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【アルダブラゾウガメの飼育・飼育環境】
目次
1.アルダブラゾウガメとは?
■分類
爬虫網カメ目リクガメ科アルダブラゾウガメ属
■生息域
参照:Wikipedia
西インド洋アルダブラ(セーシェル)環礁(固有種)
国外ではタンザニア,モーリシャス,フランス領レユニオンなどに移入.
■大きさ・価格
平均甲長:90~100cm
最大甲長:138cm
国際保護動物に指定されているアルダブラゾウガメは,リクガメ科最大種であるガラパゴスゾウガメに次いで,世界で2番目に大きなカメです.
ゾウのように大きく,またゾウのような足をしているため,ゾウガメと呼ばれます.
かつてこれらの大型のリクガメは大陸やインド洋の島々に多数生息していましたが,15世紀半ば~17世紀半ばの大航海時代に食料として乱獲され,大半が絶滅してしまいました.
これは現在も同じで紛争地域に生息するリクガメは食料として乱獲され,その数を減らす,もしくは減らしていたとしても危険地帯という事で状況が把握できていないといった現状もあります.
その時代に人間が侵入しなかったアルダブラ環礁やガラパゴス諸島にて本種を含む大型のゾウガメは生き残ることが出来たと言われています.
現在では世界遺産に登録されています.
背甲は暗い灰色から黒,濃い茶色をしており,頭部はやや扁平で,硬化した鱗に覆われた頑丈な足や尾も暗い灰色をしています.
特徴として鼻孔が縦長になっており,他のカメ・リクガメとは表情がまた違って見えます.
最大寿命は150年以上と言われ,イギリス領セントヘレナ島にいるアルダブラゾウガメ「ジョナサン」の推定年齢は185歳を超えており,生物の中で世界最高齢だと言われています.
いずれにしても飼育には子・孫の代までお願いする必要がありそうですね…
生体 |
価格 |
ベビー | 300000~ |
ヤング | 400000~500000 |
成体?! | ??? |
幼少期のカメは20~30万円で販売されておりますが,大きさによって,50万円~100万円以上になるものもいます.
現在はかろうじて商業ルートにCB個体が出回っていますが,個人的にはいずれ商取引は禁止になるとは思っています.
また幼少期のアルダブラゾウガメは与える餌に偏りが多いと骨や甲羅に異常がみられるため,比較的飼育は難しいかと思います.
■絶滅危惧種?CITESについて
20世紀初頭にはアルダブラ諸島を除いて絶滅したとされるアルダブラゾウガメ.
人間の食料,油用,剥製やペット目的による乱獲などが原因であるため,1982年にアルダブラ環礁を世界自然遺産に登録,アルダブラ諸島への上陸を規制するなどして,現在は厳重に保護されています.
現在ではIUCNのRed listに絶滅危惧種「危急種」として記載されており,CITES附属書Ⅱの対象になっており,アルダブラ諸島産の個体の商取引を禁止しています.
一時期は生息数が増加傾向にあったのですが,生息地の乾燥化,食糧不足により再び減少したうえ,分布域が限定的であるため津波などの自然災害や感染症などによる絶滅の恐れがあるとされています.
2.飼育環境
■飼育ケージ
幼体時は2年かけて30cm程度の大きさに成長するものが多い為,飼育開始当初は60cm~90cmの水槽や爬虫類用ケージで飼育可能です.
他のリクガメと同様に高さのあるケージは必要ないので最初はグラステラリウムの6030もしくは9030程度から初めても良いかと思います.
ただし大きくなると甲羅だけで1mを超え体重は100kg以上になりますので,いずれは広くて重さに耐えられる環境が必要になります.
このサイズになると自作ケージでさえも飼育は困難となる可能性が高いので,一部屋を譲り渡してその部屋全体を保温し,バスキングスポットを作るか,夏期は屋外飼育で冬期は室内飼育といった方法を取られている方もいらっしゃるようです.
ベランダでも小さいうちは飼育できますね.
いずれにしても日本での冬期は無理ですが…
ただ,室内で飼育するとなると,最低でも畳6畳以上の部屋を用意しないといけなくなり,屋外の場合は温度設定の問題などもあるため,飼育するには相当の覚悟が必要と思われます.
また水浴びおよび飲み水用として,体が入るくらいの大きさの容器が必要になります.
■爬虫類の自作ケージについて
■温度・湿度
アルダブラゾウガメの生息している地域は熱帯性気候で,年間を通して高温多湿で,雨季は気温・湿度ともに高くなりますが,乾季に冷え込むといったことはありません.
海岸沿いの草原や内陸部のマングローブからなる湿原などに生息し,野生下ではあまり日光浴をせず日陰で行動しており,植物などを食べるときも尾を太陽側にして頭が甲羅の陰になるようにしています.
意外なことに,野生下での死因は熱中症によるものがほとんどで,気温が高い昼間などは水や泥を浴びて体温調節をします.
また,中には洞窟の中に入り,日差しを避けるものもいるようです.
ただ,セーシェル島は雨季には気温が40℃近くまで上昇することもありますので,甲羅の面積が大きい本種はその影響を直接受けてしまいますので,暑さに弱いというよりは暑すぎるといった方がよいのかもしれません.
スポット |
温度・湿度 |
ホットスポット | 40℃~ |
ケージ内温度 | 30℃ |
ケージ内最低温度 | 27-28℃ |
湿度 | 70%以上 |
一般的なリクガメの飼育と同じで寒さには比較的弱いため,冬場などは特に温度管理が重要になります.
飼育には暖突など保温器具も必ず用意しましょう.
こちらの暖突が最も大きいものですが非常に消費電力が大きい.
■爬虫類の温度管理と保温器具
■紫外線
リクガメは紫外線UVBを浴びることで体内でビタミンD3を作り,腸からカルシウムを吸収し甲羅を形成します.
ケージ内には紫外線ランプを設置し,気温が低くない夏季などには日光浴させてあげるといいでしょう.
窓際でも良いのですが,UVBは窓ガラスを透過しませんので注意してください.
ただし真夏の猛暑日などは日陰を好むカメですので,強すぎる日差しには当てないほうがいいかもしれません.熱中症には注意が必要です.
■爬虫類の紫外線について
■庭での放し飼いについて
大きくなると屋外で放し飼いしている飼い主さんも多いようですが,カメとはいえ意外と足が速く,脱走してしまうこともあるそうです.
屋外で飼育している方で,庭の道具小屋をカメの部屋にしていて,最初に連れてきたときから自分でそこを寝場所と決めたらしく就寝時はその中に入るそうです.
意外と縄張り意識が強かったりもするのかもしれませんが不明です.
またリクガメの排泄物,特におしっこの量はかなり多いらしく室内での放し飼いだと掃除が大変だそうですが,庭などでの飼育ならその点は楽にできるといえるでしょう.
ただし屋外での放し飼いでは適温にすることが困難です.
動物園などでも,屋外で放すのは夏場のみで冬場は温室内で飼育しているので一般家庭で庭での放し飼いは温度調節が相当大変なのではないかと思います.
3.エサ
基本的に草食性なので野草や花,果実などを食べますが,野生下ではカニや魚などの動物の死骸や糞を食べることもあります.
低タンパクでカルシウム含有の多い葉野菜が適しているので,タンポポ,オオバコ,シロツメクサ,ヨモギなどの野草や,とげのないサボテンなど多肉植物を与えます.
果物ではりんごやバナナなども食べるようですが,野生のアルダブラゾウガメが食べることのない食材ですので,与えすぎないほうが無難です.
【注意点】
・夜間に餌を与えると消化不良を起こすことがあるので,日中に与えるようにします.
・野菜などは冷蔵庫から出してすぐ与えるのではなく,必ず常温に戻してから与えます.
幼体時は成長期なので甲羅の成長に必要なカルシウムを多く含む葉野菜,小松菜,青梗菜,大根やカブの葉などを中心に与えます.
ただし,カルシウムの吸収を妨げるシュウ酸を含むほうれん草などは与えないようにしましょう.
ニンジンなども好んで食べますし,個体差はありますが,色味があるものを好むものが多い傾向があります.
成長し,ある程度の大きさになったら葉野菜のほか,サツマイモ,にんじん,キャベツなども食べさせてみましょう.
かなりの大食いですので餌代は結構かかります…
■爬虫類の餌代について
4.慣れる?飼育における覚悟
爬虫類は一般的に群れで行動しないため人とコミュニケーションをとったり,懐くということはありません.
■モニターの慣らし方
餌をくれる飼育者を「敵」ではないと認識し,寄ってきたり後追いをすることはありますので,懐くというより慣れると表現した方がしっくりくると個人的には思っています.
ところがこのアルダブラゾウガメは群れをなして行動する上に知能が高く,小動物並みに懐くことがあるとも言われています.
ただし飼育するとなるとサイズは1m以上重量は200㎏以上と桁違いの大きさに成長しますので,重量に耐えられる,広いスペースが必要です.
そして温度管理が重要なので,電気代も相当なものになるでしょう.
(販売価格もそうですが,維持費も大変)
また寿命が非常に長いことを考えると,飼育者よりも長生きする可能性が非常に高く,一般家庭で一人で飼育することは厳しいと考えています.
ある意味では資産を残す様なものですが…
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
【アルダブラゾウガメの飼育・飼育環境】
爬虫類には珍しくコミュニケーションをとろうとするカメですが,その大きさや寿命,飼育環境などを考えると家庭での飼育は困難になることが予測できます.
また,万が一病気にでもなったら専門医も少ないうえ,移動が大変です.
価格的にもそうですが,相当な覚悟を持って飼育する必要があり,ある意味絵は特定動物よりも大変かもしれません.