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【ガストロカナヘビ(ミドリガストロカナヘビ)の飼育・飼育環境】
昨今の爬虫類ブームにより様々な爬虫類にスポットが当てられ始めています.
レオパ・ボールパイソン・フトアゴヒゲトカゲ・コーンスネーク・モニター・テグーetc
そんな中,ある一定の人気を保ち続ける者達がいます.
今回はそのカナヘビの中でもホウセキカナヘビと並んで人気種
ガストロカナヘビ(ミドリガストロカナヘビ)にスポットを当てて生息地や生態,飼育方法などを見ていきましょう.
【目次】
1.ガストロカナヘビとは
■分類
■生息地
■大きさ
2.飼育環境
■飼育ケージ
■温度・湿度
■紫外線
■シェルター
3.エサ
■活餌
■冷凍・乾燥餌
■人工飼料
4.多頭飼育
5.まとめ
目次
1.ガストロカナヘビ(ミドリガストロカナヘビ)とは
非常に美しいエメラルドグリーンをしたカナヘビで,体長の70%は尻尾で非常にスリムな体型をしています.
胴体の側面には黒い斑点を有する個体もいますが,ここは個体差があるようです.
*IUCN Red List:NT(Near Threatened)ver.3.1
Listed as Near Threatened on the basis that, while this species occurs as a severely fragmented population and has an extent of occurrence slightly below 5,000 km2, with a continuing decline in the extent and quality of its forest habitat due to agricultural expansion and population growth, much of its range lies within well-protected reserves and it is therefore not thought to be at immediate risk, but this situation will change if pressures on the species increase. It almost qualifies for listing in a threatened category under criterion B1ab(iii).
*簡単に説明するとこの種はタンザニアとケニアの東部沿岸部の5000㎢の限られた沿岸平野部にのみ生息する固有種であることと,すぐに種の保護が必要な状態ではないが今後沿岸部の開発によって危機に瀕する可能性があるといったところです.
■分類
爬虫網有隣目カナヘビ科Gastropholis属
英名:Green keel bellied lizard
■生息地
ケニア・タンザニアの沿岸部(固有種)
■大きさ・寿命・値段
全長:25~35㎝
最大全長:40㎝
寿命:10年前後
価格:30,000円から70,000円前後
2.飼育環境
ガストロカナヘビは大きさはその2/3が尻尾であり,思っている以上に小さく感じると思います.
そして樹上傾向が強く,非常に活発に動き回りますので,立体的なレイアウトにして可能な限り運動不足とならないようにしてあげましょう.
■飼育ケージ
45cm水槽で飼育は十分可能ですが,より立体的なレイアウトとするならば60cmのケージでも良いと思います.
*オールガラスケージは観賞用としては非常にスタイリッシュでおすすめです.
*60cmであれば数匹の多頭飼育も可能で,温度勾配もつけやすいのでむしろ推奨です.
カナヘビは概ね飼育当初は臆病な個体が多い印象です.
いきなり手からエサを食べた個体はあまりいません.
(ホウセキカナヘビは割と攻撃的)
ですので,まずは落ち着ける環境を整えてあげて,しばらく様子を見る程度でよいと思います.
徹底している方はケージにタオルなどを掛けてこちら側が見えないようにする飼育者もいらっしゃいます.
(保温球にタオルをかけないように)
■温度・湿度
暑さにも寒さにも非常に強い種ではありますが,温度管理はしっかりと行いましょう.
特に注意したいのは寒さよりもむしろ暑さです.
寒さに対しては変温動物である彼らの事は一般人にもよく知れ渡っていますが,真夏の暑さにも十分注意が必要です.
(*意外にも寒さより暑さで生体を死なせてしまうケースの方が多い)
*雨季
温度 | |
ホットスポット | 45-50℃ |
ケージ内温度 | 28℃前後 |
夜間温度 | 20~25℃前後 |
*乾季
温度 | |
ホットスポット | 45-50℃ |
ケージ内温度 | 25℃前後 |
夜間温度 | 18-20℃前後 |
ポイントはいかにホットスポット直下を温めるかです.
これはアフリカ大陸に生息する昼行性のトカゲに共通している事で,昼夜の寒暖差はしっかりつけることが大切です.
ただ本種は沿岸部の平野に生息しているため,砂漠のように過乾燥にする必要性はありませんので注意が必要です.
(トゲオアガマなどと同じ飼育環境は✕)
むしろシェルターなどは少し湿度を持たせてあげる必要があります.
また,乾季の夜間は地域によっては10℃前後まで低下しますが,本種においては20℃前後に抑えていた方がいいと思います.
■紫外線
基本的に昼行性のトカゲに紫外線は必須だと思ってください.
(アオジタトカゲも微量の紫外線は必要と言われている)
強い紫外線が必要というわけではありませんが,必ず用意しましょう.
電球タイプやバスキングライトと紫外線を照射するタイプのものがあります.
*最近はセルフバラスト水銀灯も充実してきておりますのでメタハラ導入を検討する際にはこちらも一考の価値はあると思います.
■シェルター
絶対に必要というわけではありませんが,本種のように小さな種に対しては可能な限りシェルターを設置してあげた方が良いと思います.
大型のモニターなどは拒食にも強い傾向がありますが,小さな種は割と餌切れに弱いです.
生体を導入したものの,拒食したまま命を落とすといった事例もありますので,慣らすのはとりあえず後回しにしてもいいので,まずは落ち着いて餌を摂れる環境を整えてあげましょう.
シェルターを用意する際に気を付けたいことは,多頭飼育をする際などは必ず複数設けてあげましょう.
隠れ家を選ばせてあげることも大切ですし,シェルターによって温度と湿度が若干違えばそれも選ぶことができますので良いのではと思います.
シェルターとしてはウェットタイプとそうでないタイプを入れてやると湿度を選ぶこともできるので良いと思います.
テラリウムを作る場合はこういったロックシェルターなども見栄えが良くていいと思います.
3.エサ
■活餌
基本的に肉食ですので,サイズに応じたコオロギやデュビアを与えるようにしましょう.
基本的には活餌がベストだとは思っています.
ほとんどすべての個体に有効ですし,栄養価も失われずに済みますので.
ダスティングとガットローディングは必ず行いたいですね.
ここでよく聞かれるのが
「ピンセットからエサを食べないけど,コオロギやデュビアはどうやって与えれば良い?」
シンプルなレイアウトで脱走の心配がなければ活餌を投入しても良いと思いますが,立体的かつ凝ったレイアウトの場合は知らず知らずのうちに繁殖したり,生き残りがこっそり脱走したりなど管理が大変です.
*エサとはいえ,外来種ですので絶対に逃がさないようにしましょう
幸いデュビアはツルツルしたガラスなどは登れませんし,コオロギも後ろ足を取れば同様です.
少し底が厚く,生体にひっくり返されそうにない耐熱のガラス容器などに活餌を入れておくという方法も検討されてもいいのではと思います.
■冷凍・乾燥餌
デュビア,コオロギやイナゴなどは冷凍・乾燥したものが餌用で販売されています.
食べる個体は正直なんでも食べますし,食べない個体は全く食べないといった印象です.
乾燥餌などは非常に管理が楽なので餌付いてくれれば重宝しますが,ビタミン剤もダスティングするように心がけましょう.
■人工飼料
最近はガストロカナヘビも人工飼料に餌付くケースをよく見かけるようになりました.
私が知っているだけでも,グラブパイやブレンドフードなどに餌付いた個体を見たことがあり,今後ますます人工飼料での本種の飼育が盛んになってくると思われます.
よく食べます。#ミドリガストロカナヘビ pic.twitter.com/DDb5MAFMkL
— きなこ (@ialknCRp5ZdKJxO) September 30, 2022
4.多頭飼育
飼育環境さえ整えてあげることが出来れば可能です.
ただ野生下でも群れて生活をするわけではありませんので,可能な限り広いケージが理想的です.
またこれは飼育をしてみないとわからないのですが大なり小なり相性というものはあるようです.
「雄✕雄」
「雄✕雌」
「雌✕雌」
いずれの組み合わせでもケンカする個体はするようです.
ですがお互い全く無関心なものは本当に無関心です.
ポイントは
・全生体の餌食いは良好か?
・相性はいいか?
・シェルターは複数あるか?
・生体のサイズはほぼ同サイズか?
餌食いについては割と重要で,1匹だけ拒食しているようだと,全く餌が回ってこずにそのまま衰弱してしまう例もあります.
必ず全ての生体が餌を食べているかを目視で確認するようにしましょう.
また生体同士の相性が悪い場合は追いかけまわしたりケガをしている場合などもありますので,そのあたりについてもしっかりチェックします.
(*多頭飼育については自己責任でお願いします)
5.まとめ
いかがでしたでしょうか.
まだまだポピュラーではない本種ですが,その美しいエメラルドグリーンと人工飼料へ餌付く可能性など今後人気が出るには十分な素質を持っていると思います.
また本種は日本でもCB化が成功している種で,コンスタントに増やされていますのでもう少し価格も落ち着いてくるかもしれません.
ですが本種についてもいずれ保護が必要となる種と言われていますので,飼育する際は責任を持って最後まで最高の環境で飼育するようにしましょう.
*生き物を飼育することに対する是非はここでは問いません.また,本記事は飼育を促進するためのものではありません.
生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう