります.
モニターなどは慣らすためにシェルターなどは置かないといった場合もありますが,本種に関しては湿度調整の面も踏まえてシェルターはあった方が良いでしょう.
理想はウェットシェルターと通常のシェルターを2つほど入れてあげましょう.
■床材
基本的にはなんでも構わないのですが,やはり砂系の床材の方が生体もより映えると思います.
また,肉食の本種は割と糞の頻度も多いのですが,砂がついてよく乾燥しますので思っている以上に臭いも気にならないと思います.
■爬虫類の臭い対策
そして注意したいことが,サンド系の床材を使用する際は必ず誤飲があります.
ですので,可能な限り爬虫類専用に販売されているものを使用するようにしましょう.
3.エサ
本種は肉食性のトカゲです.
基本的にはサイズにあったコオロギやデュビア・ワーム系を与えます.
恐らくピンセットからの給餌は初めのうちは難しいのでまずは置き餌から始めましょう.
環境と飼育者に慣れてくればピンセットから食べてくれる個体も出てきますが,根気が必要です.
時折鶏のササミや魚を与える飼育者もいますし,ごく稀に人工飼料にも餌付く個体もいます.
(*人工飼料自体が最近流通量が増えてきたものですので今後もしかすると人工飼料でも飼育が可能となるかもしれません)
*乾燥コオロギに餌付いてくれれば管理は楽です. (冷凍・乾燥エサはカルシウムだけでなくビタミン剤の添付も必須)
4.多頭飼育
あまり大きくならない本種は広いケージさえ準備してあげれば多頭飼育は十分可能です.
ですが多頭飼育をする際に注意したいことは
□ 相性
□ 餌食い
まず相性ですがこれは本当に
「わかりません」
いつまでも追いかけ回す個体もいれば全く無関心な個体もいます.
サイズについてもほぼ同サイズでないと致命傷となるケガすら負うリスクがあります.
そして餌食いについては,全個体で餌食いが良好であることが大切です.
全ての個体にしっかりと餌が行き届いているかを慎重に観察する必要がありますので,この辺りは十分注意しましょう.
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
【ヨロイトカゲの飼育・飼育環境】
飼育環境さえ整えてあげれば本種は非常に丈夫で飼育も容易だと思います.
ただヒナタとジョーンズ以外のヨロイトカゲは非常に高価です.
ですが,最近はヒナタもジョーンズもめっきり見なくなりました.
2-3年程,爬虫類から離れていた時期があったのですが,その間に輸入が激減し現在はヒナタ・ジョーンズ3万円以上もするようです. (10年前は子持ちでも3000~5000円で割とイベントでもよく見かけた)
それもそのはず.オオヨロイトカゲを始めヨロイトカゲたちはその乱獲により数が激減しているようです.
オオヨロイトカゲなんかは10年以内に絶滅する可能性を示唆するショッキングなニュースが2017年にNATIONAL GEOGRAPHICにて報じられました.
ですので今後本種たちを飼育するとなれば野生採集個体ではなく,CB化がすすんだ個体を購入する方向へ進んでいきそうですね.
(これはどの爬虫類においてもその方向へ向かうはず)
生態数が激減している生き物を飼育することに関しての是非はここでは問いませんが,いずれにしても生き物を飼育することは野生からの略奪であることを頭に入れて,責任を持って最後まで育て上げるようにしましょう.
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう