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長州クリプターです.


今回は意外と悩むことが多い【イグアナ・トゲオイグアナの食性】について幼体時に昆虫食と草食性について自分の知識と自己考察を踏まえてまとめていきたいと思います.


イグアナ・トゲオイグアナは基本的には完全草食性ですが,幼体時に限っては昆虫も食べます.イグアナ属が繁栄した理由の一つが草食性と言われており,植物の消化に特化した巨大な消化器系を持っているため大型化したと言われています.


また幼体時に昆虫食が必要なのか?草食性であるが故の特徴など少し掘り下げてみていきたいと思います。 





    【目次】


    1.草食性トカゲについて

    2.草食性トカゲの特徴

    3.草食性・雑食性トカゲの相違

    4.なぜイグアナは草食性なのか

    5.幼体時の昆虫食の必要性←ここ大切
      ■植物性たんぱく質と動物性たんぱく質

    6.まとめ





1.草食性トカゲについて


全てのトカゲにおいて草食性のトカゲは非常に限られており,全体の約3%程度しかいません.多くのトカゲは肉食性です.これは小さい身体で少ない食事から最大限のエネルギーを得るために必要な事だからです.


また,草食であることは消化が非常に困難なセルロースを分解しなければなりません.




■セルロース


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引用:Wikipedia



セルロースとは炭水化物(多糖類)で天然の高分子化合物であり植物繊維の主成分,いわゆる食物繊維のことです.地球上で最も多く存在する炭水化物でもあります.


そして私たち人間はこのセルロースを分解,消化することはできません.


このセルロースを分解する微生物が人間の腸内に存在しないためです.イグアナなどの草食性の動物にはこの微生物が存在しており,その酵素によってセルロースを分解・消化しています.


牛などの草食動物もそうですが,このセルロースを分解するには多くの胃が必要になってくるため,大型化してしまいます.


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イグアナ・トゲオイグアナについても同様で,総じて1メートル以上の大型爬虫類です.彼らの腸は非常に長く腸内細菌叢が非常に発達しています.

ですが消化には非常に多くのエネルギー(熱量)が必要となってくるため,彼らは非常に高い体温を維持しなくてはなりません.

時折イグアナ・トゲオイグアナが拒食するといった話を聞きますが,そのほとんどは不適切な温度管理が原因です.彼らの活動時の体温は37℃まで上昇します.つまりそれだけのホットスポットは必ず必要であるということです.




2.草食性トカゲの特徴



・動かない
・大型化する
・高温のホットスポットが必要
・頭部が大きい




総じて本種は動きません.日中のほとんどはバスキングしているか,木の上もしくは岩陰でジッとしています.


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モニターなどを飼育してたことのある方であればわかるかもしれませんが,モニターは見ていて飽きないほどよく動きます.レオパードゲッコーについても同様です.


これは肉食性のトカゲの方が少ない食料からでもより多くのカロリーを摂取することが出来るからです.同じ量を捕食しても肉食性の方が約5~10倍ものエネルギーを得ることが出来ます.


ですのでイグアナ・トゲオイグアナは基本的にあまり動きません(逃げるときは別)


そして大型化します.これは前章でも触れましたがどうしてもセルロースを分解するには腸内細菌叢が必要で,長く大きな胃腸が不可欠です.そのため,体の柔軟性もモニター程でなく非常に大きくも見えます.


これと同じように頭部も大きいです.これは植物を食べる際の咀嚼(噛むこと)に関係しています.


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肉食性のトカゲと比較して本種は頭蓋が大きいことがわかっています.これは植物をより粉砕し咀嚼することで,腸内で分解を促進しやすくする為です.


人工飼料を柔らかくしたものばかリ与えているとこの頭蓋形成が遷延し,うまくセルロースが分解できずに消化不良をといったことにもなりかねないのかもしれません.


また,セルロースの分解には多くのエネルギーと時間が必要です.そのため本種は熱帯地方を中心に生息域が広がっており,高い気温が生存するための必要な要素となっています.




3.草食性・雑食性トカゲの相違


雑食性のトカゲも植物をよく食べます.ですがそれは栄養素が豊富な植物を中心に摂取し,果実を好むものも多いです(極端な例ではテグーなど).


これは腸内にセルロースを分解する腸内細菌が乏しいためであり,より消化しやすい植物を摂取するようです.小松菜や花などがそれにあたります.


*つまり特異的にセルロース含有の高い食性がないことを意味していると同時に完全草食であるイグアナ・トゲオイグアナについてはより栄養価の高い植物だけを与えることについて懐疑的にならざるを得ませんが,長期的に問題を生じたという話はあまり聞かないので,ここでの是非は問わないこととします.




*また果実については色味が強く丸みを帯びた果実に特に反応が良いことがわかっています.これは恐らく熟した果実でそれが視覚的にも非常にわかりやすいためではとも考えられます.


やはりこれらの草食性トカゲのメインは小松菜の様な栄養価の高い植物が無難なのでしょうね.





4.なぜイグアナは草食性なのか


ほとんどの草食性のトカゲはイグアナ科に属します.イグアナ・トゲオイグアナの生息域は南米です.熱帯雨林は豊富な水と植物に溢れエサとなる昆虫も多く存在します.ですが同時にライバルも多数存在することになります.


「生存競争に勝つため」


イグアナ・トゲオイグアナは生き残るために草食性に進化しました.雑食性のトカゲのほとんどは食性が完全に草食ではないためより消化のしやすい柔らかい植物を好む傾向にあります.

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逆にイグアナ・トゲオイグアナは好みこそ似てはいますが,概ねなんでも食べその種類は数十種類にも及びます.


その食性がここまでイグアナが繁栄した要因でもあります.





5.幼体時の昆虫の必要性



これまでに多くの議論がされてきました.概ね幼体時は昆虫食は必要であるといった意見が多かった印象です.


確かに彼らはコオロギなども昆虫を与えると非常に喜んで食べます.そして成体になるにつれ興味を示さなくなることもまた事実です.


確かに現地でグリーンイグアナの幼体が昆虫などを食べていることは既知の事実です.ですが,れほどの量を摂取しているのかについてはよくわかっていません


また,幼体時はたんぱく質の需要がより高く,植物性たんぱく質では賄えないのかもしれません.本能的な欲求を殺してまで野菜食のみ与え続けることが正しいのかについては議論が残るところだと思います.


■植物性たんぱく質と動物性たんぱく質



たんぱく質(アミノ酸)であることに変わりはありません.ですが注意したいことは動物性たんぱく質には脂質やコレステロールが多く含まれます.これは植物性にはほとんどないものです.



またセルロースを分解する機能に特化したイグアナ・トゲオイグアナはたんぱく質を分解・吸収する消化器機能が低く,その多くは尿酸として排出されます.


たんぱく質を分解したのちにその血中の老廃物は腎臓で濾過されます.動物性たんぱく質の場合はその濃度も高くなり植物性たんぱく質より腎臓にかかる負担が大きくなるため,長期的に昆虫食を与えすぎると腎不全などのリスクが高くなります


ですが書いた通り,成長するうえで幼体時はより多くのたんぱく質を求めています.それは昆虫を見た時の彼らの狩猟本能がそれを物語っているとしか私には思えてなりません.


私が知る限り,幼体時と成体時の消化器の変化についてはよくわかりません.もしかしたら,幼体時は特異的に雑食の傾向が強い消化器形態をしているのかもしれませんが,あくまで個人的な見解にすぎません.


与えるとしても少量をごくまれに程度でよいでしょう.幼体時は90%程度は野菜・果実などで構成し,残りの10%程度を昆虫など動物性のたんぱく質を与えても良いのではないでしょうか.


*野生のイグアナ・トゲオイグアナの幼体時に動物性たんぱく質が重要な役割を持っているのかどうかについてエビデンスのある研究報告はありませんでした.


海外でもこれについては賛否両論なようですが,


「Green Iguana Society」



では真っ向から動物性たんぱく質の摂取を否定していますので,こちらも参考にされてみてはいかがでしょうか?




6.まとめ


いかがでしたでしょうか.


今回はイグアナ・トゲオイグアナの食性について少し掘り下げてまとめてみました.


重要なことは昆虫食を与えるか否かより,毎日数種類以上の野菜とごく少量の果実をしっかり与え,セルロースをしっかり分解・吸収できる体温調節が出来る環境を準備することがなによりも大切なことです.


特に消化には多大なエネルギーを消費することがわかったと思いますので,ホットスポットはしっかり高温をキープできるようにしましょう.



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*私は専門の学者ではありませんので,飼育経験や知り得た知識より考察しています.決して高いエビデンスがあるわけではありません.最終的にご自身の生体の状態などを包括的捉え,自己判断にて飼育を行ってください.


*生き物を飼育することは命を預かることです.その生体を最後まで責任を持って飼育することが飼育者の義務です.飼えなくなったという理由で逃がしたりすることは絶対にやめましょう