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【インドホシガメの飼育・飼育環境】
目次
1.インドホシガメとは?
■分類
参照:Wikipedia
爬虫網有鱗目カメ目リクガメ科リクガメ属
学名:Geochelone elegans
英名:Indian star tortoise
現在はGeocheloneには
□ビルマホシガメ
□インドホシガメ
の2種が分類されている.
いずれの保全状態も絶滅危惧種に指定され,特にビルマホシガメはEndangered speciesに指定されその数を急激に減らしています.
これはリクガメ全種にも言えることですが,環境破壊の影響を受けやすいことと,内戦や紛争地域では食糧難からヒトの食料として乱獲されその数を急激に減らすものも多いと言われています.
最近ではパンケーキガメが良い例ですね.
ただし,ビルマホシガメは繁殖が思ったより容易?とも言われ,逆にインドホシガメが困難,もしくは情報が少ないといった話を聞きますが,私自身が本種のブリード経験がないのではっきりとは申し上げることはできません…
■生息域
パキスタン・スリランカ・インドなどの南アジアに生息.
草原や砂漠地帯,落葉樹林など広く生息が確認されており農業地帯で見つかることもあります.
■大きさ・価格
ベビー:約7cm〜
平均甲長:20cm〜30cm
最大甲長:38cm
メスで大型化し,オスでは20cm程度と言われています.
インドホシガメは半球のように丸い甲羅に星のような模様が入っているのが特長で,ベビーの間はピンポン球ほどのサイズです.
価格については現在CITESⅠ類となりましたので国際的な商取引は禁止です.
購入する場合は国内での繁殖個体でかつ証明書が必要となります.
生体 |
価格 |
CBベビー | 70000円~ |
CBアダルト | 100000円~ |
2020~ | 今後の価格は不明 |
以前は70000円~100000円程で取引されていましたが,絶滅危惧種としてCITESⅠ類となってからはほとんど取引はありませんので今後の価格は不明です.
2.飼育環境
■飼育ケージ
インドホシガメは比較的運動量が多いので,運動不足にならないためにも飼育する際は大きなケージが必要です.
ベビーの間は体長の5倍,高さは体長の2倍くらいの大きさのケージを必要に応じて用意します.
大人になると最大で体長30cmになるので,少なくとも縦横100cm×100cm高さ60cmくらいのサイズが無ければなりません.
余裕があれば幅150cm×奥行き90cm高さ60cmくらいの広いケージを用意してあげると余裕を持って飼育が可能です.
基本的には立体活動はしませんので,高さのあるケージは必要ありません.
最終的にはオーダーケージもしくは自作ケージが必要となります.
■爬虫類の自作ケージについて
■温度・湿度
インドホシガメは野生下では乾季・雨季・モンスーンもある標高200m以下の熱帯雨林地帯に広く生息している多湿系のリクガメです.
熱帯雨林地帯は昼間の温度や湿度は高いですが,夜になると温度が下がる傾向があります.
スポット |
温度 |
バスキングスポット | 40℃ |
ケージ内温度 | 28~30℃ |
ケージ内最低温度 | 28℃ |
夜間温度 | 25℃前後 |
インドホシガメを飼育する上で1番気をつけることは湿度で,本種は生息域が高湿地帯なため,乾燥には非常に弱い種です.
特にベビーの間は湿度が低いことで命を落とすこともあるので,湿度は60%下回らないよう注意が必要です.
また,インドホシガメは温度が低いと食べ物が消化できなくなり体調不良に陥るので,昼間はケージ内の温度は28〜30℃,夜間でも25℃前後になるよう調節が必要です.
■水容器
インドホシガメは基本的に水浴びが好きなので,大きな容器に水を入れておくと良いでしょう.
溺れてしまうのを防ぐため,水は浅く張る程度に留めましょう.
時折水は水道水でも良いですか?と質問されることがありますが,リクガメなどではそこまでphまで気にしなくても良いかと考えています.
といより私は気にしたことがありません…
ペットショップによってはリクガメ専用にふちが浅くなっている水容器が販売されているので,それを使用するのもおすすめです.
■紫外線
カメは紫外線を浴びることで体内でビタミンD3を生成します.
このビタミンD3を代謝することが体内でカルシウムを吸収することに寄与します.
■爬虫類の紫外線について
カメの体に必要なビタミンD3は紫外線灯を照射しても,飼育下では不足してしまうことが多いため,サプリメントも必須です.
十分な紫外線量を浴びていないとカルシウム不足になり,クル病など骨の病気にかかるリスクが高くなります.また,成長期に紫外線を浴びる機会が少ないと発育に支障をきたすこともあります.
ケージでインドホシガメを飼育する際には必ずUVBが照射される紫外線ライトを導入するようにしましょう.
最近ではセルフバラスト水銀灯が各メーカーから販売されていますので,バスキングライトと紫外線灯と1つで2つの役割を担ってくれる本製品は非常に重宝しています.
メタハラに関しては非常に高価ではありますが,光量・紫外線量ともに非常に強く,活性も上がりますので資金があればぜひ導入したいですね.
3.エサ
■幼体時
インドホシガメは一般的にベビーの飼育が難しいといわれていますが,エサについては自力で食べられるなら成体と同様な野菜や果物で問題ありません.
小松菜やチンゲン菜・ニンジンや豆類,タンポポの花や食用の菊など.
トゲオアガマなどもそうですが,黄色や赤など色味の強いものをより好んで食べる傾向にあります.
ベビーは体長7cmくらいの大きさなので,小さな口でも食べられるように細かく刻んで与えます.
ベビーの間の食事量がその後の体の発育に影響を及ぼすため食事の量は制限せず食べるだけ与えるようにします.発育を促すためにエサに専用の粉末カルシウムをかけて与えるのも効果的です.
■成体時
インドホシガメは草食ですが,野生下ではベリーなどの果物や干し草だけでなく,腐肉や昆虫を食べることもあります.
昆虫類から得られる動物性たんぱく質に関しては必要かどうかはっきりとはわかりませんが,飼育下では豆類や人工飼料で十分補うことは可能ですので,無理に与える必要性はないと考えています.
昨今はリクガメフードなどの人工飼料や,サプリメントなど多くの製品が各メーカーより販売されていますので,野菜・果実に加えて与えれば十分終生飼育は可能と思われます.
ただ,甲羅の形成に関してはサプリメントの併用でより美しく形成されるともいわれており,リクガメ飼育者だけでなく,多くの爬虫類飼育者に愛用されているスペフーは個人的にもおすすめです.
4.慣れる?ハンドリング
カメは爬虫類の中では比較的良く慣れると言われていますが,インドホシガメは他のリクガメに比べると慣れるまで時間がかかることが多い印象です.
基本的には人間に警戒はしないけれど寄ってくることもない,といった感じですが根気よく接していれば名前を呼ぶと寄ってくるくらいになることもあります.
ハンドリングは大きさによりますが,ベビーの間は湿度管理をしているケージの外に出すこと自体が命取りになりかねないのであまり行わない方が良いでしょう.大人になれば部屋に出して散歩をさせてあげることも可能です.
また,夏には庭やベランダで日光浴や半屋外飼育も可能ですが,猫やカラスなどには十分注意してください.
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
【インドホシガメの飼育・飼育環境】
インドホシガメは甲羅のフォルムと特徴的な模様が可愛らしい種です.
CITESⅠ類に記載され,国際的な商取引が禁止とはなりましたが,日本には多くのカメのブリーダーが存在し,今後も正規に輸入された親個体の子供たちは少数ながらも国内で流通することが考えられます.
成体になればケージから出して日光浴や散歩をさせて楽しむこともできるので,比較的ふれあいも楽しめる種類の爬虫類だと思いますので,幻のカメとなるのではなく,これからも愛好家に愛され続けるカメであると思っています.
インドホシガメは多湿系のカメなので温度や湿度を均一に保つ必要があり,環境を整えるためにそれなりの費用が必要になり,寿命も平均で25年〜30年と,とても長いです.
飼育を検討される際は適した環境を整える費用が賄えるか,天寿を全うするまで飼育環境を維持することが可能かよく考えて判断することが大切です.
■おすすめのリクガメについて
■ヘルマンリクガメ・ギリシャリクガメ
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう