【51Base】です.
【価格は安いも飼育は大変な爬虫類~5選~】
爬虫類の価格は希少性,繁殖力,美しさなどを包括して市場価格が決まります.(もちろんそれ以外の余要因も多々ありますが)
希少性=絶滅危惧種というわけではなく,種の保存のために海外への輸出を禁止している国は多くあります.
爬虫類で有名なところはオーストラリアでしょうか.
そういった生体が規制の前に海外の動物園や研究施設で繁殖し,それらがごく少数市場に出回るため希少性が高く,価格も高騰する傾向にあります.
絶滅危惧種などはCITES Ⅰ類に分類され,そもそも国際的な取引は禁止されます.
そして価格が安価な爬虫類は主にWC個体の輸出が多く,繁殖力も高いものが多い印象です.
ここで言う安価というのはあくまで市場価格であって本来は生き物全てが等しく価値など決めるべきではないといった意見も多くあると思いますが,ここではその是非を問いません.
もちろん価格が安いという事は,飼育を開始する際の敷居が低くなることと,個人的には設備投資にしっかりとお金をかけることが出来るので良いことではないかと思っています.
もちろんそこからどんどん沼にハマってしまう方も多いかとは存じますが.
前置きが長くなりましたが,今回はそんな比較的安価ではありますが,思った以上に飼育が大変な爬虫類を5種ほど選出しまとめましたので,どうぞ最後までご覧ください.
*ここでご紹介する爬虫類たちは安価でありつつ非常に魅力的かつカッコいい,可愛い者たちです.決して価格が安いことを安易に否定する記事ではありません.安価だからと言って必ずしも飼育も容易というわけではありません.また,グリーンイグアナについては多くの記事で取り上げられているかと思いますので,今回は除外致しました.
【内容】
安価でも飼育が大変な爬虫類
□ナイルモニター
□ボールパイソン
□エボシカメレオン
□トゲオイグアナ(クシ・ツナギなど)
□ハイナントカゲモドキ
まとめ
安価でも飼育が大変な爬虫類
□ナイルモニター
参照:Wikipedia
危険度 :★★★★★
安さ :★★★☆☆
大きさ :★★★★★
飼育難易度:★★★★★
いきなり飼育難易度MAXな種ですが,比較的大型になるにも関わらず,非常に安価で取引されますナイルモニターです.
本種は春先からベビーが大量に入荷し,概ね5000~10000円程で取引されます.
手の平サイズほどで非常に美しくかつ安価ですので非常に人気があります.
本種は最大で2m近くまで成長し,その強靭な顎としなやかな尻尾での攻撃は大人相手でも取り扱いに慣れていないとかなり苦労するかと思います.
2mまで成長するという事はそれだけ大きなケージとそれだけW数の大きなバスキングランプが必要で,それだけ大きな水容器が必要になってきます.
上記の様なケージは最低限でも必要です.
もしくは自作ケージです.
■爬虫類の自作ケージについて
恐らく成体になるまでに幼体20匹以上分の設備投資が必要となってくるかと思います.
2mにも成長するトカゲが5000円程度で購入できてしまうのは少しびっくりもしますが,多く取引されている割にはフルアダルトの成体はなかなか見ることができません.
個人的には成長とともに持て余してしまい,手放す飼育者が多いのではないかと個人的には考えています.
晩秋や冬期に飼い込みの本種が取引されているところをみているとそんな気がします.
更には食性にもクセがあると言われ,ある程度の成長した個体はアフリカ原産のAchatina属の陸生のカタツムリを好んで捕食していることが分かっていますので,そういった食性の変化からも終生飼育が困難なのかとも愚考しています.
■ナイルモニターの飼育
ただ,私は現在,ナイルモニターの魅力は持て余されているようにも感じています.
実は本種は非常に体色が美しく,頭部も小さくフォルムもスタイリッシュで本当に美しい種だと思います.
特に吻部からのど元にかけても白抜けは見るものを魅了します.
今でこそ安価で大量に出回っていますが,その中でもハイポ個体の様な色抜けが激しい種などは比較的価格も張りますので,恐らく今後は何かしらの形で本種の魅力を再考する時期が来るのではとは考えています.
□ボールパイソン
危険度 :★★☆☆☆
安さ :★★★★★(FHに限る)
大きさ :★★☆☆☆
飼育難易度:★★★☆☆
ナイルモニターと比較すると見劣りしてしまうかもしれませんが,本種は様々なモルフが作出されCB化が進んでいるのでCB個体に関してはそこまで苦労することはないかと思います.
ただ,FH個体*については少々苦労することもあるかと思います.(CBでも個体によっては苦労することも)
*:ファームハッチ.現地の野生採集個体から産まれたベビーのこと.
基本的に本種もまた,春先に大量のFH個体が輸入されます.
もちろんノーマルのFH個体と言っても非常に1匹1匹ともに柄が違い,様々な特徴を持っているため,ブリーダーの方々も競ってよい個体を選別しています.
FH個体はイベントなどでは3000円ほどで販売されており,そうでない時でも概ね5000~8000円ほどでしょうか.
大きさも1m程までしか成長しないので,思っているほど大きくはなりませんし,危険性も低いと思います.
■ボールパイソンの飼育について
ですが,本種が難しいと思う大きな要因は
「季節性の拒食がある」
本種は野生化では乾季の間は「休眠期」に入ります.
この休眠期は身体の基礎エネルギー量を最小限にし,体内脂肪だけで生きます.
サバンナの乾季は水も食料も枯渇するため,アフリカ原産の爬虫類の多くはこの休眠をします.
休眠のスイッチについては諸説ありますが,概ね気温だと思われます.
サバンナは非常に暑いイメージですが,乾季の夜間は低い時では10℃程まで低下し,概ね15℃程度を推移します.(昼間は30℃まで気温は上がりますが)
ですので年間通じでしっかりと温度管理ができていれば問題ないのですが,今夏の様に急に気温が下がってしまうとそれがスイッチになり一気に拒食モードに入ってしまうものも少なくありません.
ブリーダーの方や飼育に精通された方などはむしろ休眠させ,自然のサイクルを維持されようとしますが,初めて飼育する方や,飼育を初めて日が浅い方などは,その拒食を目の当たりにすると何とかして食べさせようとあの手この手を使われる事でしょう.
逆にそれがストレスになってより一層拒食をすることもあり,最終的には「エサを食べない」といった理由で手放される方も多いと聞きます.
■ボールパイソンがエサを食べない時に試したいこと
つまり,拒食に生体が耐えられないのではなく,飼育者が耐えられないことが多いのです.
いくら頭で理解していてもいざ目の前の生体が1週間,3週間,1カ月と食べないと心配で心配で…
個人的にはヘビの飼育においてエサの管理は割と適当(いい意味で)でも良いとは考えていますので,考えすぎも良くないと思います.
■ボールパイソンの拒食について
この季節性の拒食があることが,本種が安価ながらも飼育が大変である要因だと個人的には考えています.
□エボシカメレオン
参照:Wikipedia
危険度 :★★☆☆☆
安さ :★★★☆☆
大きさ :★★★☆☆
飼育難易度:★★★★☆
カメレオンからは比較的メジャーなエボシカメレオンです.
カメレオンは非常にポピュラーかつ,多くのファンを有している爬虫類ですが,一癖あるものが多く,その中でも比較的安価で購入が可能な本種は少し注意が必要かと個人的には考えています.
これは本種にだけに言えることではないのですが,樹上棲のトカゲやヘビでかつ多湿な環境に生息しているものは飼育環境の管理が割と大変です.
温度もそうですが,冬期の湿度管理は大変です.
どうしても温度を上げると湿度は飛びますので油断するとカサカサになっていまいます.
■爬虫類の湿度管理
また本種は流水にしか反応せず,水容器の水を認識しないものもいますので,ドリップもしくはエアーポンプなどで循環してやると良いのですが,意外にされておらずカラカラになっている生体を時折見かけます.
それでも本種はCB個体が多く出回っており,カメレオンの中でも飼育は比較的容易ではありますが,給餌の際に少し苦労することもあるかと思います.
高さのあるケージは温度管理・湿度管理ともに難しいですし,既製品も少ないことも…
コオロギには非常によく餌付きますし,恐らく拒食する生体は少ないかと思いますが,ピンセット給餌に餌付かないものも少なくありません.
これは飼育者の考えにもよるかと思いますが,置餌でも良いのであれば全然苦労しないかもしれませんが,ピンセット給餌にこだわるのであれば少し根気が必要です.(もちろん個体差はありますが)
□トゲオイグアナ
危険度 :★★★★☆
安さ :★★☆☆☆
大きさ :★★★★☆
飼育難易度:★★★★☆
トゲオイグアナは多くの亜種が存在していますが
・バナナスパイニーテールイグアナ
・サンエステバントゲオイグアナ
の2種を除く概ね全種で荒く,バタバタと臆病なものが多いです.
その中でもある程度大きくなりかつ安価なものとしては
・クシトゲオイグアナ
・ツナギトゲオイグアナ
の2種類がいます.
安価なものでは12000円~20000円程度で取引されていますが,バナナスパイニーテールイグアナやサンエステバンなどは非常に人馴れしやすいのですがその美しさも相まって200000円以上と非常に高価です.
上記で挙げた2種は安価ですが,大きさはバナスパやサンエステバンと変わりはないので少し注意が必要です.
ただし,本種のフルアダルトは恐竜のようで本当に魅力的でカッコいいです.
また,小さい時からハンドリングをしたり,手からの給餌に慣れさせるなどすれば,割と慣れてくれるものもいますので,そうすれば最高のペットリザードとなってくれるかと思います.
ただ,やはりSNSなどのいわゆるべた慣れ個体は飼育者が苦労して育て上げた結果みたいなところはありますので,鵜呑みにしすぎると後々大変な目にあうことも…
また,本種はほぼ完全草食性で幼体時に昆虫類を食べることもありますが,グリーンイグアナ同様に完全植物食でも終生飼育が可能でもありますので,昆虫が苦手な方には良いかもしれません.
■トゲオイグアナの飼育について
が,野菜だけで太らせる・大きくすることの大変さは実際に飼育を行ってみない事にはわからないのですが,割りと苦労します.
一気に大量に食べないので,少量をこまめに与えたり,葉野菜だけでなく果実や根野菜をカットしたもの,花や豆類など多くのものをブレンドして与える必要がありますので,そういった給餌の面でも苦労しそうです.
さらに本種は1m程度までは成長しますので,上記の様な大きなケージは必須ですし,慣れていない1mの生体は扱い方しだいでは非常に危険でもありますので,やはり覚悟は必要です.
□ハイナントカゲモドキ
危険度 :★☆☆☆☆
安さ :★★★★☆
大きさ :★☆☆☆☆
飼育難易度:★★★★☆
小さくて可愛い…というより小悪魔的な印象の本種は中国に生息する小型の地表棲ヤモリです.
小型ですので飼育設備や保温など,設備投資はそこまで必要ありませんし,噛みつかれたりしても少し痛い程度で危険性も低いです.
価格も7000~15000円程で取引されており私の知る限りではモルフなどの作出もなかったかと記憶しています.
と思いましたが,どうやら作出され始めている??
ジュラシックワールドの”インドラプトル”みたいですね…
これはカッコいいかも…
小型で設備投資も掛からず危険性も低いので「おすすめでは?」と思えるかもしれませんが,本種は非常~~~~に臆病な生体がほとんどです.
慣れてくれば夜間にシェルターから出ているところを見ることもありますが,基本的にはほぼ見ることはないと思います.
例えばこれは
・サンビームヘビ
・サンドボア
・サンドフィッシュスキンク
などにも当てはまることかもしれませんが,基本的にほぼ見ることがありません.
本種の場合はシェルターを飼っていると思うこともしばしば…
ただし,そういった臆病である特徴は,CB化が進んでくれば克服されることもよくありますので,WC個体が多かった本種も現在のヤモリ人気を見る限り,CB化は今以上に進んでくるとは愚考しています.
■ハイナントカゲモドキの飼育・飼育環境
見た目は非常に美しいダークブラウン~パープルの様な色彩で赤い満月の様な美しい目をしています.
そして現在は比較的安価にて取引されていますので,今後人気が出る要素は十分に兼ね備えているかと思います.
まとめ
いかがでしたでしょうか.
【価格は安いも飼育が大変な爬虫類~5選~】
「安い=飼育が容易」
ではなく,どんな生体であれ設備投資には十分お金をかけるべきだと個人的には考えています.
いわゆる安価である生体はその分,飼育設備に投資ができると思いますので,やはり初めて飼育する方にはオススメしやすくはなります.
ですが,一癖あるものもいますので,必ず飼育を開始する前に事前に情報収集をすることは非常に重要なことだと愚考しています.
また上記に挙げた爬虫類はとても人気があり,非常に魅力的な生体ばかりですので,上記で述べた注意点を留意されるのであればとてもオススメしたい生体たちではあります.
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう