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爬虫類の突然死について~トカゲやヤモリ、ヘビについて1人の飼育者として考える~

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【51Base】です.







【爬虫類の突然死について】

~トカゲやヘビについて1人の飼育者として考える~






この記事をご覧の皆様はもしかすると最愛の爬虫類が亡くなられた方かもしれませんね.

御悔やみ申し上げます.

私もつい先日,とても可愛がっていたヘビが突然死をしてしまいました.




今まで様々なヘビやトカゲを飼育してきましたが,確かに突然死については他の飼育者から伝え聞いていたりしましたが,自身の生体では経験がありませんでした.
(恥ずかしながら他の死因で亡くしてしまった生体はいます…)

もちろん,死因がわかれば今後の対応策も十分とれますので一番は近医へ相談することが良いと思いますが,例えば地方などでは近隣に爬虫類をはじめとするエキゾチックアニマルの診察を行ってくれる動物病院がないことも…

私が住んでいる地域もエキゾチックアニマルを診てくれる動物病院まで車で約1時間半ほどかかります.

翌日に仕事を休んででも行ければいいのですが,全ての飼育者でそういうわけにはいかない事情もあるでしょうし,やはりエキゾチックアニマルに対する死因について,情報が乏しいな…といったところが正直な感想です.


そこで今回は自身の生体の死を無駄にしない為にも,飼育環境などの環境因子,生体自身の健康状態など突然死が起こる原因について考察していきたいと思います.

自身の生体に何が起きたのか,それを知るにはあまりにお情報が少ないと感じ,たかだか一爬虫類飼育者の見解など医学的見地があるわけではないと重々承知の上ですが,少しでも悩まれている飼育者の方々の力になれればと思いこの記事をまとめました.


*治療方針・投薬,または死因などの診断や処方は獣医師が行います.今回起きた自身の生体に対する個人的な考察であることをご了承ください.




 【内容】

  1.突然死とは

  2.原因と傾向

   ■肥満

   ■肺炎

   ■細菌感染

   ■寄生虫

  3.環境因子

   ■不適切な飼育環境   

   ■飼育ケージ

  4.生体の健康状態

   ■呼吸

   ■便・尿酸

   ■体型

  5.まとめ

 

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1.突然死とは



突然死とは

突然死とは、症状が出現してから24時間以内に死亡に至ることである。虚血性心疾患、心室性不整脈、大動脈瘤破裂、脳血管障害、てんかん重積発作、喘息重積など死因が特定できるものと、解剖などによっても疾患の特定できない原因不明の突然死がある。

引用:Wikipedia



上記は私たちに関する突然死についてですが,概ね爬虫類にも同様の事が言えますし,私たち人間でさえ未だ未知の病などあり,治療法がないものもあります.エキゾチックアニマルに関しても原因不明の疾患があってもおかしくないと思います.

私たちの場合は心疾患や脳血管疾患,または急性外傷などによる急死が知られていますが,爬虫類たちは言葉をしゃべれないので,症状が出現して24時間以上経過していることも十分考えられます.


ではその爬虫類の突然死を起こす原因としてはどういったものがあると考えられるのでしょうか.




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2.原因と傾向

 ■肥満



恐らくは爬虫類を飼育するうえでの死因の上位に必ず入ると思われる肥満についてです.

飼育下にある生体は慢性的な運動不足と,栄養過多により容易に肥満体となります.

そしてこれはアフリカなど,過酷な環境にあるものに多い印象です.




 ■サバンナモニターの肥満と脂肪について

サバンナモニター 脂肪と餌について
...





また,太っている生体の方が「可愛い」と思う方も少なからずいらっしゃるようです.

肥満は生体の内臓を圧迫し,多臓器不全や生殖異常など来してしまい,短命となることが多いです.

しっかりと動き回れる飼育環境と特にエサについては飼育者が厳密に管理するようにしましょう.





 ■肺炎



爬虫類において比較的多い肺炎ですが,不適切な温度・湿度管理不衛生な飼育環境などにより発症することがあります.

また,通常であれば罹患しないような状態でも,冬などで気温が低下し,室温が保てていなければ体調を崩し容易に肺炎を発症してしまうことがあります.

冬期は不適切な温・湿度管理による肺炎で命を落とす生体も多いと聞きます.



主な症状としては


・呼吸音が異常(ヒューヒューやブシューといった異常呼吸音)

・口が開いた状態で呼吸をしている(上を向いた状態が続く)

・エサを食べない

・動きが鈍い など




症状が出始めた時には既に病気が進行しているケースが多いと聞きますので,日頃から生体の状態はチェックするようにしましょう.

そして少しでも兆候があるようであれば近隣の獣医師を受診し適切な処置を受けてください.




 ■細菌感染



特に不衛生な飼育環境である場合によく起きます.

ですが,基本的に野生下で無菌状態の様な清潔な環境で生活しているわけではありません.基本的にある程度免疫力があるはずです.

この「免疫力」が割と重要で,不適切な温度管理や湿度管理にて生体の免疫力が徐々に低下してくると細菌感染による腸炎などを引き起こすとされています.

また多くの爬虫類は「サルモネラ菌」を保有しており,サルモネラ症といった病気を引き起こすことが知られています.

これは私たち人間にも感染し,特に幼児や乳幼児などでは敗血症や髄膜炎など重篤な状態となる例もありますので,注意が必要です.

私たちができる予防策としては



・爬虫類を触った後は石鹸などを使用し流水でよく洗い流す

・幼児や特に乳幼児には爬虫類を触らせない


などとにかく生活環境からの隔離が重要と言われています.

また,ほとんどすべての爬虫類がサルモネラ菌を保有しているといわれており,特にミドリガメやイグアナでの感染例が多いようですが,実際にはヘビの方が保有率は高いといわれています.

そして,基本的に爬虫類にとってサルモネラ菌は腸管内の常在菌としての位置づけのようで,健康な状態であれば特に臨床症状はなく,免疫力など生体が弱った時に腸炎などの消化器症状を呈すといわれています.

その際に緑色の便を出すことがあり,この兆候はかなり危ないと聞いた事がありますが,真意については不明です.

いずれにしても爬虫類→ヒトへの細菌感染は予防することは大前提で,生体が弱ってしまえば常在菌が悪さをしてしまうリスクもあることは覚えていた方がよさそうです.




もう一点,細菌感染で多い疾患が「マウスロット」と呼ばれる感染性口内炎です.

給餌の際などに口内に傷をつけてしまい,そこから細菌感染を起こし口内炎を発症してしまいます.また,不衛生な環境もこのマウスロットを容易に引き起こしてしまう因子です.

傷口から膿が出て口が閉じれなくなるほど溜まってしまうこともあります.

この病気の怖いところは肺炎などの呼吸器疾患に移行することがあることと,口内に細菌が大量に繁殖しているため,他の生体に接触したり,同じピンセットを使用したりなどで他の生体にも感染してしまうリスクがあります.

治療法は膿の除去と洗浄,抗生剤の投与などがありますが,最終的な治療方針は獣医師により決定されますので,マウスロットになってしまった場合はすぐに獣医師による診察を受けてください.





 ■寄生虫



寄生虫に関するリスクはWC(野生採集)個体にて注意が必要です(CBでも多頭飼育や他のWC生体からの感染もある).

多くのWC生体は腸内に寄生虫がいることがわかっており,ショップでの立ち上げの際に多くは駆虫されていますが,やはりそれでも駆虫しきれていない可能性もゼロではありません.



症状としては

・エサを食べない

・急激に痩せてくる

・下痢や異常な色の便

・吐き戻し など



また厄介なのは感染していない生体であったとしても多頭飼育や感染生体の便を処理した不衛生な手などから容易に感染してしまうので,気が付いた時には全生体に感染が…といったことも.

駆虫に関しても,まずは寄生虫の有無や種類を特定するために検便を行い適切な処置を獣医師に仰いでください.

また寄生虫で特に厄介なのがレオパの飼育の際によく耳にする


クリプトスポリジウム症



いわゆる単細胞微生物で人間にも感染しますが,健康な成人の場合はほぼ症状が出ることはないといわれています.

ですが,レオパに関しては根本的な治療法はないため,現状は予防と感染拡大が出来る対策となります.

罹患したレオパは本当に痩せ細りますが,それでも生きようとする姿は飼育者にとっても本当に辛いです.

一番は感染していない生体を飼育することですので,信頼できるショップで生体の状態をよく見たうえで飼育を始めることが大切だと思います.








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3.環境因子

 ■不適切な飼育環境



不適切な飼育環境は生体の健康状態を簡単に崩してしまいますし,徐々に命を削っていきます.

主にチェックするポイントとしては


□温度管理

□湿度管理

□飼育ケージの大きさ

□紫外線

□衛生管理


爬虫類を飼育するうえで冬期の保温は誰もが悩む問題だと思います.

初めて爬虫類を飼育された方などでも思っている以上に電気代が上がってビックリされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

固定費が上がると心理的にも負担となりますしね.

ですが爬虫類は変温動物ですので不適切な温度管理は生体の免疫力を容易に低下させ,細菌感染などのリスクを高めてしまいます.

湿度管理も熱帯性気候に生息する生体に対して60%を切ってくると呼吸器疾患に罹患するリスクが高いと言われていますし,脱皮不全などを引き起こします.

飼育ケージが狭すぎると慢性的な運動不足も相まって容易に肥満を呈し,短命に終わることもあります.

この肥満で多くの生体が命を落としていることも考えられますので,十分に注意が必要です.



■湿度管理について

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もしも生体が突然死をしてしまった場合はその原因が生体そのものがもともと持っていた因子によるものなのか,環境因子によるものなのかをもう一度チェックしてみる必要があるかもしれません.



デジタル温度計の測定値が+3℃の誤差があり,低温状態での飼育を継続してしまい細菌感染により命を落としたという事例も見たことがありますので,機器のチェックも重要なのかもしれません.

 ■爬虫類飼育におすすめの温度計

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 ■飼育ケージ



先ほど触れた点と被るかもしれませんが,飼育ケージについても環境因子として再考する必要はあるかもしれません.

多くの爬虫類は高温多湿の環境が基本となります.

ですが通気性については見落とされがちですのでチェックしておいた方がいいと思います.

特に冬期はスタイロフォームなどで覆うこともありますし,自作ケージなどでも通気性が乏しいと蒸れてしまい,カビの発生など不衛生な飼育環境となってしまうこともあります.

また,夏場などに通気性の悪いケージで飼育していると温度が上がりすぎてオーバーヒートしてしまうことも…

エアコン管理であってもケージ内の温度が籠ってしまうこともあるので,通気性についても温度管理と同様に気を付けておいた方が良いと思います.



 ■爬虫類の電気代

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冬期の温度管理不足も突然死の原因ですが,食欲不振に陥ってしまったりと徴候がある場合も.ですがオーバーヒートに関してはわずかな時間で急死するので特に注意が必要です.



 ■飼育ケージの選び方

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夏場に日光浴させている最中に熱中症で命を落としてしまう生体もいます.
(日陰や水容器など必ず涼しい場所を用意する)






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4.生体の健康状態



次に生体の健康状態について少しまとめていきますが,あくまで観察によって得られる情報から原因を推察するものであって,「怪しいな」と感じた際は速やかに獣医師に相談してください.


 ■呼吸



呼吸器系の疾患を罹患している場合は口腔周辺や呼吸状態が安定しないなど症状が出ることが多いです.

またマウスロットなどの感染性口内炎を呈している場合も口を閉じることが出来ず,呼吸が荒くなったりすることもあります.



□呼吸音がおかしい(ヒューヒュー・ブシューといった湿性・乾性な呼吸音)

□口が閉じれていない

□頭を持ち上げた状態が続く

□呼吸数が多く,荒い

□鼻水や目ヤニの様な粘液が口・目の周りについている

□咳やくしゃみをする など





冬期などに冷たい空気を吸わせることも非常にリスクが高いです.身体の内面から冷えてしまうと体温を上げることが出来ず細菌感染など引き起こす可能性があります.

ですので,冬に生体を屋外に出すという行為は非常に危険だという認識を持ってください.
(巳年の初詣にボールパイソン(恐らくリューシ)を連れてきている方を見たことがありますが,信じられない行為です.)

その症状から確定診断に至るには専門の知識が必要になりますので,上記のような症状が見られた場合は呼吸器疾患の疑いがありますので,獣医師に診てもらってください.




 ■便・尿酸



人間にしても他の生き物にしても便は健康のバロメーターと言われています.

必ず便の状態はチェックするようにしましょう.


□形状はどうか?

□硬さは?

□色は?

□頻度は?


パイソンやボアなどは固形便を出す者が多いです.(人間の便とよく似ています)

ナミヘビなどは若干泥状に近い固形便です.(水分が多い)

いつも見ている便と明らかに違う形状,下痢や小さな固形状の便,鮮血が混じっている,黒褐色な血が付着している,頻度が多いなどわずかな変化も見逃したくないところです.


*生き物を飼育することは便の処理をすることです.


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今回命を落としたヘビもこのような緑色の尿酸を出し,その日のうちに亡くなりました.


緑色の便は急性腸炎など胃腸が弱っている場合に出ることがあると言われていますが,私のヘビに関してはわからないままでした.




 ■体型



体型については主に肥満や拒食・寄生虫による体重減少による痩せなどを判断する重要な指標です.

以外にもヘビの肥満はわかりにくいです.太くなったのか,ただの肥満なのか?

トカゲについてはお腹がパンパンに張ってしまっているものやお腹を引きずりながら歩いているものなど見た目にもわかりやすいです.

もちろんご自身が飼育されている生体は可愛いと思いますので,ついエサを与えすぎてしまうことはあるかもしれません.

ですが,人間も含め生き物は飢餓には強く,逆に満腹には弱い傾向があります.
(人間には飢餓に対するホルモンは多様にありますが,満腹に対するホルモンはインスリンしかありません)

広いケージや水容器で運動させれば大丈夫という単純な話ではなく,基本的にはいかにエサを絞るかが大切だと思います.


*モニターなど四足歩行の爬虫類は移動時には無酸素運動であるといった報告を聞いた事があります.その論文と真意について私は見たことがないので詳細は不明ですが,そうだとすれば運動によるエネルギー消費はそこまで高くないことが推察されます.


また飼育者の中には丸々太った生体が可愛いと思われる方もいらっしゃると思いますが,肥満は必ずしも良い結果をもたらすわけではありませんので,日頃から給餌間隔や給餌内容については十分注意しましょう.





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5.まとめ



いかがでしたでしょうか.



【爬虫類の突然死について】


あくまで1人の飼育者としてどういった原因が考えられるのかについてまとめました.

実際に突然死を経験して何が原因なのかわからずにインターネットで情報を探す方も多いと思います.

その時に何かの手掛かりになるような情報が提供できないかと考え,自身の経験も踏まえて本記事をまとめました.

いずれにしても病気の診断は獣医師が行うものですので,本記事はあくまで「そういった可能性がある」というところに留めていただければ幸いです.

突然死の原因やその兆候など少しでも気がかりな点があれば,必ずエキゾチックアニマルを診てもらえる動物病院へ受診をするようにしてください.



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**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう


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