【51Base】です.
【ラフネックモニターの飼育・飼育環境】
ラフネックモニター(ザラクビオオトカゲ)は東南アジアに生息するモニターで,その特徴的な頸部と顔つきは一度見ると忘れられないほどのインパクトがあると思います.
また,本種はサルバトールモニターなどのネシアンモニターと比較して少し臆病で幼体時の立ち上げに苦労する面もあります.
その為か,本種のベビーは春先のインドネシア便などでよく目にしますが,育った成体はあまり見ることはありません.
ラフネックモニター‼️
— ペポニ@みなと店 (@peponi_minato) March 1, 2019
名前の通り、ザラザラとした首周りに、
特徴的な顔つきが魅力的なモニター!
小さくて可愛いサイズで入荷しました♪#ラフネックモニター#ザラクビオオトカゲ pic.twitter.com/XGLVxThLYG
幼体時は細い顔に似合わず非常に大きく愛らしい目をしているのですが,成体は恐竜のプテラノドンの様な印象です(頭部が).
また,中には体色が真っ黒になるようなものもおり,その成体はまさに怪物の様です.
今回はそんなラフネックモニターについて生態と飼育環境についてまとめていきます.
【内容】
1.ラフネックモニターとは
■分類
■生息域
■大きさ
2.飼育環境
■飼育ケージ
■温度・湿度
■紫外線
■水容器
3.エサ
■幼体時
■成体時
4.ハンドリング・慣れる?
5.まとめ
目次
1.ラフネックモニターとは
■分類
爬虫網有鱗目オオトカゲ科オオトカゲ属キイロオオトカゲ亜属ザラクビオオトカゲ
野生下ではその臆病な性格もあってか遭遇は非常に稀だと言われています.
またこのキイロオオトカゲ亜属はあまり流通しないモニターが多く,日本でも見られるものとしては本種とデュメリルモニターでしょうか.
キイロオオトカゲ属
・Yellow monitor
・Bengal monitor
・Dumerils monitor
・Black rough neck monitor
ベンガルモニターなんて本でしか見たことがないです.まだまだモニターの奥は深いですね…
■生息域
タイ・マレーシア・スマトラ島などの熱帯雨林.
主にはマングローブ林に生息していることが多いようですが,現地でもなかなか姿を見ることがないと聞いたことがあります.
基本的にはほとんど樹上棲に近い生態と思って良いと思います.
また,生息地によっては体色が真っ黒になるようなものもいるようですが詳細は不明です.
(真っ黒なラフネックモニターとかカッコよすぎですよね)
また,水辺のマングローブ林に生息していることから水への依存も高いと言われていますが,水容器に好んで入っているところをあまり見たことがないので,どちらかというと高湿度を好むといった感じでしょうか?
■大きさ・寿命・価格
全長:90~120cm
最大全長:150cm
寿命:12年から20年ほど
価格:2万~10万円
特徴的な鱗をした長い頸部をしており,数字以上に大きな印象を受けると思います.
ただ,本種のベビーは割と目にすることがありますが,フルアダルトはほとんど見かけません.
サバンナモニターやナイルモニターは流通量も多いので,成体を見ることもあるのでしょうが,やはり本種は流通量自体はそこまででもないので,そういった点でフルアダルトまで成長できた生体が少ないのかもしれません.
ラフネックモニターは他種と比較して弱々しい印象もありますが,エサや環境についての考察がこちらのサイトで記載されています.少し古い記事ですが,目から鱗な情報でしたので一読をお勧めいたします.
個体差はありますが,ミズオオトカゲやイエローヘッドモニターなどよりは飼育難易度は高いのかとは思っています.
(そもそも飼育生体が少ないのであまり情報もない気も…)
2.飼育環境
■飼育ケージ
ネシアンモニターの飼育スタイルと同等で良いと思いますが,本種は臆病な性格のものが多く,特に幼体時はバタバタと逃げ回る,シェルターに引き籠る生体が多いです.
また,割と樹上傾向が強く,イエローヘッドモニター同様に半樹上棲の飼育レイアウトが出来れば良いかと思います.
■イエローヘッドモニターの飼育について
幼体時は広すぎるケージを使用すると逃げ回った時などに勢い余ってガラスに鼻をぶつけたりし、思わぬケガや鼻先が潰れてしまうなどの弊害もありますので,幼体時に広すぎるケージは控えた方が無難かと思います.
まずは45cmケージで環境に慣れてもらった方がいいですし,可能であれば高さもあった方がバスキングスポットとの温度差も出しやすいのでおススメです.
60cmケージでも大丈夫ですが,飼育開始初期はとにかく刺激しないように心掛けましょう.
最終的には自作ケージ,もしくは温室などが必要となりますので,ベビーから飼育する際はそのことは十分考えておきましょう.
■温度・湿度
本種が生息している地域は赤道付近の熱帯性気候です.
高温多湿が基本で,季節は雨季と乾季に分かれます.マングローブ林などは草原や砂漠地方と比較して夜間の気温が下がりにくい傾向にあります.
ですので夜間温度も年間通して最低でも26℃以上はキープした方が良いです.
温度勾配はケージ内で必ず設け,ケージ全体が暑すぎないように調整してください.
□ケージ温度
温度 | |
ホットスポット | 32℃ |
ケージ内温度 | 28℃ |
夜間温度 | 26-27℃ |
バスキングスポット直下は40℃以上になるように調整します.砂漠系のトカゲの場合は50℃程度まで上げますが,ネシアンモニターには40-45℃程度で良いと思います.
ただこの時紫外線も同時に照射するライトを使用している場合は,生体とライトとの距離を最低でも30cm以上は取るようにしてください.*各メーカーの使用方法を参照し正しく使用してください.
次に湿度ですが,基本は70-80%をキープです.
日本の冬は特に湿度が下がります.さらにケージ内温度を上げるためにエアコンや暖突などを使用しているとあっという間に湿度は50%を下回ります.
乾燥した環境に適応していない本種では呼吸器系の疾患を罹患するリスクや,脱皮不全などを容易にきたしやすいので特に注意が必要です.
本種が成体まで育たずに死んでしまう一つの原因にこの湿度が影響しているかとも愚考しています.
同属のデュメリルモニターなどは水への依存が強い傾向ですが,本種は樹上棲の傾向が強いです.
その為,空気中の湿度がデュメリルやミズオオトカゲなどよりも厳密に管理する必要があるのかもしれません.
ツリーモニターと同様な考え方で良いのかと思います.
■エメラルドツリーモニターの飼育について
■コバルトツリーモニターの飼育について
また,冬期は湿度の維持が非常に難しくはなりますが,対策方法についてもまとめていますので,参考にされてください.
■爬虫類の湿度対策
■紫外線
次に紫外線についてですが,基本的に昼行性のトカゲに紫外線は必須だと考えています.
昼夜のサイクルだけでなく,紫外線から体内で合成されるビタミンD3がカルシウムの吸収に重要な役割を持っています.
ですが,モニターに関しては紫外線灯は必ずしも必要ないといった話もよく聞きますので,使用するかどうかについては飼育者の判断によるとは思いますが,最近はセルフバラスト水銀灯も多くの種類が販売されていますので,そういったものを選ばれても良いかと思います.
■モニターの紫外線について
*私はメタハラの光量が好きなので好んで使用しています.
セルフバラスト水銀灯は種類も増え,選択肢が増えたことは非常に喜ばしい限りだと思います.
■水容器
本種は樹上棲の傾向が強いのであまり水容器内に入っている所は見かけません.
一概に個体差もあるかもしれませんが,野生下では水棲昆虫なども捕食するといった報告もあるので,ある程度の大きさの水容器は必要だと思います.
また,本種が生息しているマングローブ林は非常に湿度も高いため,ある程度の湿度管理も兼ねて大きめの水容器はあっても良いと考えます.
また,ホットスポットは割と高温にしますので,体を冷やすという為にも全身が浸かれる水容器については必須と考えても良いです.
3.エサ
■幼体時
基本的にモニターの幼体時は無脊椎動物,つまり昆虫を中心とした給餌で問題ありません.
活き餌に対する反応が非常にいいのですが,慣れてくると乾燥コオロギや冷凍コオロギなどにも餌付きます.個人的にはエサの管理は割と大変なので,その方が楽だとは思っています.
ただこれは個体差がありますので一概には言えないところではあります.
■成体時
成体時も同様に昆虫を中心とした給餌が理想的ですが,量が必要になりますのであまり現実的ではないのかもしれませんね.
いずれにしてもモニター飼育における死因は肥満が最も多いと思いますので,とにかく粗食な給餌内容が良いかと思います.
鶏のササミやハツ・肝,川魚やエビなどの甲殻類も時折与えるとよく食べます.
給餌間隔も週1~2回程度に抑えるか,もしくはごく少量を毎日与えていっても良いかもしれません.
*私のモニターへの給餌は少量を週3回程度に分けて与えています.
また,モニターなどの肉食性のトカゲは捕食した獲物を丸呑みにしますので,その際にビタミンD3など必要な栄養素を得ていると思われます.
ですので,鶏のササミなど与える場合はカルシウム剤とビタミン剤を併用して与えるように心がけてください.
ビタミンD3は過剰摂取による弊害もありますので,可能であればビタミンD3入りのものとカルシウムだけのものとを使い分けた方が良いです.
時折マウスやヒナウズラなどを与えても良いのですが,与えすぎは肥満の原因となり短命となりますので注意が必要です.
Varanus rudicollis
— カンダケンタ (@k_nd_88) September 17, 2022
モニターフードを食べるラフネック#ラフネックモニター pic.twitter.com/b8qHUVVu8m
4.ハンドリング・慣れる?
本種は比較的攻撃的な生体というより臆病な生体が多いといった印象です.
テールアタックをしてくるものもいますが,どちらかというと逃げ回る方が多いと思います.
(成体はまた別ですが…)
もちろん慣れるか慣れないかは生体の個体差や飼育者がどれだけ時間を掛けてやれるかが大きな要因とはなりますが,樹上棲のモニターはあまりハンドリングをするような種はいないと思います.
■モニターの慣らし方についてはこちら
本種も含め非常に爪が長く鋭いので,皮膚や服などがズタズタになります.
皮手袋は必須アイテムと言えます.
大型用の皮手袋はとてもカッコいいですね.
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
【ラフネックモニターの飼育・飼育環境】
プテラノドンみたいな特徴的なフォルムと頸部の鱗.
幼体時こそ非常に愛らしい姿をしていますが,成体時に見せるその迫力はモニター界でも随一.
ですが,思っている以上に飼育初期の立ち上げに苦労する方が多いようで成体を見る機会が少ないというのは少し寂しい気もしますが.
いずれにしてもまだ飼育されている方は非常に少ないので,他人と違うモニターを飼育したいと考えている方の候補として挙げても良いのかなと思っています.
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう