【51Base】です.
【ズグロニシキヘビ・ブラックヘッドパイソン】
~飼育・飼育環境~
今回はかなりマニアックなヘビで恐らく名前を聞いたことも,見たこともない方がほとんどのブラックヘッドパイソンについてです(一般的にはズグロニシキヘビなどと呼称されることが多い).
オーストラリア原産のマニア垂涎の一種です.
一昔前は3桁万円は必要な程,幻の高級パイソンとして有名でしたが,海外でのブリードが成功しており最近では20~30万円程で購入できるほどになりました.
個人的にはベーレンパイソンやダイヤモンドパイソン,インランドカーペットパイソンなどと同様に至高のパイソンだと思っています.
■ベーレンパイソンの飼育・飼育環境
そんなブラックヘッドパイソンですが,体の模様は非常に美しく頭部だけは艶のある黒色で一度見ると忘れられない特徴的なヘビだと思います.
今回はそんなまだまだ知名度の低いブラックヘッドパイソンについてまとめましたので最後までご覧ください.
【内容】
1.ブラックヘッドパイソンとは
■分類
■生息域
■大きさ
2.飼育環境
■飼育ケージ
■温度・湿度
■水容器
■シェルター
3.エサ
■幼体時
■成体時
4.ハンドリング・慣れる?
5.まとめ
目次
1.ブラックヘッドパイソンとは
■分類
爬虫網有鱗目ニシキヘビ科オオウロコニシキヘビ属
英名:Black headed python
学名:Aspidites melanocephalus
Aspiditesはこのブラックヘッドパイソンとウォマパイソン(Aspidites ramsayi)の2種とされており通常のパイソンなどと比較し,ブラックヘッドパイソンは胴体が隆起したような形状をしています.
また特徴的な頭部はモルフを問わず艶のある黒色をしておりその理由についてはまだよくわかっておりませんが,オーストラリアのパイソンは乾季の気温が下がる時期に昼行性の傾向が強くなり日中にバスキングをする姿もよく目撃されていますので少しでも体温を上げるためではないかとも言われています.
■生息域
ノーザンテリトリー,クイーンズアイランド州北部,西オーストラリア州北部.
オーストラリア北部の東西に渡って広く分布しています.
参照:Wikipedia
日本では比較的知名度のあるウォマパイソンよりも生息域は広く熱帯雨林から乾燥した草原などにも棲息しています.
現地ではウォマよりもよく見かけるニシキヘビの様です.
その為,適応能力が高く比較的丈夫な種であると言われていますが,個体差はあるとは思います.
■大きさ
平均全長:2m前後
最大全長:3.5m
他のパイソンと比較して頭部がナミヘビの様ですので大きくなさそうな印象が先行しがちですが,結構デカくなります.
ただし,口は思ったほど大きく開かないので最大サイズにはラットを数匹与えるなどの工夫が必要です.
2.飼育環境
■飼育ケージ
基本的には地表性のパイソンに準じた方法で構いませんが,幼体時はよく木にも登りますので登り木などを入れて立体的な活動をさせてあげるとより良いかもしれません.
私は3匹程飼育していますが,個体差があると思われ登らないものはほとんど登りません.
登り木についての是非は諸説ありますが,個人的には幼体時はどんなヘビでも入れてもいいのではないかと思っています.
■ヘビの登り木について
ケージサイズについては幼体時はプラケースやレプタイルボックスなどでも十分飼育は可能ですが,最終的には既製品のケージでは限界がありますのでオーダーメイド製か自作ケージの使用をおすすめします.
■自作ケージについて
市販のケージでは120㎝クラスが最大で,使い勝手のいいグラステラリウムでは90×60㎝が最大サイズになります.
飼育下でも2mは簡単に超えてきますので,少なくとも120㎝は欲しいところですが,個人的には150~180㎝はあった方がより良いかと思います.
また,ケージの横幅ももちろん重要な要素ですが,特に大切なポイントとしては奥行で,60㎝は少なくともほしいところではあります.
とぐろを巻いた状態で奥行いっぱいでは体を膨らませた圧力で内部から破壊されてしまいますので注意してください.
■温度・湿度
本種はオーストラリア北部の広い地域に生息しており,熱帯雨林から乾燥した草原まで,その生息域は様々です.
基本的には少し乾燥した環境でも構わないようで,例えばグリーンパイソンの様にジトっとした湿度までは必要ありません.
ただし,生息域は乾燥した草原であっても水辺周辺でよくみられるため,ある程度湿度の保たれた環境を好んでいるようです.
飼育ケージ内を70%程度とし,より湿気の強いウェットシェルターなどあっても良いかもしれません.
蒸れるまで上げる必要はないので通気性はしっかり確保した方が良いと思われます.
温度については,他のパイソン同様にホットスポットとケージ内最低温度は厳密に管理が必要です.
温度 | |
ホットスポット | 35℃ |
ケージ内温度 | 30-32℃ |
ケージ内最低温度 | 28℃ |
夜間温度 | 25-26℃ |
ある程度の温度勾配を必要とするため,必然的にケージは大きなものが必要となってきます.
イメージ的には他のパイソンよりも「気持ち高め」の温度管理で良いようです.
熱中症には十分注意が必要ですので新鮮な水は常に用意するようにしましょう.
■水容器
あまり水容器内に入ることはないと思います.
自身が飼育している生体の他に10匹以上のブラックヘッドパイソンを見てきましたが,好んで水容器内に入るものはあまりいなかったと思います.
(ダニが体に付着しているものは大体水容器内へ入ることが多い)
ただ本種は思っている以上によく水を飲みますし,他のパイソンと比較して非常に頻回に尿と尿酸を排出します.
どちらかと言えばナミヘビの様な印象も受けます.
(見た目もナミヘビっぽいですが…)
ですので新鮮な水が入った水容器は必ず用意するようにしましょう.
大きさは水が飲める程度で大丈夫ですのでそこまで大きなものは必要ないでしょう.
海外ブリーダーなどはひっくり返されないように犬・猫用の水入れを用いている方もいる様です.
■シェルター
ヘビは本来,臆病な生き物です.
私はすべての生体にシェルターは必要と考えています.
例えば衣装ケースなどで飼育してケージ内が良く見えず,かつ暗所である場合などはケージそのものがシェルターの役割を果たしますので,必ずしも必要はありません.
逆に爬虫類ケージなどで飼育している場合は周囲から丸見えの状態ですので可能な限りシェルターを入れておいた方が生体が落ち着きます.
環境にも人にも慣れることはありますが,常に見られる環境は決して生体にとっていい環境とは言えないと思っています.
シェルターに籠りっきりになるような生体もいますが,それはシェルター内が非常に落ち着く,快適な環境である証拠ですのでむしろ喜ばしいことかもしれません.
我が家で飼育しているインディゴスネークはまさにこの典型的な例で,時折シェルターにエサをあげているのではないかと錯覚するほどです.
まあ元気に育ってくれれば何でもいいんですけどね…
3.エサ
■幼体時
基本的にはマウス・ラットが完全栄養食であることに異論はありません.
ウズラやヒヨコもいいのですが,やはりげっ歯類が一番栄養効率が良いようです.
*こちらのサイトは非常に勉強になります.一読を強くお勧め致します.
本種はもともと(と言うよりヘビ全般だが)爬虫類をよく食べているとされていますので,飼育下でも頑なにげっ歯類を食べようとしないものもいます.
ですが,冷凍ヤモリなどの臭いをマウスに付着させる,もしくは幼体時にアシスト給餌で与えるなどすれば割と餌付きやすい印象です.
パイソンですが,他のパイソンより口が大きく開きませんので,胴体と同等程度の大きさのものから始める事をおすすめします.
■成体時
本種は3mに達する大蛇ですが,口が大きく開きませんのでアダルトラットを数匹与える程度までです.
オリーブパイソン・ベーレンパイソン・パプアンパイソン・ブラッドパイソンのように冷凍ウサギやピッグは必要ありません.
その代わりラットを数匹与えるので微妙にエサのコスパが悪いと感じることも…
(エサにコスパを求めてはいけませんが…)
ですが,成体時は概ね1週間に1回~2週間に1回程度で良いですし,冬期に気温が下がると季節性の拒食を起こすものもいますので,他のパイソンよりエサ代がかかるといった印象はあまりありません.
4.ハンドリング・慣れる?
慣れますが,環境に慣れるだけで人に懐くといったことはありません.
爬虫類全般に言えることですが,懐くというより慣れるとイメージしてもらった方が飼育者にも生体にもストレスがなくて良いかと思います.
SNSなどで非常に慣れたヘビやモニターを見ることがあると思いますが,それは本当にごく一部ですし,長年飼育して生体との信頼関係を築いてきた賜物ですので,そういった影響で飼育を始めると思いもよらない苦労をしてしまうかもしれません.
そしてこと本種に関してはどちらかと言えば粗暴な性格のものが多い印象です.
もちろん個体差はありますが,何と言いますか
「怒りのスイッチがわからない」
といった印象です.
日頃は非常に温和な性格をしていてもなぜか怒っている日もありますし,時折「ニャー」(←私がこう聞こえるだけ)と声まで発して怒るときもあります.
ですので,大きくなるヘビですので常に警戒は怠らない方が良いでしょう.
これはどのヘビにも言えますが…
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
【ズグロニシキヘビ・ブラックヘッドパイソン】
飼育・飼育環境
マニア垂涎の至高のパイソン.まだまだ知名度は低いものの一度見たら忘れることのできないその独特なフォルムと模様.
しかし飼育そのものはオージーパイソンと同様に比較的容易ですのでおすすめしやすいヘビの一種かもしれません.
(価格は全くオススメできませんが…)
**生き物を飼育することの是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう