【51Base】です.
【ミズオオトカゲ・サルバトールモニター】
ー飼育・飼育環境ー
爬虫類飼育者にとって憧れのオオトカゲ。その中でも特に大きくなるサルバトールモニター。
本種は東南アジアからユーラシア大陸の南部に生息しています。
そのため東南アジアの島々によってそれぞれ独立した亜種が存在し,大きさやカラーなど 様々です。
いわゆる「島モノ」と呼ばれる多種多様なサルバトールモニターは爬虫類飼育者の心を鷲掴みにします。
ワカトビ・イリアンジャヤ・オビなど…
基本的な飼育方法はほとんど同じですので今回はサルバトールモニターと一括りにしてまとめて紹介していきたいと思います。
帰路での仕事があり、たった今帰宅
— kenny茨城 (@kennyibaraki) September 25, 2022
やはり私はデケー連中に埋もれてるのが居心地いいです
掃除は明日でとりあえず我が屋の軍団のみんな
「ただいま!」#上州DROPOUT#サルバトールモニター#ミズオオトカゲ pic.twitter.com/62Xx4WM7sx
目次
1.ミズオオトカゲ(サルバトールモニター)とは
■分類
爬虫網有鱗目オオトカゲ科ミズオオトカゲ亜種
参照:Wikipedia
基亜種とされるサルバトールモニターはスリランカに生息する個体群のみとされています。
本種の中で最も大きくなる種とされておりますが,恐らくは様々な交配により個体差が激しい事もまた事実です。
ですので本種は原産の島によって別亜種とされ7種の亜種が存在しています。
■生息
ユーラシア大陸南部(スリランカ,中国南部,インド)から東南アジア全域.各島によって別亜種が存在。
IUCNのレッドリストではLeast Concernと保護の対象ではありませんが,種によっては厳密に保護されています。
参考:レッドリスト
本種における分布域においてはスリランカ・インド・ジャワ島・スンバワ島・スマトラ島・ボルネオ島・バリ島・オビ島などがある。
野生のサルバトールモニター!! pic.twitter.com/uoFGWey5Zt
— ガンプ (@zyaazyaaGUMP) September 24, 2022
■大きさ
平均全長:1.5~2m
最大全長:2.5m
春先〜展示即売などでは実に多くのベビー〜ヤングが店頭に並びます。
ベビーは全長50cm程度で販売されている事が多いのですが,基亜種の最大全長は2.5メートルであることは絶対に忘れないでください。
生後一年で80㎝、一年半もすれば1mを超えてきますので相当な覚悟がなければ終生飼育は出来ず,手に負えなくなる可能性があります。
■初めての飼育におすすめしにくいトカゲ5選
ですが基亜種に限らずミズオオトカゲは尻尾が長いです。
そして比較的スリムな体型をしていますので思っている以上には大きくありませんが最大サイズになれば恐らく大人一人で制圧する事は難しいでしょう。
トカゲで思い出したけど。
— ジョージ=コクム(いろんな意味でサスティナブルバーガー「Joji」店長兼バーガー。赤字貿易経営者!) (@_596_) February 9, 2023
タイ・バンコクには
「ルンピニ公園(Lumpini Park)」
というミズオオトカゲの
大群が街中に住んでいる大きな公園でな。
公園内の道路でもノッソノッソ歩てて
自転車が急ブレーキ踏んで
転んでいたりそういう平和的な公園なんだけど。
(続く1 pic.twitter.com/DWAgjxZQRK
2.サルバトールモニターの飼育ケージ
■幼体時〜ヤング
ミズオオトカゲはイグアナやアガマ系と比較すると力が強いです。
ですので基本的には逃げられない為にまずは既製品のケージを強くオススメします。
■爬虫類ケージの選び方
ベビーの成長はとても早いので可能であれば初めから大きなケージで飼育しても構いませんが,飼育初期はバタつく生体が多いです.
立ち上げ時は小さめのケージで飼育したほうが慣れやすいと言った話も聞きます.
*頑丈なケージでないと簡単に破壊されます
早く人慣れさせたい場合はある程度小さめのケージから始めてもよいかもしれません.
ただし,すぐに新しいケージを買うことになるかもしれませんが…
■亜成体〜成体
1メートルを超えたあたりから成長は鈍化してきます。
尻尾が長いため何とか既製ケージでの飼育も可能ですが,慢性的な運動不足が懸念されますので150〜200cm程のケージは用意したいところです。
そのサイズとなると特注もしくは自作ケージとなります。
ミズオオトカゲは特定動物に指定されていませんので自作ケージについては自己責任となります。
■爬虫類の自作ケージについて
くれぐれも脱走だけは避けたいところです。 (大型の生体が脱走すると非常に危険です)
全員集合!#ミズオオオカゲ#サルバトールモニター#スンバワ#ラフネックモニター#ザラクビオオトカガ#コバルトツリーモニター#アオホソオオトカゲ#ブラックツリーモニター#クロホソオオトカゲ#オオトカゲ#ケージ#飼育環境#爬虫類#爬虫類好きと繋がりたい pic.twitter.com/vfsO7lkCDl
— ウィステリア〜wisteria アクアリウム&レプタイルズ (@wisteria1992) May 12, 2022
3.サルバトールモニターの飼育環境
■温度,湿度
ユーラシア大陸南部から東南アジアにかけては熱帯モンスーン気候で基本的には高地を除き一年中蒸し暑い日が続きます。
平均気温:29℃(タイ)
日本の様な四季はなく乾季と雨季に大別されます。
ですが年間通じて日中は30℃以上にはなりますのでホットスポットは40℃以上は欲しいところです。
夜間は熱帯雨林は砂漠地帯と違い熱が下がりにくいため,可能な範囲夜間の温度も大きく下げるべきではないです。
参照:地球の歩き方
*温度管理
温度 | |
ホットスポット | 45℃以上 |
ケージ内温度 | 30-31℃ |
ケージ内最低温度 | 28℃ |
夜間温度 | 26℃ |
*ケージ全体の保温には暖突がおススメです.
*非常に熱くなるので必ずサーモスタットにてコントロールしましょう。
■湿度
熱帯モンスーン気候である為,年中蒸し暑いです。
平均湿度:75%
日本での7-8月くらいの気候が1年中と思えば良いのではないでしょうか。
また,日本の冬期は非常に湿度が低下しますので,湿度管理は非常に重要となります。
■爬虫類の湿度管理
またミズオオトカゲは水生の強いトカゲです。ケージ内には必ず全身がゆったりと浸かれる水容器を設置しましょう。
また水容器の下にヒートパネルなどを設置すると程よく湿度が保たれます.
■紫外線
昼行性のトカゲに紫外線は必須です。
■爬虫類の紫外線について
タイ,東南アジアは赤道付近の国々であり紫外線は日本よりかなり強いです。
基亜種を含み生体の模様や発色の多くは紫外線に依存しますが,飼育下では必ずしも必要ないといった意見も根強く,紫外線灯なしでも繁殖まで成功させているかたもいますので,この論争については依然として不明な部分も多いかと思います。
■オオトカゲの紫外線について
またカルシウムの吸収にはビタミンD3が必要です。
紫外線の強さを考慮するとメタハラを強くオススメしますがとても高価です。
こういった紫外線ライトなども売っていますがやはり紫外線量は少ないと言われています。
最近は安定期内蔵の紫外線ライトも販売されています。
*セルフバラスト水銀灯も充実してきておりますのでメタハラ導入を検討する際にはこちらも一考の価値はあると思います。
*個人的には最も紫外線量の多いラプターをオススメします。
*資金に余裕があればメタハラはぜひ導入したい
モニターなどのオオトカゲは,魚や小型の哺乳類・他の爬虫類などの獲物を丸呑みにします。そのため,カルシウムを吸収するために必須の脂溶性ビタミン,「ビタミンD3」は経口にて摂取できていると思われます。
そのため,モニターには紫外線は必要なくホットスポット用のレフ球のみでの飼育も可能といった話も最近はよく聞きます。
確かに長期飼育されている方でも紫外線灯はほとんど使用していない方もいらっしゃいますが,現時点でその影響は不明なため,可能な限り紫外線は使うようにしましょう。
4.サルバトールモニターのエサ
■幼体時~ヤング
野生下でのミズオオトカゲは昆虫を中心に魚や甲殻類,カエルやヘビ,鶏の子供に卵など基本的になんでも食べます。
生息域も熱帯雨林だけでなくタイの都心部にも生息域を広げており,死肉や魚の死骸なども食べます。
モニターを飼育するうえで基本となるのは
野生下で栄養豊富なげっ歯類などはほとんど捕食することはないでしょうから,幼体時はほぼ無脊椎動物を食べていると言われています.
■サバンナモニターの脂肪とエサについて
コオロギを中心にデュビアや時折小魚や鶏のササミなどを与えます。
昆虫食であれば毎日与え,小魚やササミを与えた後は1日ほど空けても構いません。
爬虫類は総じて飢えには非常に強い生物です.2-3日エサを与えなかったとしても問題はありません。
■亜成体~成体
全長が1メートルを超えてくると徐々にモンスターとしての風貌がでてくるかと思います。
この時期では昆虫食での管理はかなり困難となります。
彼らは非常に泳ぎが得意なトカゲで,水生が非常に強いです。
現地では水辺のものはなんでも食べますので,魚や甲殻類,鶏のハツやレバーなども与えても良いでしょう。
我が家のミズオオトカゲ(カミンギーモニター)は1メートルを超えたあたりから冷凍雛ウズラや鶏のハツ・レバーそして手羽はしの骨を砕いたもの,魚の切り身と肝,小さければ丸ごと,エビ・カニなどを与え,時折成虫のデュビアにしており,げっ歯類はほとんど与えたことはありません.
数カ月に一回ほどヘビたちが食べなかったファジーやホッパーマウスの様な小さいサイズを与えています。
5.サルバトールモニターの飼育の心構え
■懐くのか
個人的にはここがとても大切なことだと思っています。
モニターは大型のトカゲであるため他の爬虫類に比べて頭がいいと思います。
■モニターの慣らし方について
ですがそれは犬や猫のようにではなく,あくまで警戒しなくなった程度だと思ってもらえればと思います。
餌を与える飼育者の顔も覚え,名前を呼べば寄ってきます。
海外のサイトなどを見ると人間の背丈ほどのモニターを抱っこしている写真などを見ることもできるでしょう。
ですが,あくまでそれらのモニターはごく一部です。
本来は野性味あふれる個体で,危険な面も多々あります。
そんな生物が愛玩動物のように懐いている姿が珍しいからクローズアップされているだけで多くのモニターはそうではないということを頭に入れておいた方がいいと思います。
懐きませんが,環境や飼育者に慣れてくれます.
また,部屋に放し飼いにされている方や外を散歩されている方もよくお見掛けしますが,その方たちはモニターの飼育歴も長く,その生体について誰よりも熟知されているプロフェッショナルです。
誰にでもできることではありませんので,まずは飼育している生体との信頼関係を時間をかけて構築していってください。
■噛まれたら
大型となったこの種に噛まれることはあまり想像したくはありませんが,やはり生き物ですのでどんなに慣れていても噛むことはあります。
モニターの歯は非常に鋭く顎の力もヘビなどとは比べものになりません。
噛まれてすぐに離してくれれば良いのですが,噛んだまま離さない個体もよくいます。
無理に引き離そうとすると傷口が裂けて感染のリスクが高まりますので可能であれば生体が離してくれるよう促しましょう。
具体的には
・口腔内に割りばしやピンセットを入れる(傷つけない様に)
・ケージ外であればゆっくりケージ内に戻してお腹をしっかりと床材に付ける
・きれいな水があればその中に入れる(糞などで汚染された水容器は✕)
などで,簡単に言うと落ち着かせてあげることが肝要です。
噛まれた後は流水でしっかりと傷口を洗い流しましょう.傷口の腫れがひかない,化膿してくる場合はすぐに医療機関に受診するようにしましょう。
■爬虫類の突然死について
爬虫類の咬傷で危険なのはサルモネラ菌の感染です.最悪の場合,敗血症を発症するリスクがありますので注意が必要です。
また大型のモニターに手指など咬まれた場合は指の腱や神経を損傷している可能性もあるため専門医の診察を受けるようにしましょう。
6.ミズオオトカゲ(サルバトールモニター)のまとめ
いかがでしたでしょうか。
ミズオオトカゲは爬虫類の中でも大きく,そして抜群にカッコよく頭も良い種です。
ですが,大型であるということはそれだけ危険であるということも理解する必要があります。
育て上げたミズオオトカゲは本当に素晴らしいトカゲだと思います。
飼育する際は大きくなっても終生飼育ができる環境を提供できるよう心がけていきましょう。
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう