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【ブラッドパイソンの飼育・飼育環境】
スマトラブラッドパイソン
マラヤンブラッドパイソン
ボルネオブラッドパイソン
成人男性の大腿部に近い太さを持つヘビ……と言えばやはり特定動物のアミメニシキヘビやアナコンダなどがイメージが付きやすいかと思います.
そのレベルの太さで3mを超えると飼育者の生命の危険性すらありますので,誰しもが飼育できる生き物ではありません.
ですが,同じような太さでも全長が1m程のパイソンが存在します.
それが「ブラッドパイソン」です.
その特徴的な姿と成体時の迫力は爬虫類界の中でも群を抜いているかと思われます.
そしてCB化やモルフの作出も進んでいますので,今後はよりその人気に拍車がかかりそうな印象を持っていますし,SNSでもよく目にします.
■飼育が危険なヘビについて
今回はそんなブラッドパイソンの飼育・飼育環境,注意点などわかりやすくまとめていきます.
目次
1.ブラッドパイソンとは
ではまずブラッドパイソンについてです.
見た目は非常に特徴的で,全身のフォルムは一度見たら忘れられないのではないでしょうか?
■分類・種類
爬虫網有隣目ヘビ亜目ニシキヘビ科ニシキヘビ属
ここから3亜種に分類されており
・マラヤンブラッドパイソン
・スマトラブラッドパイソン
・ボルネオブラッドパイソン
幸いなことにこの3亜種ともに割と流通しているため,展示即売会や爬虫類ショップなどでは見る機会は多いかと思います.
マラヤンブラッドパイソンが最も流通量が多く,安価といった印象です.
(安価だからといって飼育が容易というわけではない)
個人的にはフルブラックのブラッドパイソンが好きです.
■生息
タイ南西部・マレー半島・スマトラ島及びその周辺の島々
■大きさ
全長:1.5m前後
最大全長:2m
*本種おいては全長よりも太さが重要なポイントです.
成体時においては成人男性の大腿部と同等の太さに成長します.
■モルフ
ボールパイソンやコーンスネーク,カーペットパイソンほど多くはありませんが,様々なモルフが作出されています.
・アイボリー
・フルブラック
・アルビノ
・ハイブリッド(ボールパイソン)
未だにハイブリッドのブラッドパイソンについては画像でしか見たことがない(ブラボーパイソン)ので何とも言えませんが,日本ではハイブリッドの作出はあまりない印象です.
時折,カーポンドロが出回る程度でしょうか?
https://twitter.com/wanitokage2/status/1193467277150056449今後モルフの作出が盛んになってくれば今以上に人気が沸騰する可能性もあると思います.
2.飼育環境
次に飼育環境についてみていきますが,本種は熱帯性気候に生息しており,基本的には地表棲のパイソンです.
そしてナミヘビなどの様に動き回る種ではなく,ジッと岩陰などに隠れて獲物を待ち伏せするタイプです.
高温多湿の環境が重要となりますが,蒸れすぎるとケージ内の清潔が保たれないのである程度の換気も必要になってきます.
■飼育ケージ
飼育ケージを準備するにあたり,ブラッドパイソンに最も重要な要素は床面積の確保です.
樹上棲や半樹上棲のヘビに関してはケージ空間を最大限に利用できますが,こと本種に関しては登り木はなくとも全く問題ありません.
■パイソンに登り木を入れるべきか否かについて
本種は比較的成長スピードが遅い傾向にありますので,ベビーから飼育を開始する際はプラケースなどから始めても大丈夫です.
数匹飼育する場合などはスネークラックが管理もしやすくオススメでが,いきなり何匹も飼育される方は少ないでしょうから,プラケースやガラスケージで良いかと思います.
飼育開始時から広いケージで開始する場合は必ずシェルターを設けて,生体が安心・安全な場所を提供するようにしてください.
高さのないケージでも問題ありません.
また本種は非常に力の強いので床面積が確保できていない狭いケージで飼育するとガラスケージであっても枠ごと外されることもありますし,衣装ケースでも内側から破壊されてしまいますので,可能な限り広いケージを用意した方が無難だと思います.
■爬虫類の飼育ケージの選び方
■温度
本種は熱帯性気候に生息している地表棲のニシキヘビです.
基本的には高温多湿の環境で問題ありませんが,蒸れるとカビが生えたりと不衛生になりがちですので,必ずケージの通気性には注意を払ってください.
*温度管理
温度 | |
ホットスポット | 30-32℃ |
ケージ内温度 | 28℃ |
ケージ内最低温度 | 26-28℃ |
夜間温度 | 26℃ |
熱帯雨林の特徴としては夜間にそこまで気温が下がらないところです.
砂漠などは日中の寒暖差が非常に激しいですが,熱帯雨林は空気が籠りますので夜間も気温が下がりにくい傾向にあります.
本種の生息域は南半球ですので,6-10月がいわゆる乾季となります.
ですが,インドネシアなどは気温はほとんど変化がなく,代わりに雨量は大きく変動します.
飼育下では年中一定の温度を維持するようにし,最低でも20℃は下回らないようにすることと,ベビーの飼育については25℃を下回らないように意識しましょう.
■爬虫類の温度管理・保温器具
■湿度
本種にとっては一番のポイントになるところかもしれません.
高湿度を維持するためには様々な方法があります.
・霧吹き
・加湿器
・霧発生機
・水苔を敷く
■爬虫類の湿度管理についてはこちら
■おすすめのヘビについてはこちら
日本の冬は特に湿度が低く,乾燥してしまいます.
そういった環境下で湿度対策を怠ってしまうと,脱皮不全や乾燥に伴う呼吸器疾患など生体の健康に悪影響を与えてしまいます.
ですので,本種の水入れは必ず全身が浸かれるようなものにし,ケージ内の湿度が60-70%を維持できないときは水容器に入れるようにしてやるといいでしょう.
(基本的には70%程度を維持してください)
また,床材についてはペットシーツでももちろん良いのですが,飼育者によってはパネルヒーターをケージ下部より当てて,床材に水苔を敷く方もいらっしゃいます.
個人的にはペットシーツが最も清潔に管理できるので好んで使用していますが,高湿度の環境を再現する際には非常にデメリットでもあります.
そういった場合にはこういったウェットボックスを使用すると高湿度なシェルターを提供できます.
3.エサ
肉食ですので,マウス・ラットなどのげっ歯類で終生飼育が可能です.
サイズに応じたエサを与えるようにしましょう.
イメージとしては腹部と同等程度の大きさのげっ歯類となりますが,本種については非常に太さのある生体ですので,腹部より一回り小さいくらいのサイズでも大丈夫です.
*エサの大きさについてはいきなり大きなエサではなく,まずは余裕を持ったサイズより開始し,徐々に大きなサイズに変えていきましょう.
■幼体時
本種についてはボールパイソン同様,幼体時からピンクマウスなどは使わず,ホッパーマウスあたりから始めても良いと思います.
ここで注意しておきたいポイントとしては,大き目なサイズの餌を与えた際はいつも以上に温度には注意してください.
食物の消化には多大なエネルギー・熱量を必要とします.
私たちのような恒温動物はその自身で体温を上げることが出来ますが,彼らは変温動物であるためケージ内温度が低いと簡単に消化不全を起こしてしまいます.
給餌後はケージ内の温度を少し上げるくらいはしても大丈夫です. (ケージ内最低温度は28℃よりは上げないように注意)
■爬虫類の暑さ対策について
■成体時
成体時も幼体時と同様にサイズに合ったげっ歯類で大丈夫ですが,太さがありますので1回の給餌でかなり大きなエサを与えることになります.
具体的にはXXLサイズのアダルトラットや冷凍モルモット程度までは必要となります.
■爬虫類の餌代について
飼育下で2mまで成長することは稀ですので,概ね最大サイズのラットでも対応可能と思います.
ここは成長に応じてサイズを徐々に上げていけば大丈夫です.
4.性格とハンドリング
■性格
ブラッドパイソンについては比較的荒い性格のものが多い印象です.
大きな噴気音を出すこともしばしばですので,フルアダルトともなるとかなりの迫力です.
慣れていても正直怖いなと思うこともあります.
また,本種は「巻き付く」事が苦手なのである程度の大きさになってくると持つだけでもかなり苦労します.
そして持ち方を誤ると非常に怒ります.
ですが幼体時から飼い込んだ生体は比較的大人しいものが多い印象です.
これは個体差もありますので,ベビーから飼育する際はまず環境に慣れてもらい,徐々に飼育者にも慣れていってもらいましょう.
■モニターの慣らし方について
■ハンドリング・慣れるのか?
ヘビに関してはあまり積極的にハンドリングをするものではないと思いますが,メンテナンスの際などケージ内から取り出すことが必ずあります.
ですので少なくともメンテナンスの際にハンドリングはできるので日頃はその程度でも十分です.
ヘビは愛玩動物ではないので,荒い生体を無理に慣らそうと毎日ハンドリングを繰り返していると強いストレスになり,生体に必ずしもいい影響を与えないのであくまで必要最低限で良いと考えます.
また,もともと地表棲で地中の穴や岩陰などに隠れている本種を広い部屋に離して散歩と称してもストレスになるだけですので控えた方が無難でしょう.
ハンドリングをする際も生体の胴体部がしっかりと保持できるようにしてください.
積極的に噛んでくるような生体の場合は長めの板や衣装ケースの蓋などを用いて胴体部を支えるようにすれば安定します.
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
【ブラッドパイソンの飼育・飼育環境】
その特徴的なフォルムから熱心なファンが多い本種ですが,その野性味溢れる魅力は飼育環境をしっかり整備してこそ見ることができると思います.
フルアダルトまで育て上げた本種は他種の追随を許さないほどの迫力を持っています.
ぜひ最高の飼育環境で最強のペットスネークを育て上げてください.
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう