【51Base】です.
ヘビ・パイソンは
登り木を入れると荒くなるのか?
いわゆる都市伝説的な話ですが,ヘビを飼育する際によく耳にする話で,特にカーペットパイソンについてはその話をよく耳にします.
私もヘビの飼育・飼育環境の記事を書く際はほとんど全ての記事に登り木について記載しています.
ですが実際はどうなのでしょうか?
正直この話についてはエビデンスなどはなく,実際に飼育している飼育者・ブリーダー,もしくはショップのスタッフが一番よく知っているのではと思います.
そこで今回は自身の経験を基に,実際に登り木を入れるべきなのか?入れると荒くなるのか?について考察していきたいと思います.
【目次】
1.登り木の必要性
■必要な生体
■必要ない生体
2.荒くなるの?
3.今まで飼育してきた生体
4.荒いといけないの?
5.まとめ
1.登り木の必要性
では最初に登り木の必要性について考えていきます.
ヘビはその長い体を使って非常に器用に木に登ります.
そしてほとんどのヘビは木に登ることは可能です.
ですが実際に野生下では樹上を絶対に必要としている種とそうでない種とに分かれます.
■必要な生体
まずは絶対に登り木があった方がよい生体です.
いわゆる樹上棲のヘビたちです.
・グリーンパイソン
・エメラルドツリーボア
・アマゾンツリーボア
・ムチヘビ など
上記に挙げたヘビたちは主に樹上棲での生活に特化しており,一生の多くの時間を樹上で過ごします.
また樹上は天敵から身を守ることも出来ますし,安心・安全なシェルターの様なものなのかもしれません.
ではそういった生体を飼育する際に全く登り木を入れなかった場合はどうなるのでしょうか?
ストレスで体調を崩してしまうかもしれませんね.
人間にしても動物にしてストレスは非常に身体の負担になりますので注意しましょう.
■必要ない生体
では逆に登り木が必要のない生体はどうでしょうか?
巣穴を作ったり地面に潜ったりするような生体たちです.
・シシバナヘビ
・サンドボア
・ブラッドパイソン
・ボールパイソン???
ボールパイソンは登り木があれば登りますが,基本的には巣穴などに隠れて獲物を待ち伏せるタイプですので,なくても弊害はないと思います.
長期飼育やブリーダーの方でもその多くが水容器とシェルターといったシンプルなケージレイアウトをしており,私自身もあまり必要性はないのかなとも考えています.
シシバナヘビやサンドボアは地中に潜って獲物を待ち伏せするタイプなのでこちらも床面積を確保できていれば登り木は必要ないです.
サンビームヘビなどもそうですね.
■ヘビの飼育に必要な暖房器具はコチラ
■暖房器具には必ずサーモスタットを使用してください.
2.荒くなるの?
この荒くなるのかについてはよく聞く話は
・野生を取り戻す
・天敵からの襲撃を警戒している
・巻き付いて安心しているから
といった話をよく耳にしてきました.
(都市伝説感がすごい…)
ですが,実際に登り木を入れると生体は荒くなるのかといったデータ?は海外サイトで探しても全く見つけられませんでした.
個人的に思うことはそもそも樹上棲のヘビは荒い・神経質な生体が多いのでそういったイメージも先行しているのかな?といった印象です.
個体差と言ってしまえばそれで終わりですが,荒い生体は登り木があろうがなかろうが荒いですし,温和な生体は登り木があっても非常に落ち着いています.
インディゴさん、デカくなるの早いですな…。#爬虫類好きと繋がりたい pic.twitter.com/AMVuhLA14e
— 長州クリプター//爬虫類ブログ【51Base】 (@55Syusuke) February 1, 2019
また,荒い生体であっても環境に慣れてしまえば比較的落ち着く生体が多いので,最低でも半年程は環境をあまり変えずに様子を見ても良いかもしれません.
もう一点あるとすれば,メンテナンスの際に生体をケージ外へ移動したい時に,登り木に巻き付いている状態ですと非常に生体を取り出しにくいです.
尻尾をアンカーとしている場合などは最悪で,大型の生体ではかなりの力が必要になります.
そういったメンテナンスの面から考えると必須でない生体にはなくてもいいのではないかという考えに至る気持ちも非常にわかります.
3.今まで飼育してきた生体
ここからは実際の経験に基づくお話になりますので,全ての生体・飼育者に参考とはならないかもしれません.
私自身は今まで飼育してきたヘビで登り木を入れていなかったものは思い返すだけでボールパイソンだけです.
ではなぜ荒くなるかもしれないと都市伝説が蔓延っている中,頑なに流木を含む登り木をいれるかと言いますと
「カッコいいから」
樹上のヘビはカッコいいです.異論は受け付けません.
いかがですか?垂涎ものではありませんか?
(自己満足)
■ヘビの飼育についてはこちら
■ヘビの飼育をおすすめする理由について
もう一点は飼育ケージの空間を有効活用して活動面積を少しでも増やせればとも考えて可能な限り登り木は入れています.
大型のパイソンなどにはかなり大きめの流木を使用しています.
■ヘビの飼育ケージでおすすめはこちら
最近はオシャレで機能性の高いケージが多く販売されています.
4.荒いといけないの?
これは極論になってしまうのかもしれませんが,私はヘビに関してはあまりベタベタ触るものではないと考えています.
ハンドリングはストレスになりますので必要最低限でも良いと思いますし,メンテナンスの際に触る程度で十分かとも思います.
荒い生体に対して無理にハンドリングを続けることはヘビに関して言えば,良い事はないと思っています.
まずは環境に慣れてもらう.これが最優先事項ではないでしょうか.
■飼育開始初期にすることについてはこちら
もし触れ合うことで癒されたい…そういった目的で生き物を飼育される際は愛玩動物を飼育される方が良いと思います.
また,ヘビのメンテナンスについても2-3日に1回糞や尿酸の清掃程度です.
水の入れ替えなどはケージにある程度の広さがあれば生体を刺激することもありません.
シェルター内に入っている間に水替えだけすればそれで事足ります.
ヘビの飼育は見て楽しむ事を前提に飼育されている方がほとんどだと思いますので,荒い生体であっても思っている以上に関わる機会は少ないと思います.
そして逆に荒々しい野性味あふれる生体の方がより魅力的に感じてしまうのは私だけでしょうか…。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
爬虫類界に蔓延る都市伝説のような話ですが,個人的な意見としては生体に適切な飼育環境を提供することが飼育者の義務です.
飼育者が必要と思う,もしくは入れてみて生体が樹上で落ち着いている様子が見られれば荒くなろうがなるまいが,登り木も含めたレイアウトを再考してもいいのではないかと思います.
私自身は登り木を入れている方が温度勾配もつけやすく,生体自身もより快適な温度を選ぶことができるので決して入れることによるデメリットはないのではないかとも考えています.
*あくまで個人的見解であり,科学的・学術的根拠はありません.
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません. 生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう