【51Base】です.
【モンスーンソロ】
爬虫類飼育者の皆さんでも聞き慣れない飼育器具かと思います.
皆さんは爬虫類の飼育管理において湿度維持はどのような方法を取られていますか?
□ 加湿器
□ ヤシガラ土
□ 水苔
□ 大きい水容器
など多くの方法があります.
以前に爬虫類の湿度対策については記事にまとめていますので,ぜひ参考にされてください.
■爬虫類の湿度管理
いずれもある程度の効果が期待でき,特に飼育ケージが広ければ加湿器を直接入れることも可能ですので,私自身も良く使用しています.
ですが,雨を再現するには上記で挙げた方法では難しく,特に加湿器は毎日,水の入れ換えと清掃が必要です.
1つだと良いのですが,私は6つ管理していたので,もう少し自動化と簡易化がしたかったことと,雨季と乾季を再現したかった為,モンスーンソロを導入することとしました.
今回はその使用感と工夫,デメリットなどをまとめましたので,購入を検討されている方の一助となれば幸いです.
目次
1.モンスーンソロとは
■基本情報
□テラリウム・パルダリウム用ミスティングシステム
□ジェックス株式会社
EXO TERRA
個装サイズ:幅170mm×奥行170mm×高さ235mm
□ ケージ内の湿度調整に
□ 使用シーンに合わせ,ミストの噴霧サイクル・時間を設定可能
□ チューブをつなげて,ボタンを押すだけの簡単設計
テラリウムやパルダリウムなどの管理には非常に心強い商品で,流水しか認識しないようなカメレオンの飼育にも非常に相性が良いです.
ただし,ミストというには少し荒く60cm程度のケージでは10秒ほどでかなり濡れます.
そのため,使用する飼育者をある程度は選らぶ商品だと個人的には考えていました.
しかし,専用ノズルキットも販売されており,それを使用し分岐させればある程度水量も抑えつついくつかのケージに噴霧することも可能です.
そのため,ツリーモニターを複数飼育している私にとっては非常に魅力的かつ実用的な商品だと感じています.
■セット内容
非常にシンプルで,使い方も簡単です.(右上は別売りのノズルキットです)
タンク一体型の本体と,耐圧チューブ,ノズルと交換用のノズル,キスゴムにACアダプターと取扱説明書.
初めて購入された方でも,外観を見ただけで概ね使用方法が理解できそうな作りです.(いい意味で)
それと…思った以上にコンパクトです.
ただ,基本的には毎日給水と洗浄の必要がありますので,このくらいのサイズでちょうどいいと個人的には思っています.
耐圧チューブは黒で統一され高級感がありますね.
ただ,結構長いです.
これは長さをカットして調整することを想定しているかと思いますし,カットを少し失敗しても長さに余裕があるので心置きなく長さ調整ができます.
ノズルは二か所で向きの調整が可能で概ね好みの方向に噴霧が可能です.
ただし,チューブと接続後は非常に強固に固定されますので,取り外しにはとても苦労するかと思います.
(私はこれでノズルを折ってしまいました…)
ガラスケージを使用する場合はキスゴムにて固定するかと思いますが,私は木製ケージで使用する為,キスゴムは取り外して使用しています.
別売りのノズルキットです.
今回はこのノズルキットを使用して5つのケージに噴霧する予定ですので本製品を4つほど購入しました.
*基本的にはノズルキットは1つまでの接続を想定されていますのでそれ以上の接続は自己責任となります.
2.実際に使ってみる
■本体のセッティング
実際に使用していきますが,本体のセッティングは非常に簡単.
下図の通り,使用するボタンもon-off,噴霧時間,噴霧サイクルの4つだけ.
この画像の設定では左のcycleが1時間でdurationが30秒ですので
「1時間毎に30秒間ほど噴霧する」
といった設定になります.非常に簡単な設定です.
上図の右上のようにチューブを本体に差し込み,ケージまで好みの長さでカットしノズルを接続するだけです.
この状態で噴霧すると非常に水量が多く8秒ほどでびしょ濡れです.
(公式動画↓↓)
床材がヤシガラ土などではしっかりと湿度が保てそうですが,ウッドチップや人工芝,タイル,ましてや私が好んで使用しているクッションフロアでは水溜まりができるだけで少し相性は悪いような印象…
そこで,分岐するノズルを増やして水量を減らせば,5つのケージを1つのモンスーンソロで管理ができ,ケージが濡れすぎることなく雨を再現する事ができるのでは?と非常に短絡的な考えに至った次第です…。
というわけで,今回設置するケージは上段に並んでいるこちらのケージ.
600×600×900 = 4ケージ
(うち1つは真ん中で区切っており実質5ケージ)
■別売りノズルキット
次に別売ノズルキットの分岐パーツを使用し各ケージに設置していきます.
チューブを差し込むだけですのであとはチューブの長さを調整するだけ.
しっかり奥まで差し込まなければ水圧に負けて分岐部から水が漏れることがありますので注意してください.
ノズルの設置はキスゴムを使用しますのでガラスケージの場合はこれで全く問題なさそう.
私の様に木製ケージではその役割を果たせませんので,上部ネットの隙間からチューブを入れて結束バンドで固定していきます.(下記参照)
3.メリット・デメリット
実際に使用したメリットとデメリットについてですが,あくまで私の使用経験に基づくものですので飼育者によってはメリットをデメリットと感じてしまうかもしれません.
■メリット
□ 霧吹き(噴霧)の自動化
□ 1つの機器で数ケージに使用可能
□ 湿度維持が容易
□ 雨量の調整により季節の表現が可能
□ 本体の清掃が容易
やはり一番のメリットは噴霧の自動化かと思います.
ただし,安価な加湿器などではアナログ式のタイマーなどで1時間毎に30分加湿などの調整も可能であるため,手放しには喜べないかも.
個人的に最もメリットと感じたところは,1つの機器にて多くのケージの噴霧管理が可能であったところです.
取扱説明書には2つの分岐までしか説明されていませんので,あくまでメーカー非推奨の方法でありますが2ケージだけでなく3-4ケージくらいは全然大丈夫なのではないかと思っています.
本体が1つであれば清掃も容易ですし,清潔に保てます.
室内の加湿器は超音波式ですが,超音波式は細菌やカビも発生しやすく注意が必要ですので,その分管理も楽です.
■デメリット
□ 噴霧量が多く一部分がびしょ濡れに
□ 広いケージが必要
□ 水漏れのリスク
□ 噴霧の方向が限局的
デメリットはやはり噴霧量が多く一部分がびしょ濡れになってしまうことでしょうか.
ただこれは床材によっては解消することも可能だと思います.
ウッドチップや人工芝,タイル,クッションフロアなどは相性が悪く,それなりの対応が必要かと思いますが,ヤシガラ土など浅く敷かなければしっかりと湿度を持たすことも可能です.
ただし,ケージが小さいと水浸しになりますので,少なくとも60cm以上のケージは必要だと思っていますが,それも噴霧時間を調整すれば良いかと思います.
また,噴霧の方向は自在に変更は可能ですが,直線的にしか散水しないので霧吹きの様にミストが広い方向へ拡散するような感じではありませんので注意が必要です.
4.実際の使用例
私が実際に使用しているモンスーンソロを見ていきましょう.
*メーカー推奨の方法ではないかと思いますので,使用に関してはあくまで自己責任にてお願い致します.
使用しているケージがこちら
その中央ケージの上に本体を設置し,そこから分岐パーツにて左右へチューブを分けていきます.
水圧に耐えれず分岐パーツからの水漏れのリスクを考え水受けを置いています.
(今のところ水漏れはなし)
向かって左側のケージに設置.
右側は3つのケージに分岐させていきます.
3つのケージにそれぞれノズルを設置.
木製ケージですのでキスゴムは使用せずに上部網に結束バンドで固定しています.
実際に噴霧した動画はこちら↓↓
少し見にくいですが,5つに分岐させた分,水量は減っておりこのケージにはちょうどいい噴射量かと思います.
考えていた通り,ノズルが1つだけの場合と比較すると水量が少なくなっていますね.ミストといった感じではありませんが…
それでもこのケージでは必要十分な水量かと思います.
噴霧する場所を流木に吹き付け,そして水容器に落ちるように微調整していきます.
湿度も70%以上を維持できています.
朝に水を入れて作動しても夕方までは十分に持ちます.長期の旅行などでの湿度管理には使用が難しそうですが,湿度維持には十分使えそうです.
現在は点灯6時間は2時間に30秒噴霧,のこり6時間を1時間に30秒噴霧とし,徐々に噴霧時間と間隔を詰めて雨季を表現できればと思っています.
耐圧チューブにも問題はなさそうですので今のところはこのまま使用してみようかと思います.
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
モンスーンソロのイレギュラーな使用も含め,その使用感やメリットデメリットについてまとめました.
個人的には非常にコンパクトかつ,噴霧サイクルを自動化できる本製品は非常に魅力的な商品だと思います.
加湿器と違い,雨を表現できるというのは熱帯雨林に生息する爬虫類の飼育環境の構築に非常に有用なのではないでしょうか?
使用方法は非推奨かと思われますが,爬虫類飼育においては正解が明確なものが少なく,多くの飼育者は様々な工夫を凝らしながら日々の管理,生体の育成に励んでいます.
購入を悩まれている方も,そういった工夫もあるのかと,1つの参考になれば幸いです.
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう