【51Base】です.
【アルバーティスパイソンの飼育・飼育環境】
~荒い?暴君?ツンデレ?ネシアンパイソンの荒くれ王~
爬虫類のヘビを飼育している方,もしくは飼育を検討されている方で飼育する生体を決める際に重要視しているところはありますか?
私は断然
ですね.
ではその ”カッコいい” ヘビと言えば…
そして ”アルバーティスパイソン” ではないでしょうか?
「いやブラッドパイソンだ」
「エメツリはどうした」
「いやいやレティックだろ」
怒号が飛んできそうですが,異論は受け付けません(笑)
さて,アルバーティスパイソンについてですが,性格的には神経質で荒い傾向にあるヘビですが,その口元のホワイトリップといい,ギラギラ輝くウロコといい,非常に魅力的な種だと思います.
また産地によっては比較的温和な性格をしたものもいますので,一概に「荒いヘビ」とひとくくりにはできない面もあります.
今回はそんなアルバーティスパイソンの飼育・飼育環境についてまとめていきます.
【目次】
1.アルバーティスパイソンとは
■分類
■生息地
■大きさ
2.飼育・飼育環境
■飼育ケージ
■温度・湿度
■シェルター
■登り木
3.エサ
■幼体時
■成体時
4.注意点
■慣れるのか?
■飼育開始初期の注意点
5.まとめ
目次
1.アルバーティスパイソンとは
まずは本種についてです.
最近は展示即売会などのイベントも増えてきており,爬虫類を目にする機会が増えてきたと思います.
その中で本種は比較的よく流通している印象で,イベントでも探せば概ね見つかるかと思います.
■分類
爬虫網有鱗目ニシキヘビ科シロクチニシキヘビ属
ここから亜種に分けるとされる説もありますが,基本的には1属1種と言われています.
■生息地
ニューギニア島周辺
■大きさ・寿命・価格
全長:180cm~250cm
最大全長:300cm
地域差があるとされていますが,概ね2m前後と思っていただければと思います.
寿命ですが、20年から25年と比較的長生きする個体です。
価格ですが、2万から5万円が相場で、販売数が少ないですが販売会などにいけば出会えるはずです。
2.飼育・飼育環境
次に飼育環境についてみていきます.
本種は樹上棲よりも地表棲の傾向が強く,生息しているニューギニア島周辺は赤道付近の熱帯性気候となりますので,高温多湿が基本となります.
■飼育ケージ
地表棲のパイソンにおいて重要なポイントは床面積の確保です.
ヘビの特にニシキヘビ(パイソン)の飼育に関しては広すぎるケージは逆にストレスとなる場合もあるため,広すぎず狭すぎずの絶妙なバランスが必要となります.
流通している多くはベビーで,時折飼い込み個体が出回る程度ですので多くの方はベビーから飼育することが多いかと思います.
*ベビーから飼育する場合は温湿度管理がしっかりできる小さめのケージから立ち上げた方が安心です
飼育初期はプラケースなどの小さなケージで高温多湿でしっかりと立ち上げていきましょう.
輸入直後や展示即売会で購入した場合は状態を崩している場合もありますので,飼い始めの際は特に注意が必要です.
*飼育の立ち上げについてはこちらをチェック↓↓↓
最終的には90-120㎝程度のケージが必要になります.
その際に注意するポイントとしては奥行です.
パイソンはどんなに小さくてもニシキヘビです.ナミヘビよりも遥かに力が強くビックリするような隙間や破壊力でケージから脱走します.
とぐろを巻いた状態がケージの奥行より狭いと恐らくは圧力で簡単に枠ごと破壊されます.
ですので可能な限り奥行の確保できるケージを選んでください.
生体の成長によっては自作ケージもしくはオーダーメイドのケージが必要な場合もあります.
■温度・湿度
アルバーティスパイソンの生息域は熱帯性気候の高温多湿な環境です.
日本の四季には対応できないので必ず保温するようにしてください.
高温多湿な環境で,年間通して平均気温が30℃前後と非常に暑い環境です.
*冬場の湿度管理についてはこちら
また熱帯雨林の特徴として夜間の温度が下がりにくい傾向にありますので,夜間も25-27℃程度は維持できるようにします.
また,ニューギニアでの乾季にあたる5月~10月までは最低気温が25℃を下回ることもあります.
そして,降水量が下がる傾向にありますので繁殖に際しては気温以外にこちらもポイントとなるといわれています.
*温度管理
温度 | |
ホットスポット | 35℃ |
ケージ内温度 | 28-30℃ |
ケージ内最低温度 | 26-27℃ |
夜間温度 | 25℃前後 |
変温動物ですので低温はもちろんいけませんが,夏場のオーバーヒートにも十分注意してください.
少なくともケージ内の最低温度は28℃を上回らないようにしましょう.
本種の場合は水棲も割とあるので暑いと水容器内に入るでしょうが…
*ケージの温度管理には暖突が非常に使い勝手も良くオススメです.消費電力も抑えられていますので家計にも優しいのが尚良いです.
*暖突を使用する際は必ずサーモスタットにて温度管理してください.ケージ内の温度が上がりすぎてしまうリスクがあります.
■シェルター
地表棲の本種は比較的シェルター内に入ることが多いです.
また思ったほど水に入らない個体が多い印象ですので,水容器内をシェルター代わりとするには個体差があるかもしれません.
シェルターを入れると慣れないといった話も聞きますし,確かにモニターなどに関してはそうかもしれません.
ですが,ヘビに関しては安心・安全なシェルターはストレスを軽減させる意味的にも必須です.
ケージそのものが外部から見えにくいような,例えば衣装ケースなどを用いる場合はケージそのものがシェルターの様な役割を果たしてくれますが,そうでない場合は出来る限り設置した方が良いでしょう.
■登り木
よく言われるのが
「登り木を入れると荒くなる」
この真相については正直わかりません.
*登り木を入れるか否かについて
確かに登り木を入れている個体の方がよく飛んでくる印象ですが,なくても飛んでくる個体は飛んできます.
海外では登り木を入れない飼育者も多いようですが,その理由として
「ヘビを取り出すのが面倒だから」
確かに尾部を枝に巻き付けてアンカーのようにされてしまった場合は幼体でも引き離すのに苦労します.
管理の面から考えればシンプルなレイアウトが最も機能的なのかもしれませんが,なんといっても樹上にいるヘビは非常にカッコいいので地表棲の本種にも登り木は入れても良いのではないかとも思います.
3.エサ
次にエサについてですが,基本的にサイズに応じたマウスなどげっ歯類で問題ありません.
個体によっては割と神経質な者もいますが幼体時は2-3日に1回,成体になると1-2週に1回程度で構いません.
■幼体時
幼体時は基本的に肥満の心配はないので食べるだけ与えても良いのですが,毎日与え続けていると消化不全を起こす可能性もありますので,2-3日に1回のペースで大丈夫です.
ボールパイソンの様に1匹食べると満足する様な生体ではないので,与えれば食べれるだけ食べるものもいます.
ですが,冬場など気温が下がる時期はしっかり保温していないと消化が出来ず体調を崩してしまう生体もいますので温度管理は厳密に行いましょう.
*電気代についてはこちら
イメージとしては胴体部よりやや大きめのマウスを与えてください.
大きすぎると途中で諦めることもありますので,小さいエサから徐々に大きいエサへと移行し,食べれる最大サイズを1回の給餌で済ませるようにすると管理も楽です.
■成体時
成体時も同様にげっ歯類で問題ありません.
大きさに応じたマウスもしくはラットを与えますが,成体時は大きなラットを2-3週に1回のペースで与えてください.
もともと変温動物は代謝エネルギーが恒温動物と比較して少ない為,飢餓には非常に強いです.
ですので非常に不活発でもあります.
あまりに餌を与えすぎると簡単に肥満となり短命となることもありますので少し絞り気味に与えるようにしましょう.
4.注意点
■慣れるのか?
本種は性格的には荒い傾向にあります.飼い主にも噛みつこうとしてくるのでハンドリングには向いていません。
昨今はSNSや動画投稿サイトなどで慣れた生体を見ることが増えてきましたが,あくまで例外的なもので,全ての生体がそうではないのでそこは頭に入れておいた方が良いと思います.
ヘビに関してはあまりベタベタ触るものではありませんので,メンテナンスの際に持てるくらいでも良いのではないかなというのが個人的な考えです.
幼体時は総じて神経質で威嚇してくる生体が多く,大きくなるにつれて環境に慣れてくれば落ち着く生体もいますので,時間を掛けてゆっくりと環境と飼育者に慣れてもらうようにしましょう.
■飼育開始初期の注意点
飼育開始時はどうしてもいろいろと触りたい,見たい,給餌したいとバタバタしてしまいがちですが,飼育開始時は可能な限りそっとしておいてあげましょう.
もちろん,初日からエサを食べる生体もいますし,触っても大丈夫な生体もいます.
ですが,そうでない生体も中にはいますし,飼育開始に伴う急激な生活環境の変化はかなり大きなストレスとなりますので簡単に拒食をしたり状態を崩すものも出てきます.
リスクは最小限に抑えておくべきですので,飼育開始から少なくとも3日はそっとしておいてもいいでしょう.
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
野性味あふれる性格とその魅力的な姿に一目惚れしてしまう飼育者もいるのではないでしょうか?
ですが,荒い生体を飼育することはそれこそ苦労の連続ではありますので,飼育を検討される際はそれなりの覚悟は必要です.
荒いながらも大きくなった本種は非常に魅力的ですのでぜひ飼育環境と飼育者の心構えをしっかりと準備してから購入するようにしましょう.
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう