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【グリーンパイソン】
ー飼育・飼育環境ー
一度見たら忘れることができない独特なとぐろの巻き方をしており,大きな頭部と非常に美しいライトグリーン.
その性格は概ね荒く,神経質.それでいてツリーパイソン系は鳥類を主食としているため歯も長く鋭い.
触れ合う動物では決してありませんが,その魅力にはまってしまった方は多くいますし,コレクション性が非常に高い人気種でもあります.
魅惑的なモレリアの中でも異彩を放つ
「グリーンパイソン:GTP」
についてその飼育や飼育環境,生態やエサなどわかりやすくまとめていきます.
目次
1.グリーンパイソンとは
■分類
参照:Wikipedia
爬虫網有鱗目 ニシキヘビ科Morelia属
学名:Morelia viridis
英名:Green tree python
和名:グリーンニシキヘビ
IUCN Red List:Least concern
現在は生態数の減少と密輸により監視が必要ともされている.
Viridis shireenaeと区別されることもあったり,チルドレンパイソン属に入るとされたりと分類が混沌としていたようですが,最も大きなニシキヘビのグループであるMorelia属に現在は落ち着いているようです.
■生息・産地
インドネシア
・ニューギニア島,アルー諸島,スハウテン諸島など
各島ごとに色彩の変化や頭部の大きさなどに違いがあります.産地別に収集するマニアもいるほどです.
ビアク産が最も安価で,割と市場でよく見る中で美しい産地はアルー産でしょうか.
オーストラリア
・クイーンズランド州北部
主には熱帯雨林に生息し,完全樹上棲であり,高木・低木にその独特などぐろを巻いてジッとしている.
基本的には夜行性で,エサを探すときなど地面に下りてくることもあります.
これは飼育下でも時折見られる光景で,特に脱皮前などは床材の上でとぐろを巻いている姿を見かけることも…
*きまぐれ爬虫類データ*
— すまはちゅ@ヘビ専門メディア (@sumahachu) June 13, 2022
ニシキヘビ科オマキニシキヘビ属の #グリーンパイソン は、熱帯雨林に生息する完全樹上棲の中型蛇。体色は鮮やかな黄緑や緑色です。幼い頃は黄色や赤色ですが、成長にともない体色が変化します。これは花の姿に擬態し、獲物をおびき寄せるためという説が有力です。 pic.twitter.com/yb93SCbSiz
■特徴・値段
一番の特徴は画像のようなとぐろの巻き方です.
主なエサは鳥類ですが,一番の天敵も鳥類です.
また非常に歯も鋭く,噛まれるとかなり痛みますし,神経の走行が表層部周囲では神経障害のリスクもありますので注意が必要です.
また,彼らはあまり活動的でなく,移動範囲も限定的です.
ですので地域個体差が激しく,同じ産地であっても微妙に違っていたりもします.
基本的にビアク産が最も大きくなり,最も安価な場合が多いですが,これは流通量にも比例します.
平均で20000円~30000円とされています。
我が家のバナナさん
— Sui(スイ) (@mimicococan) October 8, 2022
食欲旺盛です
そろそろ体重測定しなきゃ(⌯¤̴̶̷̀ω¤̴̶̷́)✧
#グリーンパイソン
#ビアク pic.twitter.com/xfMv9fysyC
特に美しいとされるアルー産など,以前は非常に高価でしたが,昨今はCB化も安定してきており,比較的価格も落ち着いてきたかなといった印象です.
また,いわゆるレア産地と呼ばれる個体は15万円以上の高値で取引されることもあります.
■モルフ・品種について
グリーンパイソンはその鮮やかな緑色と形状が独特で爬虫類好きには人気があり、幼体の時は黄色から赤褐色で大きくなるにつれて緑色に変化します。
品種には
ハイイエロー:黄色い斑点や地肌が特に鮮やかです。野生種の黄色味が強い個体を掛け合わせて作られた個体
アクアマリン:緑色と青色が混ざった鮮やかな色が特徴的
レッドネオン:幼体時に赤みがかった色彩をもつ品種で、成長しても赤みが残ることがある
■大きさ・寿命
体の大きさは160cm~220cmほどになる中型で、寿命は平均して10年前後ですが、餌、温度管理、衛生管理などでもう少し伸びることもあります。
2.飼育環境
■飼育ケージ
完全樹上性の彼らを飼育するうえで最も大切なことは高さのあるケージです.
行動範囲は広くないので,飼育ケージ自体もそこまで大きなものは必要ありません.
ただし,高さのあるケージは意外と種類も少ないため,既製品としてはグラステラリウムを使用されている方が多いです.
私は自作ケージを作ることが多いのですが,90㎝の高さを持つケージも容易に作成は可能です.
詳しくは下記の記事を参考にされてください.
■簡単な爬虫類ケージの作り方
■爬虫類の自作ケージの作り方
■温度・湿度
本種は熱帯性気候に生息するニシキヘビですので,高温多湿の環境が必要です.
熱帯雨林は草原や砂漠地方と比較して夜間も温度はあまり低下しません.
スポット |
温度・湿度 |
ホットスポット | 35℃前後 |
ケージ内温度 | 30℃ |
ケージ内最低温度 | 28℃ |
夜間温度 | 26℃前後 |
湿度 | 70%以上 |
本種は低温と乾燥に非常に弱く,個人的に最もマウスロットや肺炎などの病気にかかりやすい種だと考えています.
■ヘビの肺炎について
爬虫類を購入する機会が多い夏は特に気にしなくとも,冬場は温度を維持するための暖房器具にて非常に乾燥しがちな環境に…
特に高さのあるケージは冬期の温度管理と湿度管理は難しいので注意が必要です.
湿度維持のために,床材を常に湿らせておくか,むしろ水苔を敷いておいても良いかもしれません.
床材を敷かずに水を張って飼育している方もいます.それによりケージ内の湿度を高めることができます。
水か水苔を敷き,その下からヒートパネルで温めれば高湿度を保つことが可能です.
■爬虫類の温度管理と保温器具について
■爬虫類の湿度管理について
■登り木
必須です.
流木など用いて自然を再現しても良いですし,突っ張り棒など人工物を使用しても良いです.
可能な限り地面と平行になるように設置します.
完全樹上性ですので必ず登り木は設置するようにしてください.
よくヘビは登り木を入れると荒くなるといった話も聞きますが,本種はそもそも神経質なヘビですので,そこを気にするのでしたら違うヘビを飼育されることをおすすめ致します.
■ヘビは登り木を入れると荒くなるのか
■紫外線
概ね必要ないといった意見が多数です.
摂取したマウスや鳥類などからビタミンD3は摂取できていると思われますし,夜行性である彼らにUVBは必要ないと思われます.
現状必要かどうか科学的根拠をもった研究結果はありません(私の認識不足かもしれませんが).
よくライトを照らして飼育している方をネット上で見ることが出来ると思いますが,ほとんどはUVBでなくLEDです.
もしも自然の環境をより再現したく,UVBを照射するのであれば,必ず光を遮断するような場所を設けるようにしましょう.
■紫外線について
3.エサについて
■マウス・雛ウズラ
野生下で彼らは主に鳥類を中心に捕食していると言われています.
飼育下では完全栄養食品のマウスに餌付かせるほうが管理も楽であるためおすすめです.
多くの方はベビーから飼育することが多いと思います.
購入する際に注意したいことはその生体がマウスに餌付いているかどうかです.
餌付いていなければ雛ウズラから始めてください.
鳥類に対しては意外に反応がいい為,最初は雛ウズラを与えて飲み込み終わる際に小さなピンクマウスも一緒に咥えさせてあげてください.
しっかり雛ウズラを食べ始めたら雛ウズラとマウスを同時に解凍するなどして雛ウズラの臭いをマウスに付けるようにします.
そうすることで徐々にマウスに餌付いてくれますので,飼育する場合は可能な限りマウスに移行させてみてください.
(*海外では一部,げっ歯類は必要ないといった論争もあります)
■爬虫類の餌代について
■マウスロット
本種はよくマウスロットに罹ることがありますので注意が必要です.
□マウスロットとは
細菌感染による口腔内に膿が溜まる炎症疾患でそのほとんどは外的要因により発症します.
・歯を損傷した
・鼻部の打撲
・口腔周囲の裂創など
通常であれば軽微な外傷は自己免疫力により細菌を抑え込むことが出来ますが,不適切な飼育環境で衰弱している生体には容易に発症します.
■爬虫類の突然死について
処置は膿の摘出と消毒,抗生剤の投与ですが,かならず近医(動物病院)に受診してください.
早期であれば恐ろしい疾患ではありませんが,発見が遅れると細菌性肺炎など重篤な呼吸器疾患を併発しますので注意が必要です.
症状としては
・垂涎がある
・口が完全に閉じない
・呼吸が荒い
など視覚的にも症状はわかりやすいため,早期に見つけることが出来ればすぐに命にかかわるものではありません.
4.ハンドリング
「可能であるが積極的には進めない」
ハンドリング可能な個体ももちろんいますし,上手に持つことが出来ればハンドリングも十分可能です.
ですが,歯がかなり鋭く性格も荒い個体が多い為,ハンドリングは極力避けた方が無難かと個人的には考えています.
何度かGTPに噛まれたことがありますが,かなり痛いです. (エメラルドツリーボアの方がより痛いといった話も聞きます)
うれしいことに本種は触って楽しむ生物というより,見て楽しむことが出来る種類だと思います.
適切な距離感を保つことで,生体にも飼育者にも無駄なストレスがないようにしましょう.
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
【グリーンパイソンの飼育・飼育環境】
GTPについて飼育環境やエサについてまとめました.
どちらかというと少し経験のある中級者向きな種であるとは思います.
ですが,非常に魅力的な本種は生体との適切な距離感を保つことが出来れば産地別に飼育してみたりなど,泥沼にはまっていくことは間違いないでしょう.
しっかり立ち上げ,マウスに餌付かせることが出来れば見て楽しむことができるペットスネークとして非常に魅力的ではないでしょうか.
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう