【51Base】です.
爬虫類飼育におけるおすすめの自作ケージ
そのメリットとデメリット
皆さんは爬虫類の飼育にはどういったケージを使用していますか?
・専用ケージ
・一般的な水槽
・プラケース
・衣装ケース
・温室
・オーダーケージ
・自作ケージ
実に多種多様な選択肢があって非常にいいことだと感じています.
ですが,爬虫類飼育者の中には大型種の飼育をされている方も思っている以上に多いと思います.
また,春先から大量に入荷するサバンナモニターやナイルモニターなどの安価なオオトカゲ,予想以上に大きくなるカーペットパイソン.
そして極めつけがグリーンイグアナ.
いずれもベビーの時こそ小さくて可愛いのですが,実際には非常に大型となりますので飼育ケージをどうするかについて必ず問題となるときがきます.
■イグアナの飼育についてはこちら
そこで自作ケージもしくはオーダーケージという選択肢が出てくるのですが,オーダーケージはやはりプロが製作するものですから外観や内装,そして強度,まさに至高の一品です.
ですが唯一の問題点が非常に高価であること.
単独飼育で一匹だけでしたらいいのですが,3~4匹と多くなってくるとケージだけでも相当な金額が…
そこで次の選択肢として自作ケージがあります. (最後の選択肢は部屋での放し飼い?)
今回は私が実際に作製している自作ケージについてそのメリットとデメリットについて自己考察も踏まえてまとめていきます.
目次
1.爬虫類用のケージ
ではまずは爬虫類用のケージにはどういったものがあるのでしょうか.
既製品のケージだけでも比較的多くの種類が販売されていますが,爬虫類ケージの特徴としては前面のガラスが開閉式になっているなど,上からでなく横からメンテナンスができるといったところでしょうか.
爬虫類の天敵は猛禽類などの鳥や大型の哺乳類で,そのほとんど全ては自身の上側から襲ってきますので,上方に対する警戒心はどの種も非常に強いものがあります.
■爬虫類ケージの選び方について
■グラステラリウム
恐らく最も多く普及している爬虫類ケージではないでしょうか?
ナノサイズから90㎝サイズまで,サイズも多様で様々な飼育環境に対応することができます.
発売当初,非常に心惹かれた商品がこの45✕60㎝の高さを重視したケージで小型のイグアナや樹上棲のヘビなどを飼育するにはとても重宝しました. (現在も使用しています)
もう1サイズ小さい30✕45㎝もあります.(最少はnano)
このケージの最大の特徴は前面ガラスが両開きで開放できるため,非常にメンテナンスがしやすいところです.
また,側面もオールガラスであるため非常にスタイリッシュ.機能性だけでなく外観も美しいケージとなっています.
最大サイズは90✕60㎝で,それなりに高さも兼ね備えているのでカーペットパイソンであれば何とか終生飼育は可能かもしれませんが,欲を言えば120㎝が欲しいところです.
■ニッソー・トップテラ
こちらは非常に堅牢なイメージの爬虫類ケージ.
前面ガラスは引き違い戸で,上部は強度のあるメタルメッシュと内装にマクロメッシュといった二重構造で,小さなハエなどの侵入を防いでくれます.
そして前面にもメッシュがあるため,通気性にも優れています.
こちらのケージの最大の特徴は既製品では恐らく最大の大きさの120✕60㎝のサイズが販売されているところでしょうか.
ただし,120㎝のガラスケージは本当に重たいです.ニッソーは37kg.
1人で持つにはかなりの労力と危険が伴いますので注意が必要です.
■パンテオン
レプタイルボックスを販売している三晃商会の爬虫類ケージです.実はブラックもあるのですが,ホワイト基調ですので重くなりすぎず部屋のインテリアにも馴染みそうですね.
パンテオンでは30✕45㎝というコンパクト且つ樹上棲に対応しているケージは非常に重宝するかと思います.
グリーンパイソンの飼育に相性がよさそうです.
同サイズはグラステラリウムにもありますが,本ケージの方が前面が引き違い戸である分,ヘビからのアタックを防いでくれる利点があると個人的にはいつも思っています.
全面開放してのメンテナンスは結構ヒヤヒヤします(笑)
最大サイズは90✕45㎝ですので,大型種の終生飼育は困難です.
■ケースバイケース
みどり商会から販売されているケースバイケースの最大の特徴は側面の2/3をメッシュやガラスに入れ替えることが可能な所と,底面にナイーブといった専用のパネルヒーターを入れることが出来る点でしょうか.
そして側面のガラスを取り外したまま60㎝ケージを連結して120㎝ケージとして使用する飼育者もいらっしゃいます.
私は実際には使用したことがないので使用感についてはわかりませんが,汎用性があって使い勝手は良さそうですね.
みどり商会はスーパー1など一味違う爬虫類用品を販売しているので個人的にはとてもお世話になっています.
防水機能のパネルヒーターは意外に弾数が少ないので重宝します.
番外編としてオールガラスケージを販売しているメーカーも…
個人的には一番好みですが,高価であることと,とにかく重たいです.
見た目の美しさは一番ですね.
2.自作ケージ(木製ケージ)
ではここからは本題の自作ケージについてです.
ここでは木製のケージを中心にお話ししますが,私もプロではありませんので,あくまで一般的な道具で作製が可能な自作ケージです.
木製ケージを作製し販売されている方もいらっしゃいますので,その方たちよりも完成度は当然低いです.
また大型種の飼育などに初めて作製する木製の自作ケージは破壊や脱走のリスクが高いので,まずは小型・中型種から始める方が良いと思います. (小型すぎるとまた脱走の危険性が高くもなりますが…)
■木材
まずは木材選びからですが,どうしても水気を含んでしまったりで反り返ってしまうことはありますし,長年使用すれば若干変形してくることもあります.
可能な限り強度のあるものを選びたいところですが,個人的には集成材の方が構造材として使用されるため強度的にも安心かとは思いますが,針葉樹合板や塗装コンパネ,OSB合板でも十分な強度は得られると思っています.
(5年以上使用しているものもありますが,反り返りはあるものの腐食などはなく未だに現役で使用できています)
以前は1×4材を並べて作製した大型のケージもありましたが,作製にとても時間と手間がかかるだけでなく,1つ1つの反り返しなど非常に苦労した経験があります.
自己満足ですが完成度は高かったと思っています.
■必要な道具
基本的な工具さえあれば概ね作製は可能ですが,作業効率を上げようと思えば思うほど,様々な工具が必要になるので違う沼に入ってしまう可能性大です.
私はあまり工作は得意ではないので必要最低限の工具しか持っていません.
・ドライバードリル
・コーナークランプ
・水平器
・各種木用ビス
最悪これだけあれば何とか形にできます.
*ちなみに木材は全てホームセンターで切ってもらっています.
1✕4材で特大ケージを作製した際はコーナークランプが大いに活躍しました.
これは5年前に作製したのですが,なんとドライバードリルはIKEAの2980円のものを使用していました…。
ドライバーはコードレスのものがオススメです。
もちろん丸ノコや自在錐などあれば便利なものは多くありますので,作製したいケージに応じて工具を揃えてください.
私はほぼこれだけの工具で60㎝ケージ4つ,90㎝ケージ8つ,150㎝・180㎝ケージをそれぞれ1つずつの合計14個のケージを作製してきました.
ただし,特定動物のケージ製作の経験はありません.
■製作にあたって
製作にあたってですが,とにかく脱走されることだけは絶対に防がなければなりません.
特にモニターや大型のボア・パイソンなどは非常に力が強いですし,小型のヘビやモニターであっても上部の網の隙間などわずかな綻びを見逃しません.
脱走は生体にとっても,飼育者にとっても不幸な結末を迎えてしまうことが多いので完成したケージをもう一度チェックし,脱走経路がないかを再確認しましょう.
自作ケージで最も多い脱走経路としては上部の網かと思います. (ビスで固定している網の隙間から脱走されたといった話を聞いた事があります)
もう一点はモニターなどがそうですが,大きな水容器を入れるので,出入りの際にかなり多くの水がケージ内に…。
床材である程度は吸収されていても,高湿度を保つ必要もあるので,床面は可能な限り防水処置をおすすめします.
5年間使用していたものも腐食はほとんどありませんでしたが,ファカルタ集成材で製作したケージは防水処理を怠っていたので結構腐食してしまった経験があります.
いずれにしても大型であれ,小型であれ,脱走されてしまっては生体や飼育者だけでなく,家族や近隣住民,もしくは全国の爬虫類飼育者にも多大な迷惑がかかることを念頭にいれて製作に当たってください.
■前面ガラスはどうする?
割とよく質問されるのが
「前面ガラスはどうやって注文しているの?」
サイズに応じて前面ガラスをオーダーする必要がありますし,木の反り返りなどで微妙にサイズが違ったりしますので,必ずケージが概ね完成してサイズを測ってからにした方が失敗がないと思います.
私はいつもこちらの会社からガラスをオーダーしています.
オーダーも簡単ですし,2-3日ほどで手元に来ますので非常に重宝しています.
というよりここしか知らないのですが…
ただ,いつも前面ガラスはレールに取り付ける際が一番ドキドキしますね.オーダーしたサイズに間違いがあったら…など悪い予感ばかりが脳裏を過ります(笑)
3.メリット・デメリット
■メリット
・飼育スペースや生体に応じたケージが作れる
・コストパフォーマンス
・気密性を固めれば暖熱効率が上がる
・レイアウトがしやすい
・自分好みに塗装も可能
・湿度が保てる
まずはメリットからですが,個人的には生体や飼育スペースに応じたケージを作製できることが1番のメリットだと思っています.
既製品では30cm・45cm・60cm・90cm・120cmが主なサイズですので,例えば70cmや130cmなど微妙なサイズ感が良いという場合など非常に重宝すると思います.
また,工具を揃えるのにお金はかかりますが,揃えてしまえばケージ製作においてはそこまで高価ではありません.
半分くらいはガラス代です.
(大型のモニターやパイソンには強化ガラスは必須ですが,そうでない場合は5mm程度で十分です)
レイアウトについても側面・背面ともに木材ですので,流木などをビスで固定することも可能です.流木を浮かせた状態で固定すれば床面積を最大限に生かすことも出来るので個人的にはおすすめです.
■簡単に製作可能な爬虫類ケージについて
■デメリット
・製作の手間
・強度
・木材の腐食や歪み
・製作スペース
とにかく一番のデメリットは製作の手間です.
木材をカットしておけば慣れれば数時間ほどで90~120cmケージ程度でしたら製作は可能です.
ですが,やはり慣れないと数日かかることもありますし,製作にあたってスペースも必要になります.
一軒家などであればいいのですが,アパートでは一部屋使わないと難しかったりもします.
このケージはアパート時代に作製したものですが,1週間ほどこの部屋は使用できませんでした.
また強度についてもやはり既製品やプロが作った木製ケージよりは劣ってしまうリスクもあります.
特に特定動物を飼育する際には許可が下りない場合もありますし,万が一脱走された場合は重大事故の原因ともなりますので,十分に検討してください.
また防水処理をしていないと高温多湿な環境で飼育する種であれば大体は腐食します.
4.まとめ
いかがでしたでしょうか.
爬虫類飼育における自作ケージのメリット・デメリット
既製品のケージやオーダーケージなどには強度や外観などどうしても劣ってしまう面もありますが,生体や飼育スペースに合わせたケージを作製したり自分でケージを創造したりと可能性は無限大です.
敷居が高そうな自作ケージですが,実際に製作してみるとカスタマイズのしやすさや,完成時の達成感,思っている以上に簡単に製作も出来るので,きっと自作ケージの魅力に取りつかれてしまうと思います.
*私も製作中はもう作りたくないと思うこともありますが,完成品を見るとまた作りたい‼と思います.フルマラソンの様な感じです.
ただし,やはり脱走については万全の対策を講じることと,いきなり大型種の自作ケージはリスクを伴いますので,小型~中型種あたりから作製されていくのも一つの手かもしれません.
世間一般的には爬虫類はまだまだ市民権を得ていないような扱いですので,脱走されて近隣住民の方々に迷惑をかけてしまう,もしくは重大事故を引き起こしてしまうことだけは絶対に避けないといけません.