【51Base】です.
【二シアフリカトカゲモドキの飼育・飼育環境】
昨今の爬虫類飼育における牽引役を担っている生体は
”ヒョウモントカゲモドキ”
(レオパードゲッコー)
であることに相違ないかと思います.
その人気の上昇とともに,他の爬虫類にも注目が集まっています.
中でもレオパに次いで人気が急上昇しているヤモリの仲間が
【ニシアフリカトカゲモドキ】
今回はそんなレオパと非常に似ているニシアフリカトカゲモドキ(以下,ニシアフ)について生態や分類についても同時にまとめていきたいと思います.
目次
1.ニシアフリカトカゲモドキとは
■分類
爬虫網有鱗目ヤモリ科フトオトカゲモドキ属
学名:Hemitheconyx caudicinctus
英名:African fat-tail gecko
和名:ニシアフリカトカゲモドキ
参照:Wikipedia
レオパは
爬虫網有鱗目トカゲモドキ科Eublepharis属
であり,属からして全く違う生体となります.
見た目もレオパと大きな違いはないかと思いますが,レオパは体表がゴツゴツしたような印象を与えるのに対し,ニシアフはモチっとプニプニした印象があります.
また,尻尾もニシアフの方が短く太いところと,目も両者ともに違いがありますので慣れてくれば一目ですぐ見分けがつくはずです.
■生息地
セネガル・ベナン・トーゴなどの西アフリカの沿岸部に生息しています.
概ね乾燥した草原や岩地に多く棲息しており,日中は岩の下や木の下,洞穴などに隠れています.
基本的には夜行性ですので,夜間に行動する事がほとんどです.
■大きさ・寿命
平均全長:20-25cm
最大全長:30cm
寿命:約10年
野生下では30cmに近いほどのオスの個体が時折いるそうですが,飼育下では概ね20cm程度で成長は止まるようです.
手のひらサイズと思っていただければイメージしやすいかと思います.
2.飼育環境
■飼育ケージ
成体でも20~25cm程度までしか成長しませんので,基本的にはレオパの飼育に準じて良いかと考えています.
■レオパの飼育について
飼育開始時はベビーから飼育を始めるかたも多いかと思いますので,専用のプラケースなどを使用される方が安心・安全かと考えています.
成体時も概ねプラケースでの飼育で十分ですが,レイアウトをしっかりしたい場合や多頭飼育をする際などは45cm水槽もしくは60cm水槽はあった方が良いかと思います.
本種を飼育する際に多くの方は,シェルターと水入れだけといったシンプルな飼育環境を提供されている方が多いかと思います.
実際には思った以上に立体活動もしますので,可能であれば太めの登り木(倒木をイメージ)や岩などを入れておくとよく登ってくれるかと思います.
また,飼育開始時はできる限り大きすぎないケージを準備し,生体が落ち着ける環境を提供してあげましょう.
最近ではレオパやニシアフに向けた飼育セットも発売されていますのでより敷居は低くなったようにも感じます.
■爬虫類ケージの選び方
■温度・湿度
本種はアフリカの西海岸を中心に生息しており,基本的には日中暑く,夜間はそこそこ冷えるといったイメージで良いかと思います.
ホットスポットはしっかり温めて,シェルターなどの置いてある気温が低い部分は28℃程度に留めておきましょう.
場所 |
温度 |
ホットスポット | 31-33℃ |
ケージ内温度 | 30℃ |
夜間温度 | 23-26℃ |
夜間は砂漠などの木が生い茂っていない場所では気温が一気に低下します.
ケージ内では必ず暖かい場所と非難できる涼しい場所を必ず設けるようにしましょう.
パネルヒーターをケージの3/1から半分の場所にひいてあげ、残りの部分で温度調節ができるようにしてあげてください。
湿度についてはベビーなどには60-70%程度の湿度が良いとされ,成体には50-60%程度の湿度で良いと言われています.湿度が足りないときは霧吹きなどで調整してあげてください。
特にシェルター内は少し湿っているくらいの方が良いのでウェットシェルターなどが良いかと思います.
■床材
床材についても飼育者によって好みが分かれますが
□ペットシーツ
*管理が楽で消臭も出来るためおすすめ.ただし,コスパが悪いことと,小さいケージではペットシーツのサイズがないことも.
(私はカットして使用しています)
□キッチンペーパー
*管理が楽な事と,コスパが良い.見た目もすっきりしているが消臭力はないのでこまめに交換が必要.
□新聞紙
*コスパは最強で管理も楽.見た目は非常に悪いので個人的には好みではない.
□パーミキュライトの混合土
*ヤシガラ土などよりも保湿性が高く,園芸センターなどで赤玉土などと混ぜ合わせれば比較的コスパも良い.
糞をした部分だけ取り除けば良いので管理も楽.ただし,土が水容器内に入ったり生体が汚くなったりすることも…
□砂材
*爬虫類専用のものを使用すればカルシウムが含まれ誤飲しても大丈夫.
生体によってはそこからカルシウムを補給する者も多くいる.恐らく自然界でもこうした砂や岩などから摂取していると思われる.コスパは悪い.
□ウッドチップなど
使用している人はほとんどいないかとは思いますが一応念のため.誤飲のリスクがあるのであまり使用はお勧めできないことと,ニシアフは皮膚がデリケートなので木片で刺激してしまうウッドチップはストレスとなる可能性も…
湿度は保てますが,パーミキュライトの混合土でも良いかと思われます.
個人的には使用しやすいことと消臭効果も期待してペットシーツを使用することが多いです.
というより私はヘビの生体数が多いのでペットシーツが多くあるので自然とそうなってしまいますが…
3.エサ~昆虫と人工餌~
■幼体時
基本的には肉食性のヤモリですので,サイズに合った昆虫を与える事が多いかと思います.
比較的手に入りやすいエサとしては
□ヨーロッパイエコオロギ
□フタホシコオロギ
□デュビア
などでしょうか.
冷凍のイナゴなどもありますので,ピンセットから食べるようになればそういったものもメニューに追加しても良いかと思います.
幼体時は毎日与えても構いませんので,食べるだけしっかり与えましょう.
乾燥コオロギなどもありますのでそちらの方が管理は楽かと思われます.
余談ですが,レオパにコオロギを与えた際,まだ生きていたコオロギがレオパの咽頭・食道あたりを噛みちぎり,それにより大量出血をしたレオパが死んでしまったといった話がSNSで話題となりました.
クロコオロギなどは顎がかなり発達していますので,ベビーなどにはリスクが高いかもしれません.
ひと手間かけるなら頭を潰して与えている飼育者様もいらっしゃいます.
また,最近ではレオパ用ではありますが,人工飼料も多く販売されていますので,幼体時から餌付けておくと管理が楽かと思います.
■レオパの人工飼料について
ただし,あくまで人工餌は人工餌です.
メインで与えてもかまいませんが,ある日から急に食べなくる生体もいますので,昆虫が苦手だからと言って人工餌だけに頼るのは少しリスクがあるかと考えています.
■成体時
成体時も幼体時と同様にサイズに合った昆虫を中心に与え,人工飼料なども織り交ぜながら週に2-3回程度の頻度で与えます.
また,サイズ的にはピンクマウスのSサイズも食べることは可能ですが,余程の事がない限り与えることはないかと思います.
限られた飼育環境下では必ず肥満を起こしますので,給餌は少し絞り気味くらいで良いかと思います.
「太った生体の方が可愛いから」
といった話を時折聞きますが,生体にとって不幸な結果を招くだけですので,ぶくぶくと太った生体はエサの管理が出来ていない証拠ですので飼育者の力量が低いことが伺えます.
また,産卵後のメスの生体には卵に体内のカルシウムを持っていかれますので,かなり痩せてしまいます.
カルシウムのサプリメントをしっかりつけて回復を促しましょう.
生体にはデュビアが割と与えやすくて重宝しています.
4.ハンドリング・慣れる?
レオパの様に大人しい個体ももちろんいますが,CB化がレオパほど進んでいないこともあってか,比較的臆病なものが多い印象です.
WC個体などは特に臆病なものが多いですが,CB化が進むにつれ人馴れしやすい傾向となるのではないかと思います.
今後も徐々に大人しく,人馴れしやすい生体は増えてくると予測しています.
また,レオパに比べるとムチッとしているので鈍そうですが,意外に瞬発力があります(笑)
ですので,レオパと同じようにいきなりベタベタにハンドリングが出来るとは考えない方が良いかと思います.
もちろん,購入してきてすぐにハンドリングをすることも生体へのストレスを考慮すれば控えた方が良いかと思います.
飼育開始1週~1カ月はシェルターの中でジッとしているものも少なくはないので,まずは環境に慣れてもらい,それから飼育者に慣れてもらうようにしましょう.
SNS等でとても人馴れした生体を見ることが出来るかと思いますが,時間を掛けて生体との信頼関係を築いたからこそ成せることですので,焦らず時間を掛けて慣れてもらいましょう.
ニシアフではありませんが,モニター・オオトカゲの慣らし方についてまとめています.
■モニターの慣らし方
また,本種も尻尾の自切機能を有していますのでハンドリングする際には特に注意するようにしましょう.
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
【ニシアフリカトカゲモドキの飼育・飼育環境】
レオパと比較するとまだまだモルフも少なくマイナーな部分はありますが,決してレオパに負けない可愛らしさと美しさを兼ね備えていると思います.
少し臆病なものが多いことと,ハンドリングに慣れが必要な点を除けば,丈夫で非常に飼育もしやすいため,誰しもにおすすめしやすい爬虫類となることかと思います.
■レオパの多頭飼育について
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう