【51Base】です.
【インランドカーペットパイソンの飼育・飼育環境】
以前にカーペットパイソンの飼育とセントラルパイソンの飼育についてはまとめたのですが,どうしても書きたくなってしまい…
他のカーペットパイソンの飼育と何が違うんだとお叱りを受けるかと思いますが,その分類や生息地なども少しまとめましたのでどうぞ最後までお付き合いいただければと思います.
【内容】
1.インランドカーペットパイソンとは
■分類
■生息地
2.飼育環境
■飼育ケージ
■樹上棲?地表棲?
■温度・湿度
■水容器
3.エサ
■幼体時
■成体時
4.ハンドリング
5.まとめ
目次
1.インランドカーペットパイソンとは
■分類
爬虫網有鱗目ニシキヘビ科モレリア属
学名:Morelia spilota metcalfei
英名:Inland carpet python
現在,主に市場に出回っているカーペットパイソンとしては
・コースタルカーペットパイソン
・イリアンジャヤカーペットパイソン
・ジャングルカーペットパイソン
・セントラルパイソン(独立種でカーペットパイソンとは言わないが…)
などでしょうか.
その中で,ジャガーと呼ばれる変異個体から作出されるクロスカーペットなど様々なモルフが毎年作出され,はっきり申し上げて私も全てを把握できておりませんのでここでは割愛させていただきます.
日本でもびっくりするようなモルフを作出されたり,ヨーロッパから輸入をされている方もいらっしゃるので一度調べられてみてください.
■カーペットパイソンの飼育
■セントラルパイソンの飼育
その中でも稀に出回るようなものとしては
・ダイヤモンドパイソン
・インランドカーペットパイソン
・ダーウィンカーペットパイソン
あたりでしょうか.サウスウェスタンは見たことがないのでよくわかりません.
■生息地
その中で今回のメインである「インランドカーペットパイソン」はオーストラリアの中央に生息する中型のカーペットパイソンになります.
主にはマレー・ダーリング盆地を中心に生息しており,乾燥した岩場や草原,河川付近に生息しているようです.
このマレー・ダーリング盆地はオーストラリアにおいても非常に大きな盆地で内陸に位置する為,降水量は少なく,厳しい環境下にある場所ですので,非常に丈夫な種であるかとは思います.
ただし,大きな2つの河川があるため,ある程度の湿度は必要かと考えられます.(マレー川とダーリング川)
乾季は10℃程度まで低下することもありますし,雨季は40℃近くまで気温が上昇します.
2.飼育環境
■飼育ケージ
飼育ケージについてはセントラルパイソンやカーペットパイソンと同様で構いません.
むしろコースタルよりは小型ですので,概ね120cmケージで何とか終生飼育は可能です…がやはり150㎝ほどはほしいところ…
あと奥行きは60㎝はあった方がいいです.45㎝は狭いです.
個人的には本種を始めとするパイソンの飼育においては横幅よりも奥行きが重要なポイントだと考えています.
自作ケージ等を作製する際は奥行は60cm程度あれば十分飼育ケージとしては余裕が持てるかと思います.
■自作ケージについて
幼体時から飼育する場合はプラケースやレプタイルボックスなどでも十分です.
現在150cm程度のオス個体を飼育していますが,900×600×300のケージでもかなり余裕はあるかなと考えています.
*手前下段が本種の♂ケージ.
■樹上棲?地表棲?
半樹上棲と言われています.
飼育下でも樹上で休んでいるところをよく目にします.
よくカーペットパイソンは登り木を入れると荒くなるといった旨の話を聞きますが,個人的には樹上棲のヘビはカッコいいのでぜひ入れたいと日頃から思っているので,完全地表棲のものを除いて可能な限り登り木は入れるようにしています.
■登り木を入れると荒くなるのか?
ただ,海外などのブリーダーはほぼ登り木は入れていないようです.
理由は
「取り出すのが大変だから」
確かに的を得た意見かと.地味に巻き付いているヘビを取り出すのは大変です.
大型個体になると特に大変ですね.尻尾をアンカーにされたりすると…
ある程度高さのあるケージが用意できるのであれば上下運動にもなりますし,温度勾配がしっかりとれるので生体にとってより快適な温度を選ばせてあげることができると思います.
■温度・湿度
降雨量が少ない内陸に生息しているため,雨季は暑く,乾季は冷える傾向があります.
ただ,正直その環境を完全に再現するのは怖いので,通常のカーペットパイソンと同様の環境で良いかと考えます.
少し大雑把でも大丈夫…くらいでもよいのかもしれませんが,爬虫類は変温動物ですので温度管理は厳密に行いましょう.
温度 | |
ホットスポット | 35℃ |
ケージ内温度 | 27-30℃ |
ケージ内最低温度 | 27-28℃ |
夜間温度 | 25℃前後 |
本種に限らずホットスポットはしっかりと温めるようにしてください.
ヘビは基本的に獲物を丸呑みにしますので消化には多大なエネルギーを消費します.
その際,体温は非常に重要となりますのでホットスポット下にいる生体を触ると少し温かいくらいが丁度いいです.
そして盆地などの乾燥した岩場,草原などは熱帯雨林と比較すると夜間温度が低下しやすい傾向にあります.
ですので夜間はある程度までの低温は大丈夫ですが25℃前後はキープするようにした方が無難だと思います.
ただし,その際もホットスポットはしっかり温まっている状態を維持してください.
ホットスポットにはパネルヒーターを使用することが多いですが,ケージ全体の保温には暖突がおすすめ.
■水容器
脱皮前や暑い日などはよく水容器内にいることがあります.
自然下でも河川の近くに生息しておりますのである程度は水に依存性があるのかもしれません.
ですがどちらかというとボールやブラッドなどと比較すると水容器内にいることは少ないかと思います.
■ボールパイソンの飼育について
■ブラッドパイソンの飼育について
ですが,ここ数年の夏は非常に猛暑日が続いていますので,室内であったとしてもエアコン管理でなければ40℃近くまで室温が上がってしまうことも…
そういった時に全身が浸かれる水容器があれば体温上昇を抑えることが出来ますので可能な限り全身が浸かれる水容器はあった方が良いでしょう.
3.エサ
■幼体時
基本的にはサイズにあったげっ歯類で全く問題ありません.
個体によってはヒヨコや親ウズラなどを好んで食べるものもいますが,げっ歯類での終生飼育は可能です.
時折ヒヨコ以外に見向きもしなくなるものもいますので少し注意は必要かもしれません.
インランドカーペットパイソン含め,ニシキヘビ科のヘビ達は非常に大きな獲物も丸呑みにできますので,顔より大きなエサでも大丈夫です.
胴体と同程度か少し大きいくらいのサイズが丁度いいです.
産まれた直後くらいでなければピンクマウス類は使用せずファジーあたりから始めてもよいでしょう.
毛を嫌うものも時折いますのでそういった場合はピンクマウスLかファジーマウスのSサイズあたりでもよいかもしれません.
■成体時
成体時も同様にサイズに応じたげっ歯類,この時期になるとラットだと思いますので,ラットをあたえていきましょう.
カーペットパイソンを飼育するうえで時々問題となるのが
マウス→ラット
への移行です.
マウスとラットは臭いが違いますし,ラットの方ががっしりとしていますのでヘビが怖がってしまうこともしばしば…
移行に際しては
・マウスとラットを同じタッパーなどで解凍してマウスの臭いを付ける
・湯煎で解凍する場合は可能な限り濡らさないようにする
・ラットの鼻先を少し切り出血させる
などがポイントとなるでしょうか.
個人的には臭いもそうですが,解凍後に少しホクホクなくらいに温めてやると
「臭いが…ん?いや,悩んでる暇はねぇー」
のような感じで一気に食い付いてくることがあります.
ヘビを飼育している方でしたら感じることがあるかとは思いますが,いわゆる「エサモード」に入っている時の彼らはまさに本能の赴くままといった感じですので,そういった彼ら本来の姿を利用しても良いかもしれないですね.
4.ハンドリング
ヘビのハンドリングに関しては概ねどの個体でも可能です.
特定動物はハンドリングというより「背負う」といったイメージですが…
本種を始めとするカーペットパイソンは概ね温和な性格のものが多いのでハンドリング自体は容易です.
インランドカーペットパイソンは成体でも2m程ですので思っている以上にハンドリングはしやすいかと思います.
ですが,カーペットパイソン全体でも言えることですが
「個体差が激しい」
荒いものは何をしようがとことん荒いです.
持つ前から飛んでくる.
持っても腕や指を噛んでくる.
そういった生体をハンドリングで慣らすのは正直かなり大変ですので,私は無理にハンドリングせずにメンテナンスの際だけ少し持つ程度にしています.
幸い,私が現在飼育しているインランドカーペットパイソン含めたすべてのヘビは温和なものが多く,すっ飛んでくるものはいないのである程度は安心してメンテナンスが出来ます.
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
【インランドカーペットパイソンの飼育について】
少しマニアなヘビではありますが,カーペットパイソンの中でも比較的小さく,過酷な環境下に生息しているため丈夫なものも多く飼育はしやすいのではと思っています.
現在はCB化も徐々に進んできており,今後は少しずつでも市場に出回ってくることが予想されますので,今のうちにそういった素晴らしいヘビがいることを頭の片隅にでも入れておいて損はないのではとは思っています.
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう