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【爬虫類飼育に必要なマウス解凍術】
爬虫類を飼育されている方の多くは人工飼料だけでなく,コオロギやデュビアを始めとした無脊椎動物,マウスやラットといったげっ歯類をエサとして与えているかと思います.
そんな中でもヘビやモニター,大型のトカゲ類を飼育されている方々が必ずエサとして与える冷凍マウス・ラット.
ですが,初めて飼育をする方はどうやって解凍しているのかわからないといった質問も時折受けます.
爬虫類飼育をされている方にとっては周知のことかとは思いますが,今回はマウスの解凍方法に焦点を当て,まとめていきたいと思います.
*あくまで個人的に行っている,行っていた方法です.下記の方法以外にも違った解凍方法をされているかたもいらっしゃると思いますので,あくまで参考としていただければ幸いです.
【内容】
1.一般的なマウス・ピンクマウスの解凍方法
■湯煎
■バスキングランプ
■ホットスポット・暖突上部
■パネルヒーター
■自然解凍
2.解凍におけるひと工夫
3.禁断の解凍方法
4.まとめ
1.マウス・ピンクマウスの解凍方法
■湯煎
一番多くの方が実践ししている方法かと思います.
使用するマウスをお湯で解凍する方法で,パックに入ったままする方と全て出して直接お湯に浸ける方とに分かれますが,早く解凍したい場合は出した状態で,ある程度時間に余裕がある場合はパックに入ったままで良いかと思います.
個人的には直接お湯に浸けると与える際に水気を拭き取る手間とお湯がマウス・ラットの臭いで満たされ,部屋中がマウスの臭いに覆われてしまうので,パックに入れたまま,さらにそこから全てまとめて入れられる大きめのパックに入れて解凍するようにはしています.
お湯の温度は様々な見解がありますが,ピンクマウスなどは50℃程度で,それ以外は60℃にていつも解凍しています.
それ以上になると解凍と同時に茹で上がってしまい消化不全などのリスクもあるので,60℃程度で解凍し,その後冷えて来たら50℃程度で再度完全に解凍するといった方法をとっています.
パックに入れて行うとどうしても空気が入り浮いてしまいますので,軽く重しを乗せて浮いてこないようにし,可能な限り空気を抜いて全体に湯温が伝わるように工夫しています.
*潰さないように注意.
時間は解凍する数にもよりますが,概ね40~1時間ほどで完全に解凍できる場合がほとんどです.
30分すればかなり湯温が下がるので30分後に一度お湯を入れ換えてあげれば程よく温かい状態で解凍できるかと思います.
■バスキングランプ
バスキングランプ下に直接置く方法で,湯煎する前は私もよく行っていました.
一度に多くのマウスを解凍するには温度にムラがありすぎるので,少数の例えば2-3匹解凍する場合などはありかと思います.
ドーム型のソケットの中に入れて解凍することもありますが,60w以下のランプでないと完全に焼きあがってしまうので推奨できません.(パックからは必ず出します)
過去にヒナウズラが焼き上がりってしまったことがありますし,火災の危険もありますので注意が必要です.
行うのであればソケットの周囲もかなり温度は上がっていますのでそばに置いておくだけでも自然解凍よりは早く解凍が可能かと思いますし,ケージ内で生体を例えば浴槽などで温浴をさせているときに湯煎で解凍したマウスや鶏肉などをバスキングランプ下で再度温めるといった方法も時折使っています.
100w程度のバスキングランプであれば30cm直下でも50℃近くにはなりますので,15-20分程度で解凍も可能ですが,ムラと焼けてしまうこともあるのでこまめに確認をするようにしましょう.
■ホットスポット・暖突上部
バスキングランプをケージ内に入れている場合や,暖突の設置上部は割と温度は上がりますし,蛍光灯タイプの紫外線灯も照明器具の上部はよく温まっていますので解凍するには良いスポットです.
単発で1-2匹解凍する場合などは,サルファモニターもしくはインディゴスネークの暖突上部でを利用することは多々あります.
暖突Mサイズの合板上部でもよく温まってますので我が家では絶好の解凍スポットです.
また,ガラスケージで暖突を使用されている場合は上部がメッシュ状のものがほとんどかと思いますので,ここも解凍場所としてはとても重宝するかと思います.
ただ,かなりの高温になりますので,接地面が焼きあがってしまうこともありますし,結露して割と水分が出ますのでキッチンぺーパーなどを敷かれることを強くお勧めいたします.
バスキングランプや暖突上部では30分くらいあれば概ね解凍できることが多いのですが,ラットなどでは1時間くらいは見ていた方が良いです.
紫外線灯上部はそこまで温度が上がらないのでもう少し時間がかかるといったイメージです.
■パネルヒーター
パネルヒーター上部も局所的に非常に高温になりますので解凍にはうってつけの場所ではあります.
ただ注意しておきたいポイントとしては接地面の下部はよく温まりますが,上部は意外に解凍できていない…といったことも多々ありますので内部までしっかり解凍できているかはよく確認する必要があります.
パネルヒーターの大きさによっては割と多くのマウスを解凍することも可能ですので,パネルヒーターが余っている場合などはぜひ検討したい解凍方法ではあります.
私がいつも使用しているものは「ピタリ適温プラス」といった商品なんですが,直上はかなり熱くなります…
パネルヒーターが余っていれば重宝する解凍方法ですが,解凍時間には割と時間を要すのでわざわざ買ってまで行わずとも,暖突やバスキングランプ上部でも十分代用はできるかと思います.
■自然解凍
ある意味では最もポピュラーな方法かもしれませんが,個人的にはあまりしない方法です.
まず,非常に解凍に時間がかかりますし,完全に内部まで解凍できているか,常温であるため非常にわかりにくいです.
湯煎や暖部での解凍は生体がホンワカ温かくなっているのでわかりやすいのですが,自然解凍の場合はそれが非常にわかりづらい.
そしてこれは完全に個人的な問題なのですが
「忘れてしまうことが多い…」
そんなバカなと思うことがあるかもしれませんが,はっきり申し上げて自然解凍は夏場を除けば3時間以上は必要な長期戦の解凍方法です.
結構忘れます…
忘れてしまってしかも置いた場所が目につきにくい場所であったりなんかすると,ヘタすると数日忘れてしまうこともあります.というかありました.
「どこからかマウスの腐敗臭が…」
と思っていたらまさかケージ上部に腐敗したマウスが…
臭いもそうですが,せっかく生体のエサとして頂いた小さな命を無駄にしてしまい二重苦となってしまいます.
ですので,個人的にはあまりおすすめはしませんが、やり方としては非常にシンプルであるため,1つの方法として考えても良いかとは思っています.
2.解凍におけるひと工夫
解凍する際に注意することと言えば
□内部までしっかりと解凍できているか?
□エサは濡れている?
□臭いはどうか?
などでしょうか.
どんな方法であれ,内部までしっかり解凍できていれば良いとは思うのですが,個人的に重要かと思っているポイントは「ニオイ」だと思いますので,出来れば濡らさずパックに入れたまま解凍する方法が良いかと考えています.
もちろん直接湯に触れるわけではないので解凍にムラが出る可能性は否めませんので,一度新しいお湯に変えた方が良いとは思います.
特にマウスからラットへエサを移行する場合はラットをエサとして認識しないこともありますので,マウスとラットを同じパックに入れて同時解凍するなどの一工夫も必要です.
この傾向はMorelia属,Simalia属などカーペットパイソン系で多い傾向にあります.
時折サブアダルトくらいのサイズでも大きさの割に頭部が小さいものなども目にしますが,そういった生体はラットへの移行が出来ておらず小さくともリタイアマウスなどで飼育していたものが多いです.
我が家のインランドカーペットパイソンはその典型例で,恐らくサイズに合わない小さなエサと狭いケージで長期ストック…といった印象です.
ヘビがエサを食べない原因として解凍したマウスが濡れている…といった場合も時折ありますので可能な限りよく水気を取ってから与えるようにします.
またマウスの臭いが付いた水分がペットシーツなどに浸み込むと大きいサイズのヘビであればペットシーツを食べてしまうこともあります.
また,給餌の前には必ずしっかり内部まで解凍できているか,手で触って確認しましょう.
直接触ることに抵抗がある場合はゴム手袋など可能な限り温度も出来るようなものでよくチェックしましょう.
ポイントは触ったときにほんのり温かいくらいが一番食い付きが良いと思います.
3.禁断の解凍方法
「電子レンジ」
過去に一度だけ捨てる前の電子レンジを使用したことがありますが,いくら解凍モードで行ってもほんのり焼けた臭いがします.
ピンクマウス・ピンクラットなどは焼けてしまうのではないでしょうか?
過去にピンクマウスを「解凍」でなく「あたため」で電子レンジを使用した猛者がいましたが,結果は当然悲惨なものでした…
恐らく最も早く簡単な方法ではあると思いますが,解凍具合を確認するのが非常に難しく,解凍の為だけに電子レンジを購入することもどうかとは思いますし…
私自身がほとんど経験がないのですが,うまく解凍時間などコツを掴めば非常に素早く解凍し,給餌をすることが出来るので最も効率的な方法かとも思ってはいます.
4.まとめ
いかがでしたでしょうか.
【爬虫類飼育者に必要なマウス解凍術】
もちろん,全ての生体がマウスを必要とするわけではありません.
最近では人工飼料も非常に多くのラインナップが発売されており,人工飼料だけで終生飼育が可能な時代となってきました.
ですが,ヘビを始めとした中型~大型の爬虫類には完全食としてマウスは依然として重宝されます.
その解凍方法はある程度飼育の経験があれば,当然のように思えることばかりですが,初めて飼育される方などは本当に未知の領域です.
様々な方法がありますが,ご自身にあった解凍方法を選択されてください.
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう